中小減税 高所得なら除外になる?
政府与党が大企業並みの所得がある中小企業に対し(そもそも中小企業ではないという議論はありますが)設備投資など政策減税を打ち切る方針を固めたようです。平成22年に大企業が資本金1億円以下の子会社を設立して特例措置をえるケースが頻発したので資本金5億以上の法人の100%子会社は除外されましたがそれ以来の改正だと思われます。税法上はどんなに売上・利益があっても資本金が1億円以下ならば中小企業と定めており(法人税法57条)そもそもこの画一的な取扱いが問題だと思います。ただ、この規程は非常にシンプルでわかりやすく、変に複雑になることは税理士としてはありがたくないのですが、政策的には将来必要だと思われます。
ただ、ポイントは「政策減税」と呼ばれている租税特別措置法上の優遇措置だけで法人税法上の優遇措置はそのままなことです。法人税法上の優遇措置で代表的なものは法人税率が19%(所得800万まで。中小でない法人は23.9%:法人税法66条)特定同族会社の留保金課税(ざっくりいうと内部留保に対する税金:法人税法67条)が適用されないがあり、金額的に大きいのは留保金課税はもし特定同族会社であればこのインパクトは大きいと思います。
逆に租税特別法では法人税率が15%になる(800万以下の部分のみ)、投資減税や試験研究費の減税が優遇されること、30万円以下の固定資産であれば経費にできることなどがあり、いわゆる設備投資を行う製造業などでなければこの新しい規程が適用されたても影響は小さい気がします。
逆にこの中小企業の特例が「非常においしい」大企業は規模は大きいのですがあまりもうかっていない(所得が低い)企業です。なぜならば外形標準課税(資本金1億円超の法人に適用)は赤字でも給与総額や賃料などの付加価値に対して課税されてしまうのでそれから除外されるのは非常にインパクトは多いです。また、繰越損失も今後控除できる割合がその年の所得の60%までの上限(平成28年度)がなく100%控除できます。
まとめると「高所得を除外」というのはほとんどインパクトのない政策で会計検査院から指摘されたからやってみようか・・・という感じではないでしょうか。正直言って日本経済新聞の一面に載る割には気合の入っていない政策かなぁというのが感想です。
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