「副業の赤字で節税!」はどこが間違っている?

目次
1.脱税指南で逮捕
確定申告がいよいよ来週2月17日より開始です。あえてだと思われますが、ここで出てくるのが脱税の話題です。以下は日本経済新聞電子版の抜粋です。
「副業で赤字」ウソの確定申告で脱税か 指南役を告発(2025年2月13日 11:31)「虚偽の確定申告書を作成し脱税を指南したとして、東京国税局は13日までに、経営コンサルティングなどを手がける合同会社「タクティシャン」(東京・渋谷)の菊池志門代表(48)を所得税法違反(脱税)の疑いで東京地検に告発した。関係者への取材で分かった。」
手口は簡単、会社員は給与から源泉徴収として所得税を天引きされています。ところが一方副業をやっていてそこが赤字だと一定の条件の下確定申告をするとその赤字と給与収入の黒字を通算できます。するといったん源泉徴収でとられた税金が還付で戻ってくるというスキームです。
ここで問題なのは真面目に副業をはじめて立ち上げなどでお金がかかり結果赤字というのではなく、架空の副業で還付を狙って行うといったスキームを提案し申告を行っていたというところです。また、税理士資格もないので税理士法違反にもなるかと思われます。
新聞記事では「追徴課税」と書かれていましたが、架空経費なども計上した脱税行為なので重加算税35%が課されたと想像されます。架空の業務を行い赤字を作る、これは脱税行為なので気をつけないといけません。
さて、副業で赤字ならばサラリーマンは給与の源泉徴収された部分は必ず戻ってくるのでしょうか?
2.雑所得
令和5年に所得税基本通達第35-2が発表され、副業の収入300万以下は雑所得になると少し騒ぎになりました。業種にもよりますが副業収入で300万を超えるというのは難しいといえます。
そして雑所得は他の所得とのいわゆる損益通算はできませんからたとえ副業で赤字を出しても給与と合算して還付を受けるということはできなくなります。おそらく意図的に副業で赤字を出して還付を受けるいわゆる前述の脱税スキームのような形態を防ごうとしていると想像されます。
ただ、この通達をよく読むと、「収入300万以下は雑所得にするよ!」といっているのではありません。平たく言うと通達ではきちんと帳簿もつけていないような状況であれば事業収入が300万を超えかつ事実上事業やっているよなと認められるような状況を除き雑所得とするといっています。
かつ「通達」はすごく簡単に言うと国税当局内での決まりにすぎず「法令」ではありません。税務職員は通達に従って職務を遂行しなければなりませんが、極端に言えば筋が通っていなければいくらでも納税者は反論の余地があります。例えば、週末や本業が終わった後の時間を割いて事業をやっていたがなかなかうまくいかず収入300万に達していなくてかつ赤字などというケースはきちんと帳簿をつけて申告している限り、事業所得といえるでしょう。
ただ、そのためにはちゃんと開業届を出して青色申告もするなど通常事業者がやっている手続きをしっかり踏んでいた方が安全だと思われます。 もう一つよくある不動産オーナーで副業というのはどうでしょうか?
3.不動産
いわゆるアパートオーナーは不動産所得として認められます。ただ、副業が主でなく節税でやろうとすると少しずつ穴は塞がれつつあります。まず、アパートローンの借入利子を経費に入れることは可能なのですが、土地部分の利子については損益通算にはつかえません。借入金の利子により不動産所得が赤字になってもその部分は給与所得から引けないわけです
また、海外不動産を使った節税というのも結構ありました。海外では日本の耐用年数を過ぎたものの状態が良く賃貸できる中古の建物が多額の減価償却費を計上することにより、不動産所得を赤字にすることによって損益通算して節税するといった首相がまかり通っていました。これも令和2年改正で海外不動産の建物の減価償却費部分は前述の土地の借入負債利子と一緒で赤字となってもその部分は損益通算に使うことができなくなりました。
要するにざっくりまとめると、節税目的ではなくてまじめに副業としてやっている限りはあまり問題が生じる所とはないのですが、明らかな節税目的の場合はいろいろと落とし穴があるということです。個人的にはこういった税法の穴を突くようなスキーム好きではないのでお客様には私はすすめていません。業者から「節税提案します!」とメールや電話いっぱい来ますけどね。