インボイス制度で変わるアマゾンとの取引で知っておくべき事実とは

目次

1.インボイス制度とアマゾン

 インボイス制度が10月1日から始まります。また、電子帳簿保存法で電子取引に関する書面保存が容認される猶予期間が2023年で終了します。一つのポイントとしてはアマゾンの場合、電子取引とされるので来年からは電子の形で保存が必要で、打ち出しての保存は認められません。ただ、事業者にとって特に気になるのはインボイス制度とアマゾンからの購入でしょう。

 日本のアマゾンと取引している場合、インボイス制度にどう対応してくれるのだろうか気になります。問題なのは他社の出品の場合です。この場合、「出品」なのでアマゾンは単に販売の委託を受けているにすぎず、本来は出品者がインボイスを発行するのが原則です。また、出品者が免税事業者の場合インボイスは発行できないはずです。このあたりどうなるのでしょうか?

 実はアマゾンにはざっくり分けて2つのタイプのアカウントがあって、事業者向けのアマゾンビジネスと一般の消費者向けのものがありますので少し分けて説明をします。まずは事業者向けのアカウントの話をします。

 

2.アマゾンビジネス

 事業者で定期的にアマゾンと取引がある際は、アマゾンビジネスを利用しているケースが多いです。メリットは1か月まとめての請求書払いができる、従業員アカウントを作って承認体制を作れるなどがあります。ただ、このような体制を構築したうえ、いわゆるアマゾンプライムの日時指定などの機能をつけるためにはアマゾンビジネスプライムに入ることが必要となります。ただし、これも小さな会社であればDUOという仕組みがあり、従業員アカウントなどは作れないですが、無料で個人のプライムを引き継ぐことはできます。 

 一方アマゾンの場合、アマゾンの商品の直売とアマゾンへの他社の出品の場合が両方あります。前者の場合は普通にインボイスの発行をアマゾンは行います。当然日本のアマゾン合同会社ジャパン自体は適格請求書発行事業者なので前者の場合は問題ないです。

 では出品の場合はどうでしょうか?アマゾンの説明によれば媒介者特例によりアマゾンがインボイスを発行するとのことです。ちなみに媒介者特例とは委託販売で委託者と受託者が両方インボイス発行事業者ならば受託者であるアマゾンが代わってインボイスを発行することができ、購入者はアマゾンの発行したインボイスの保管で足りるという仕組みです

 ただ、気になるのは「両方が適格請求書発行事業者ならば」という点です。つまり、出品者が免税事業者などでインボイスが発行できない場合、どうなるかです。これは単純でただ単にインボイスではなく区分記載請求書の発行をする、言い換えればアマゾンはインボイスは発行できないことになります。これでは消費税の仕入税額控除に支障が出ます。

 そのためアマゾンビジネスでは検索で「インボイス」が発行できる事業者だけの絞りこみ機能などがついています。この機能よく考えると残酷でインボイスを発行できない事業者は自然と事業者向けからは排除されるということになります。別にアマゾンの回し者ではないですが、消費税本則(原則的な課税方法)の事業者の方はインボイス制度の導入後はアマゾンビジネスの導入がおすすめかもしれません。

 

3.一般のアマゾン

 さほど大きくない会社の場合、例えば私のコンサル会社のような個人事業主に毛の生えたような規模の場合、個人のアマゾンプライム会員で法人カードと個人カードを登録しておいて、法人の取引は法人カード、個人の取引は個人カードとして、一般のアマゾンを使っているケースもあるでしょう。

 その場合はどうなのでしょうか?アマゾンと直接の場合は問題ないのですが、出品の場合はどうなるのでしょうか?この場合、アマゾンは介在せず、出品者がインボイスを発行する形になるとのことです。どこかにインボイスを発行できるかどうかの印的なものはあるようですが、アマゾンビジネスとは違い、インボイス発行事業者だけに絞るという機能もないようですから結構面倒です。出品者がインボイスを発行するというのも、相手次第ですしやや不安な面もありますね。

 本則を適用していてインボイス保存が義務付けられている事業者はアマゾンビジネスに移行が必要かもしれません。