インボイス導入で海外事業者の取引はどうなる?

目次

1.海外でのインボイス事情

 1月は新年会が結構あります。いろいろと時間を取られる面もありますが、日頃話さないような方と話して発見があったりします。先週国際税務に強い税理士の方と新年会でお話しする機会がありました。

 その際、台湾のインボイス制度の話をお聞きしました。かなり前からインボイス制度、台湾には導入されもうすべて浸透しています。そして、インボイス番号はすべての企業の登録番号なっています。消費税だけでなく法人税や所得税の経費についてもインボイスがないと経費として認められない
という仕組みです。

 確かにインボイス制度導入は面倒だと思いますが、国際的なレベルで考えるとインボイス制度はほぼ常識のようです。別に中小零細に対する配慮などは海外では良くも悪くもあまりなさそうに聞こえます。(このあたりの細かい制度までは聞けなかったですが)

 さて振り返って日本です。ここで目に付くのは番号の乱立です。法人税は税務署だけで3つの番号、法人番号、整理番号、インボイスと3つ必要です。所得税も同じく3つ マイナンバー、整理番号、インボイス番号です。

 だいたい税務署に問い合わせをすると「整理番号」を聞かれます。どうやら税務署ごとに割り振っているようで顧客が本店移転をすると整理番号が変わってしまいこれもさらに面倒です。せっかくインボイス番号を入れるならばせめて税務署の管理もインボイス番号で統一してほしいです。法人の場合、インボイス番号は法人番号にTを加えるものですが中途半端なことはせずに同一化してほしいものです。

 さて、国際取引といえば輸入関連これは何か変わることはあるのでしょうか?

2.輸入取引とインボイス

 まずは、モノの輸入をしている方、インボイス制度導入で何か変わることがあるのでしょうか?結論だけ言うと変わらなりません。輸入の際に関税と輸入消費税を支払いますがその際の輸入許可証を現在保存し、それで消費税額控除していると思われますがその実務に変更はないです。

 余談でありますがなぜ輸入消費税がかかるか?ですが、国内で消費するほかの商品には消費税がかかり輸入される商品に消費税がかからないと国内商品が不利になってしまいます。その均衡をとるために消費税が課されているのです。

 サービスの提供の場合はどうでしょうか?サービスが国外で行われる場合、そもそも国外取引なので関係がない、、そもそも消費税の対象ではないです。一方、サービスの提供が海外の事業者(日本に法人、拠点がない)によるサービスが国内で行われるケース、これはかなり面倒なことになります

 

3.海外事業者によるサービスの提供とインボイス

 例え海外の事業者であっても国内でサービスが行われるパターンで、実際に来日してサービスを行うようなケースはインボイスが必要となります。その場合には当然国外事業者であっても日本国内においてインボイスの登録事業者となる必要がでてきます。加えて、その事業はは日本で消費税の申告をしなければならないですが国内に拠点や事業所が存在しないので特定国外事業者としての登録が必要です。

 それは何かというと国内に税務代理人と納税代理人を定めなければならず、そうでないとそもそも登録ができません。かなり実務は面倒でハードルが高いといえます。

 もしそれが、もう一つはインターネット取引だったらどうでしょうか?海外の事業者にインターネットでインタビューを受けてコンサルティングを受けるようなケースやよく以前問題になった海外の事業者が国内製品をインターネットを通じて販売しているようなケースです。

 こういったインターネット取引は海外の事業者が消費税の納税は本来すべきでですが、とりっぱぐれが当然に生じやすいです。そこでこういった海外事業者によるインターネットを通じた取引はリバースチャージといって国内事業者の方に消費税の納税義務が生じます。

た だし、課税売上割合が95%以上の事業者の場合は受け取った消費税と控除する消費税の額が一緒のため納税義務はないが仕入税額控除もないということになります。一方95%未満の事業者は消費税額控除はとれ、一方納税義務がありますがその際のインボイスの有無が問題となるでしょう。

しかし、このケースの場合インボイスの保存は義務ではなく、特定の記載要綱を帳簿に残すことにより、仕入税額控除ができます。まとめるとインボイス制度の導入によっても海外事業者とのインターネット取引に変化はないということになると思われます。