消費税が10%になって
かなり衆議院解散が確実しされてきて、私が所属している業界団体である公認会計士協会などでの政治家がらみの会合は軒並み延期・キャンセルとなっています。野党の批判はモリ・カケ解散、大義がなく党利党略だと騒いでいますが、モリ・カケ問題で安倍内閣の支持率が下がっている際は、「解散して国民の信を問え」と言っていたわけですから、党利党略という点では変わりません。ただ、野党の追及で消費税増税の話が出てこないのは非常に不思議です。消費税増税自体は日本の財政状態を考えればやむをえないと私は思っていますが、税率が高くなってくると問題になるのが益税だと思います。
年間売上1000万以下の業者は免税事業者なので消費税の納付を免除されています。しかし、どこにも免税業者は消費税を請求してはいけない法律には明記されていません。売上が1000万を超えた翌々年から消費税課税事業者になりますが、あとでお客様に「消費税課税事業者になったので8%値上げさせてください」とは言いにくいので普通は免税業者でも消費税部分を請求している方がほとんどと思われます。これには、購入部分には消費税がかかっていることもあると思います。私も開業しばらくは免税事業者でしたが消費税はお願いしていました。
ただ、そもそも消費税は事業者にとっては、ざっくりいうと売上の消費税から仕入れの消費税を差し引いて差額を納付または還付してもらう制度なので、別に事業者は金銭的には得も損もしません。しかし、免税事業者だと売上の消費税と仕入消費税の差額があってもこれを納付する必要がなく、もし大幅還付の場合は課税事業者選択届を提出して還付してもらえばよいので明らかに差額の益税がでます。消費税が3%のうちは少額だから・・と言っていたものも10%になるとそうはいっていられなくなります。
そこで徐々にインボイス方式の導入で免税事業者からの仕入れの消費税は売上の消費税からは徐々に控除できなくなる制度を導入しようとしています。要するに免税事業者に払った消費税部分は持ち出しになってしまうわけです。少し前ある政府系機関のお仕事をした際に、免税事業者か課税事業者か申告しなさいといわれたことがありました。そして免税事業者の場合は消費税は請求しない方式で請求書を出すようにと入札の手引きに書いてありました。この政府系機関はおそらくこのインボイス方式への移行に備えてもう準備しているのだと思われます。今後はこのような方式を導入する企業も多くなってくるのではないでしょうか。
テクニカルになりますが会計ソフトでは勘定科目ごとに消費税の課税非課税の分類をしているので、おそらく会計処理でも免税事業者仕入れと課税事業者仕入れの科目を分けているのでしょう。どんどん処理が面倒に複雑になっていきます。そろそろ免税事業者の制度も金属疲労しているのではないでしょうか?免税事業者の理由として過大な納税負担の除去ということですが、もう会計ソフトも非常に安くなりました。そろそろ免税事業者という制度も少しずつ控除できなくなるなどという真綿で首を絞めるようなやり方ではなく、きっぱりやめ時なのではないかと思われます。
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