ガバナンスが働いたセブンイレブン

鈴木

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が退任する意向を表明しました。中核子会社であるセブン・イレブン・ジャパンの社長人事で井坂隆一氏の交代を指名招集委員会では委員の社外取締役が反対するにもかかわらず取締役会に諮り否決されたため、責任をとったようです。

ここ5年のセブンイレブンジャパン業績推移を見てみると以下のようにほぼ毎年増収増益であり財務的なバランスも悪くなっているわけではありません。安定した成長を達成しているわけですからとりあえず財務数値から見る限り経営者としては問題があるとは思えません。

今までの施策としてもセブンカフェやセブンドーナツなど消費者の心をくすぐる施策を次々と打ち出しただ漫然と業界トップの威光で利益を上げてきたわけではないと思います。

26年 25年 24年 23年 22年
売上 736,343 100% 679,561 100% 617,559 100% 576,186 100% 549,111
経常利益 232,593 32% 220,927 33% 194,104 31% 189,759 33% 176,144
純利益 136,924 19% 134,371 20% 112,446 18% 100,738 17% 102,049
ROE 11.1% 11.4% 10.0% 9.3%

今回中興の祖である鈴木氏の決定に対し社外取締役が反対をして取締役会でも提案が否決されるというのはガバナンスがきちんと働き、実力者の言いなりにならなかったということで評価できます。この「意思決定が正しい」かどうかは財務数値だけではわかりませんが、少なくとも「きちんとした意思決定のプロセスが働いた」ということです。鈴木社長が井坂社長の退任の理由としては今までの方針は全て自分から出たもので井坂社長からは何も積極的な改革案は出てこなかったためと主張しています。実際井坂社長が鈴木氏の指示をただ忠実に言われるがままに実行してきたからセブンが好調だったかは外部からは判断できません。

私も見てきたのですが実力者社長で後継者が育たないと嘆いている方に限って育てようとしません。自分に対しきちんと異論をいう人間は退け、唯々諾々と従う人間だけをはべらし、それで「自分で考えられる人間は周りに誰もいない」と嘆きます。もしかすると鈴木会長もそのような症候群になってきたのではないかと思われます。大企業だけでなく、中小企業の社長さんも気を付けなくてはならないポイントだと思います。

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