比嘉酒造の役員退職金をめぐる問題

ざっぱ 

 

泡盛「残波」を製造する「比嘉酒造」(沖縄県読谷村)が、4年間に役員4人に支払った報酬や退職金計約19億4千万円が高過ぎるかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(舘内比佐志裁判長)は22日、創業者の社長への退職金約6億7千万円については妥当と判断しました。

もともと税務当局の処分は法人税法36条に基づくもので不当に高額な役員の給与、退職金などは経費として認めませんよという条文です。 ただ、「不当に高額」という基準については法人税施行令70条で定めていて、「同規模の同業他社の退職金と比較して相当な額を超える部分」と定めています。

この比嘉酒造の経営内容はよくわからないので何とも言えませんが、企業経営の観点からは売上20億の会社で19億の退職金は従業員の士気的にもどうかしら?と思います。しかし、それを税務当局が多い・少ないと口を挟んで課税するというのは別問題です。「高額の退職金で企業の経費を圧縮して・・・」と税務当局は主張しますが、その分退職金に対する所得税をたっぷり払っていますし、所得税は累進課税ですから一般的には所得税の方が払う税金は高いですから、実質的なな課税の公平性は保たれています。

 加えて、「同規模の同業他社の退職金と比較して」とありますが、現実的に同業他社の退職金
 がいくら払われたなどという情報はふつう企業側では得られません。本人の功労や利益状況など千差万別でいわゆるApple To Appleなものはありません。したがって税務当局のきわめて恣意的な運用が行われやすい部分で法治国家として改善を要する部分と思います。
 1億総活躍では中小企業の元気な活動も大切なはずです。こういった中小企業の活動を委縮させる不当な規程の排除などの地道な改善もどんどん安倍政権には行ってほしいと思います。
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