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ラクスル -ビジネスモデルでユニコーンに

2016.11.21

ラスくる

日本経済新聞で日本のユニコーンという記事が週一回連載されていて私は楽しみにしています。ユニコーンとは本来おとぎ話に出てくる一角獣ですがビジネス用語では株式時価総額10億ドル(約1100億円)以上の未上場企業を指す言葉でシリコンバレーのVC(ベンチャーキャピタル)の間で発祥した言葉です。楽しみにしている理由はユニークなビジネスモデルの企業が多いことが挙げられます。

今回はネット印刷のラクスルです。最初はよくある安売りのネット印刷の会社かと思っていたのですがある程度ひねった型のビジネスモデルになっています。自分で印刷するのではなく印刷会社約100社と提携して稼動状況を見ながら注文を割り当てる形です。印刷会社は空いた設備を利用できるので比較的安い価格でも受注が可能です。私が行っているビジネスモデル発想法講座では「事業化代行モデル」で、いわゆる「印刷会社の不稼働時間」を事業化することをラクスルはプロデュースしていることになります。これによって自前の設備を持たなくてプロデュースだけで大きなビジネスにしていくわけです。

以前は印刷会社の価格比較サイトという「マッチングモデル」であったものを品質改善にはつながらないと決意して大胆にビジネスモデルの転換を行ったのが勝因であったと思われます。普通だと現状のモデルの手直しといった形で対応しがちですが松本社長はビジネスモデルの転換を図ったわけです。当然、このビジネスモデルの裏には印刷会社の選定や稼働状況による割り振りの仕組みなど目に見えない血のにじむようなオペレーションの作りこみがあったと思われますが、そもそもビジネスモデルが陳腐だと成功の確率は大きく下がります。おそらく想像するに松本氏は戦略コンサル出身で様々なビジネスモデルの引き出しがあって、それをうまく当てはめられたのではないかと思われます。これは成功の秘訣としてビジネスモデルの当てはめがうまくいった好例かと思われます。

私のビジネスモデル発想法講座ではこのような成功するビジネスモデルを7種22分類のタイプ(前述の事業家代行など)に分類してどのような型を当てはめれば成功の確率が上がるか学んでいきます。戦略コンサルなみのビジネスモデルの引き出しを作ることができます。ご興味ある方は↓まで

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NTTデータが統合費用で特別損失 -悪いニュースか?

2016.11.18

NTT

日本経済新聞にNTTデータは先日ほぼ買収手続きを終えた米デルのITサービス部門で社内システムやブランドの統合費用として100億円前後の特別損失がかかると載っていました。プレスリリースもないままこのような情報がマスコミに漏れていいのか、11月4日の決算短信でなぜ全く触れていないのかなど多少突っ込みどころはありますが、この時点できちんと統合計画が固まっているのはまずまずのスピード感だと思います。

投資家目線でいうと買収価額やのれんがどの程度になるかなどが焦点となりますが経営者目線でいうと大切なのは統合になります。特にこのM&Aは旧ペローグループの事業で北米で顧客網を一気に獲得するというものです。私は営業が一件一件顧客を獲得するのに対してM&Aで投網で掬うように顧客を獲得する「営業タイプ(Sales Type)」M&Aと思っています。自分の事業の中に取り込む統合なのでPMI(買収後統合)は非常に大切なプロセスになります。システム、人事、その他ノウハウなど統合についてはできるだけスムースな統合も大切なのですが、スピードはより重要です。統合プロセスの過程はある程度の混乱は不可避なのでこの期間をできるだけ短くして収益や従業員の人心に与える影響を最小限にするのです。特に従業員は「大きな変化自体の不安」よりもどんな変化が将来起こるかわからないといった「どんな変化かわからない不安」の方が確実に心を蝕みます。

日本企業の場合相手の経営陣とゆっくり話し合って徐々に統合を進めるといったアプローチをとる企業も少なくはないですが、このような「営業タイプ(sales type)」は特にトップダウンで一気にPMIを素早く進めるのが成功の一つの秘訣と思われます。私が以前勤務していたGEではデューデリジェンスの終了時にはほぼどのようにPMIを進めるか青写真は完成していました。NTTデータのスピード感については細かい買収経過の内部事情を知らないのではっきりとは言えませんが、まずまずのスピード感で進めているのかと想像されます。

スピード感を持って行うためにはいわゆる資産やリスクの査定といった会計事務所や弁護事務所でのデューデリジェも大切ですがPMIをにらんだビジネスデューデリを会社側がおこなう必要があります。PMIについては現在も何社か手がけておりますが本来のビジネスデューデリが不足しているために後手に回っているケースがおおいです。価格算定と交渉に目が行きビジネスデューデリをほとんど行っていない企業も多く、そのころからアドバイスさせていただければ随分スピード感がでてくるのにと私などの現場サイドでは感じています。

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ベア実施要請に伴う違和感

2016.11.17

nenkou

安倍首相がベア(ベースアップ)を過去3年間並みにしてほしいと賃上げ要請をしています。賃上げと言っても年齢や勤続年数に応じて給与が上がる定期昇給と、そのベースとなる基本給全体をを底上げするベースアップがあり、安倍首相が要請しているのは後者の方です。経済学の考え方として労働者の所得として恒常所得(一般的な月額給与)と変動所得(ボーナスなど一時金)があるが消費は恒常所得の関数という見方があります。要するにお金を使う際にボーナスなどよりも定期的な賃金が上がった方が消費をする可能性が高いという仮説です。短期的、経済学的にはベア上昇、消費が増えて景気が良くなるというサイクルを想定しており考え方としては間違っていません。

一方で正規と非正規の社員の区分をなくすために同一労働同一賃金が叫ばれています。企業の感覚としては確かに非正規の人たちはその職務の割に安い賃金しか与えていない人が多いというのはあると思われますが、その一方で勤続年数や年齢が高いだけでその職務の割に高い給与を与えている社員も多数いるということも同時にあると思われます。これを達成するためにはそもそも現在のベースアップと単なる勤続年数、年齢による賃金表を大きく改訂しなければならないはずです。しかし、安倍首相の要請は現状の賃金表を維持を想定した発言ですから整合性は取れていません。

私の場合、会社員のころは外資系やベンチャー企業が長かったのでベアーや定昇という考え方とは無縁でした。外資系は実績を上げて昇格すれば昇給しますがそうでなければ上がりません。ベンチャーは役員だったのでそもそも業績が上がらないと極端な話報酬さえもらえません。ただ、自分の市場価値でわかっているのである程度どの企業に行っても一定の給与はもらえるので大きな不安はありませんでした。同一労働同一賃金とはそのような世界でいったんその波にうまく乗れればある程度の快適性はあります。一方自分のスキルがはっきりしない市場価値が不明な方は多分波にのれず残酷な世界になるかもしれません。特に40代後半以降の方は年功制でおそらく市場価値よりも高い給与をもらっている方が多数だと思われるので厳しい話かと思います。

ここ3~4年いい景気を謳歌したいのであれば現状維持が一番で安倍首相のベアーをあげようという方針は間違っていません。しかし長期的にはこの定昇・ベアーの仕組みがある限り転職はしにくいですし、同一労働同一賃金は不可能で正規と非正規の区別は永遠に縮まらないでしょう。多様性のある働き方というのは「社畜」から解放されて自由なのですが一方で「野生動物」となるので厳しい世界なのです。

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真田丸を深読みするー古い体質の企業 

2016.11.14

又兵衛

真田丸もいよいよ大坂冬の陣が始まり佳境に入ってきました。昨日は真田幸村の完勝で終わる痛快な回でしたが、徳川家康がにんまりと次の手とほくそ笑むあたりが何とも言えない感じででした。

さて、ネットなどでは『滅び行く豊臣家の体質が「うちの会社みたいだ」のような声が上がっている』記事をみました。豊臣秀頼はやる気のある2代目ですが、先代の配偶者で母でもある淀殿や大蔵卿などの古い番頭に逆らえません。人材はいないわけではないですが大野治長は多少優秀めだが線が細く、若手のホープ木村重成はまだ発言が重んじられる状況にはありません。織田有楽斎のような内通者はさすが企業にはなかなかいませんが、会社の衰退で火事場泥棒のように使い込みや業者との癒着など裏切り者の古参社員は結構出てくるものです。

こういった滅びゆく組織に共通しているのは排他性です。私の昔からの友人と少し前、飲みに行った際彼がこぼしていました。彼はあるメガバンクで長年働いていましたがある業績がぱっとしない上場企業の役員に出向になり転籍しました。小さいころからの付き合いなのでわかりますが誠実な人間で、このせっかくの縁ということで上場企業に骨をうずめるつもりで働いています。銀行からの出向者の中には「銀行の方を見て仕事をしている」池井戸潤さんの小説に出てくるようなタイプも本当にいるようですが彼は全然違います。会社行事なども必ず参加して溶け込もうとしているのですがいまだに「銀行さん」というレッテルで冷ややかに見る方が多いそうです。いわゆる真田幸村や後藤又兵衛のように牢人者と冷ややかに見られているのと一緒です。

古い体質の企業が滅ぶのは一つとしてこのような異質を受け付けない体質があります。この体質があるとだんだん退嬰的で金太郎あめ的な発想しか浮かばず、徐々に衰退していきます。ダイバーシティ(多様性)という言葉がありますが、それは本来は女性や外国人の登用すればいいわけでなく、こういった異質を排除する文化を取り除き、多様性を尊重する文化を築くことを指します。私が以前勤務していたGEはトーマスエジソンが創始者の100年以上続くきわめて古い会社ですがダイバーシティは徹底していました。買収も頻繁にしますが、日本企業でいう「対等の精神」は全くなく、基本的にはGEのやり方に従ってもらいます。しかし一方で従業員については「旧XX出身」のようなレッテルはなく、まったく対等で、買収された会社の従業員でGE本社の重役になる人も普通にいます。日本の合併会社にありがちな「対等の精神」はうたって妙に仕事のやり方などは両社のやり方がつぎはぎされて非効率的、しかし主導権争いは激しく負けた「旧XX出身」は一生冷や飯を食って全然うだつがあがらないなどということはないわけです。

こういった古い体質の会社で残念ながら自らの意志で変わろうとはしないものです。しいて言えば日本航空のように再生ステージで危機感が社内に充満している際くらいかもしれません。企業再生の際当然資金ぐりなども当然大切なのですが新しいダイバーシティ文化の構築も意外に大切なのです。

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AIは学生に進路指導できるか?

2016.11.11

AI2

今朝の日経でAIが大学(院)生に進路指導をするというニュースが出ていました。AIは過去の卒業生のデータとその学生の成績、希望の職業分野、趣味などを入れると進路を指導してくれるようです。ただ、過去の卒業生でわかっていることでわかっていることと言えば就職した企業と在学中の成績くらいであり、おそらくその卒業生がその企業で充実した生活を送っているかまではわからないはずです。私の勝手な想像ですが就職が成功しそうな企業を割り出せるにすぎないような気がします。最近「就職偏差値」という言葉も生まれ大学が有名企業の就職数を競うような状況があり、その一環と想像します。

就職は生活をするために必要なことではありますが有名企業に就職することが長い人生において正解とは言えない時代が到来しています。先日、ある大手外資系企業のトップの方とディナーをしていた際、子供の就職の話になりました。その方は日本の大手企業に入社後米国大学院をへて大手外資系企業の日本法人でトップまでいった方ですが、日本企業にいた時代は有意義であったが今は大手有名企業においては、ほぼそれはないのではないかと話されていました。彼もお子さんに特に大手有名企業に入社を特に勧めていないようです。我々(50代)が新入社員であったころは日本の大手企業といえどもよく言えばベンチャー的、悪く言えばいい加減なところがあり、逆にそれによって育てられた面があるということです。彼の場合は英語ができる人材がいなかったせいでいころにいきなりアジアに転勤、ほとんど本社の管理もないまま結構挑戦的なビジネスを行いそれが自分のベースになったと話していました。いまは発展途上国の赴任でも若手が思うままに力をふるえるようなことはなく、がっちり本社や中高年の上司が管理しているので海外赴任の面白さはあまりないようです。要するに日本の大手企業だと細部までかっちり管理されており、そんな中に若いうちに入ってしまうと言われたことをひたすら忠実にこなすだけの人間になり、40代くらいのマネージメントする年代には全く使えない人材になるのではないかと心配しているわけです。

やや「大企業」とひとくくりにして、すべて若いうちから能力の発揮機会がないと決めつけるのは皮相的だとは思いますが、早くから挑戦的な仕事をさせてくれる機会は我々が若かったころよりも着実に減少していることは実感として感じます。その中で大学は一流企業への就職数を競うのではなく、本当に自分の将来を考えるいい機会を与えてほしいものだと思います。

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大企業型残業とは何か?

2016.11.09

karoushi

最近残業時間を規制しようという動きが出てきています。実は一律な残業規制にはあまり賛成していません。よくベンチャーなどで創設期に寝袋を持ち込んで朝から晩まで仕事をしたというような話を聞きますが、そこで過労死をしたといく人を聞いたことがありません。非常に乱暴な議論かもしれませんが、人は目的にほぼ完全に理解して働いていれば長時間働いていてもさほど精神的に参るものではありません。ベンチャーなどは別に誰かに働けと命令されているわけではなく、自分の意思で長時間働いているわけで、残業は手段でしかありません。

大企業の場合は文化として残業が定着しがちで、残業はほぼ目的化しています。ある大手企業のある部署は毎日18時前になると出前表が配られるという話を聞きました。この部署の人によると暗黙の了解の定時は21時だそうで、出前表に名前を書かないのは非常にやりにくいという話でした。会議も普通に19時ころから行われ、全体的に疲れているので気が付けば22時などといういうこともよくあったようです。こういった文化になじめるのはとにかく言われることをしっかり着実にできる人たちです。近年なぜ過重労働かというと大企業と言えども同じことをやり続けるだけでは生き残れずどんどん新しいことが導入されるからです。しかし、真面目な人たちなので旧来やってきたことはほぼそのまま、そこに新しいことが積み重なりますからどんどん仕事が増えてくるわけです。

これは単なる一例ですが、ほとんどの大企業の残業は「仕事の断捨離」ができていないことに起因すると思います。大企業はブラック企業のようにもとから低賃金で働かせてその分を利潤として残そうと戦略的に考えているわけではないと思います。前の例はどちらかというと事務部門でしたが営業だと不要なサービスや利益を生まない顧客などがあります。不思議と残業が文化としての残っている職場は「仕事の断捨離」といった合理化に対して後ろ向きで、たいてい「そんなことを考えている暇はないです」という回答が返ってくることが多いです。ブラック企業の場合は本当に罵倒と搾取で肉体精神両面で人間が参っていくのですが、大企業型の場合はおそらく無駄だらけの中で無駄に残業していることにまいっていく型です。どちらかというと大企業型は物事を客観的・合理的に考える頭の良い方の方がはやくまいるかもしれません。

したがって大企業型の場合はどうせ他の曜日にしわ寄せがくる早帰りディではなく仕事の断捨離運動の方が効果があると思います。コンサルティングの一面としてこういった断捨離を推進する部分はありますので少し業歴が長くなった中小企業などでも効果が出ますね。

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シャープは復活するか -決算発表雑感

2016.11.02

シャープ

シャープが決算発表をしました。2017年3月期については連結最終損益の赤字が418億円と2016年3月期の2559億円から大幅に縮小する模様と発表しました。上半期の連結最終損益は454億円のマイナスですから下期はわずかながら黒字に転換するというシナリオです。

鴻海傘下に入ってから主な施策を見てみると成長戦略というよりも構造・体質改善に重心があったという感が強いです。子会社や拠点の統合移転、購買体制の見直し、信賞必罰の人事体制、ビジネスユニットごとの収益管理体制の強化と責任の明確化などがあげられます。成長戦略としてめぼしいものとしては有機ELへの投資くらいでしょうか。一般的にはシャープの凋落は液晶への過剰投資がよく原因として挙げられていますが、鴻海は基本的な利益を生み出すための仕組みに問題があると考えているようです。まず会社を筋肉質にしてそれから成長に乗り出そうというわけです。意外なのが人員削減は全然施策に入っていないことですが、いわゆるマクロ的に見た人件費はかなり減らし切ったとみていると思われます。一方で信賞必罰やそれに応じた給与体系を適用するなどミクロ的に鴻海の能力水準に達していない社員に対しては退職勧奨・減給をふくんだかなり厳しい扱いになるのではないでしょうか?

心配なのが上意下達で施策が決められているのではないかということです。シャープはもともと上意下達の社風と聞いていたのですが鴻海ももっと激しい上意下達と聞いています。人間の性質として「他人」が決めたものを実行すると無責任になりがちです。ありがちなこととして、施策が決められた状況と実際の状況が変わっても臨機応変に動けず、「上司の言う通りやっているのですが何かもんだいでもありますか?」といった体質になることです。ゴーン社長の下、日産が復活した理由の一つとしてトップダウンとボトムアップの組み合わせで施策が組まれたことがあります。このあたりどれだけ社員が施策に納得しているかによって成功の確率が変わる気がします。

ある程度緊急時は上意下達は必要ですが、時間はかかってもある程度コンセンサスをとっていく、リーダーが命令者ではなくファシリテーターとなる施策策定プロセスは最終的には効果が出るのが早い気がするのです。

 

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電通過労死を考える - 一流企業の若手はなぜ過労死するか?

2016.10.27

 karoushi

電通で若手女子社員が自殺したことは大きな驚きを与えました。ただ、いつものマスコミの論調で電通という企業の問題に矮小化して電通叩きに走っている感が強く非常に残念です。また、長谷川秀夫武蔵野大教授が以下のようなコメントを述べ、大きな非難を浴びました。ただ、「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない」部分を除けば「一般論としては」まともなことをおっしゃっていると思います。

「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情けない。会社の業務をこなすというより、自分が請け負った仕事をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない。自分で起業した人は、それこそ寝袋を会社に持ち込んで、仕事に打ち込んだ時期があるはず。更にプロ意識があれば、上司を説得してでも良い成果を出せるように人的資源を獲得すべく最大の努力をすべき。それでも駄目なら、その会社が組織として機能していないので、転職を考えるべき。また、転職できるプロであるべき長期的に自分への投資を続けるべき」

長時間労働は日本企業の特徴とよくおっしゃる方がいますがそんなことはありません。アメリカの超一流のコンサルティング会社や弁護士事務所の若手、大企業でも若手幹部候補生は週80~90時間は当たり前のように働きます。「上司から請け負った仕事をプロとして完遂する」意識は非常に強いです。私もGEの米国本社で働いている際の部下に大学卒1~2年目のFMP(ファイナンシャルマネージメントプログラム)の幹部候補生が何人かいました。彼(女)らはとにかくさまざまな仕事を引き受け普通に休日も深夜も働きます。ただ、その一方で上司である我々も部下のよきメンター(相談相手)としてきちんと成長に寄与しているかは厳しく査定されます。彼(女)らも仕事は快く引き受けますが、目的やゴール、必要な指示が明確でないと反論してきます。しかし、上司も前向きな反論には快く答える社風がありました。ただし、やはり過酷な業務と厳しい査定に音をあげ、世界各国の一流大卒も1~2年で半分が脱落するシビアな世界でした。ある年は東大卒が全滅したという話も聞いたことがあります。

上記の例を見るとアメリカの若手エリートと比べると日本の若手はひ弱と思われるかもしれません。しかし、前提が大きく違います。一番大きいのは失敗を前向きに評価するアメリカの文化でしょう。日本で新卒1~2年目で脱落したら一般的にはバッテンでかなりマイナスで評価されます。一方でアメリカの場合だとGEのプログラムのような過酷な仕事に挑戦した姿勢が、たとえうまくいかなかったとしてもある程度評価されます。少なくともバッテンではありません。電通のような一流企業に入社した東大卒の女性の方にとっては電通を辞めることは人生の落伍者のように感じていたかもしれません。しかし、若者にとっては失敗できるのは大きな特典であり、最初の会社選びを失敗すると現実的には這い上がれないと思わせるような単線的な梯子だけの日本の企業文化がこの問題の根源にあります。

私は人事の専門家ではないので感覚的なものでしかありませんが、評定で部下を育てるという点が日本企業では軽視されているような気がします。GEの幹部候補生の場合は私の上司や人事が定期的に彼(女)らにインタビューして精神的ケアーもある程度しますし、上司の指導法についても聴きます。やはり中にはなにも指導はせずに上司の強い権限を振りかざし彼(女)らにやたらと無理な要求などをしたり秘書代わりに使う人間もいないわけではないですがそのような人間は注意されますし、ひどい場合は評定で大きくマイナスになります。割と日本企業ではあまりこのあたり口を出さないという例が多く、電通の場合なども上司がパワハラなどをしていても周りは見て見ぬふりをしていたのではないでしょうか?

失敗を許さない文化、指導法(特に若手)を軽視する姿勢が私は根源にあった気がします。これは電通だけでなく日本企業一般(例外もあるとは思いますが)に共通する問題でないでしょうか?

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なぜ返済猶予しても中小企業の経営は改善しないか?

2016.10.26

再生

今朝の日本経済新聞の記事で地方銀行など106行が返済猶予など融資条件の変更に応じた中小企業のうち6割強が4年以上たっても経営改善していないことが金融庁の調査で分かったようです。2009年中小企業円滑化法が施行され、本来の趣旨としては経営不振の中小企業が返済を猶予してもらっている間に再生するといったシナリオですが、その後もリスケ(条件変更)で元金支払い猶予などを繰り返して経営が改善していない先が多くあるということです。

記事の論調としては銀行が47%しかリスケ先に再建計画づくりなどの支援をせず、担保や保証協会(中小企業の借入金の保証をする公的機関)の保証でカバーされているためと銀行に批判的です。ただ、銀行も営利事業であり、収益としての利息が入り元本も担保、保証でカバーされていたら特に何もしないのは合理的でしょう。私自身は再生専業ではないですが経営改善の一環として中小企業の再生は手がけることがあり、そのような関係で再生専業の方や金融機関や関連機関の方などと接することはよくあります。とはいってもサンプルも少なくまじめに真摯に行っている方から見ると乱暴な見方かもしれませんが述べると以下です。

まずもともと返済猶予の際に計画を作成しますが、再建計画で重要なのは再建にかける経営者の熱意と再建案の品質だと思います。そして経営者の熱意と再建案の品質はリンクしています。したがって、本来あるべき姿は「経営を再建したいから再建案を作る」なのですが、実際には「再建案を作ると銀行が返済を猶予してくれるから作る」といったケースが多い気がします。そのような姿勢ですから企業再生の専門家にほぼ再建案は丸投げといったケースが少なからず見受けられます。本来再生の専門家も「中小企業の経営を立て直して社会の貢献したい!」という熱い思いで経営者と再建に向けて侃々諤々の議論とアドバイスをして計画を立てたいと思っていた方も多いようです。しかし、実態は丸投げされてしまうと「銀行や関連機関が納得しやすい再建計画」作成になってしまい、「再建案の品質」として、とにかく作成資料の細かい数字の整合性にかなりの努力を注ぎ込む結果になります。再建計画をいかに早く作るかとエクセルのスプレットシートの洗練度がどんどん高まっていくだけに陥りがちです。経営者としてはリスケさえしてくれればいいので、継続支援などはもともと求めていません。もしかすると専門家も単に数字作りだけができるだけで実際の再建の能力がない方もいるというのも原因である可能性はありますが。

結論としては政治的には難しいし冷たいようですがどこかでリスケの繰り返しという延命装置は外さないと社会的コストがかかりすぎます。しかも、経済のダイナミズムとして参入と退出というのは一定数必要です。あまり事業に情熱はないのだが継続している理由に経営者が個人保証や担保で事業を止めると身ぐるみはがされるという問題があります。したがって担保処分や保証の履行で経営者が身ぐるみはがれることのないように手当しつつ、静かにやる気のない先は退出してもらうことに税金をつぎ込む、「幸せな廃業」のほうに力をそそぐ方が良いのではないでしょうか?このあたり私も銀行や保証協会、中小企業支援協議会などとも連携して考えていければと思います。

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アデランスはなぜMBOにはしったか

2016.10.20

katsura

アデランスが先日MBO(ざっくりいうと経営陣が自分で株式を買い取って株式を非公開にすること)を行い株式上場を廃止することになりました。投資ファンドのインテグラルが新設した子会社を通じてTOBを行い、そのインテグラルの子会社に経営陣が過半数を出資する形になってインテグラルと経営陣が所有する形になります。インテグラルはスカイマークの再建などで有名で上場を廃止した後、再建をともにやっていくという考えのようです。

原因は経営不振で確かに14日発表されたアデランスの第2四半期の決算では営業利益は6割減で経常赤字に転落しています。決算資料を見ると特に女性向けかつら(ウィッグ)の不振が主な原因のようです。同業者のアートネイチャーの決算資料(まだ第2四半期決算は公表されていないので第1四半期)をみると同様に営業利益が60%減でやはり同様に女性向けかつら(ウィッグ)の不振が大きな原因なようです。両社ともに高価なオーダーメード品および装着するだけの既製品も両方ともに売上を減らしています。仮説ではありますが一つとして女性市場で装着するだけの既製品の知名度が高まって高価なオーダーメイドの必要性が薄れたというのがあるかもしれません。一方で装着するだけの既製品はオーダーメイドと違い店舗は必須でなく、量販店などでも販売できるので参入が容易で価格破壊が起こっています。この分野ではユキや小林製薬が参入してきて競争は非常に厳しいようです。参入が容易な市場で利益を上げるのは非常に難しい典型的な例です。如何に競合ゼロに近い状態に持っていくかがカギでしょう。

MBO後の展望としては3つと思っています。1つは競争が激しい女性の既製品分野でどのようなポジションを取るかです。レッドオーシャンとみて撤退するのでしょうか?2つめは広告戦略でしょう。売上げの3割は広告宣伝費に投入しています。割と生命線なので安易に削ればいいというものではないですが、どのようにこの巨額の広告宣伝費を用いるかがカギでしょう。最後に海外展開で子会社は北米以外はタイとフィリピンのみで、海外売上はかなり北米に偏っていますす。やはりアジアへの本格的な開拓は鍵ではないかと思われます。いずれにしてもいかに競合が少ない状態に持っていくかが展望かと思います。非上場にしてしまうのであまり情報が流れてこなくなりますがどのような手を打って再建するのか非常に楽しみです。

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