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経営

高度プロフェッショナル制度は単なる残業ゼロ法案か?

2017.05.08

safin

高度プロフェッショナル制度(正式には特定高度専門業務・成果型労働制)を導入しようと安倍内閣は考えているようです。一方、民主党などは単なる過労死・残業ゼロ法案だと反発しているようです。少し内容をみて行きたいと思います。

現行の提案は年収1075万以上(労働者の平均年収の3倍)を超える高度な専門職(金融商品の開発、ディラー、アナリスト、コンサルタント、研究開発)に対しては時間外、休日、深夜など一切の割増賃金が支払われないというものです。ただし、始業から24時間以内に継続した休憩時間、4週間に4回、年間104日の休日はもうけなくてはいけないことになっていて、かつ健康管理として働く時間に上限をもうけることになっています。そもそも金融商品の開発、ディラー、アナリスト、コンサルタント、研究開発は成果が出ないと意味がない職種なので無意味に長く働かせるインセンティブは企業側にはないと思われます。また、研究開発は少し違いますが金融・コンサルは非常に流動性の高い職種なので理不尽な労働上環境だとどんどん人材が流出すると思われます。小さく生んで大きく育てるとの見方でいったんこの法案が成立するとどんどん年収基準は下がり、専門職の範囲も拡大していくだろうという心配もあるようです。しかし、この方向に行くのはおそらく確かだと思います。

多少楽観的すぎる見方かもしれませんが、高度プロフェッショナル制度でどんどん柔軟な働き方が進んでくるのではないかと思っています。イメージとしては「社員をサーフィンに行かせよう」という米カリフォルニアのアウトドアウェアメーカーのパタゴニアの創設者が言った言葉です。狙いは社員一人一人がプロとしての自覚をもって自己管理をして効率的に仕事を行うという考えです。いい波が来たら平日昼でもサーフィンに出かけるけどその分時間をうまくやりくりして自分の仕事をきっちりやるということです。できたら企業規模の大小にかかわらずこういった働き方ができる社員や組織を生み出せたら素晴らしいことではないでしょうか。一方横並びで暇なのに周りがやっているからダラダラ会社に残る、こんな経験をしたことのないサラリーマンは珍しいと思います。高度プロフェッショナル制度がこういった風潮に風穴を開けてくれればと期待しています。そういった意味で、毎朝の朝礼に出社を強制される(マーケット相手のディラーは仕方ないと思いますが)とか時間に関して上司の許可が必要(知らせることは必要と思いますが)など実質時間管理をしているなどの単なる脱法行為でないかは労働基準監督署などが目を光らせておく必要があるとは思います。

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日本郵政のトール社の買収失敗はなぜか

2017.04.26

JP

日本郵政が豪国物流会社トール社の減損で4003億円の損失を出すこととなりました。これは2015年に6200億円で買収したトールのブランド価値を占めすのれんを一括償却したためです。その原因についてはトール社の営業利益が当初の予測の408百万豪ドルから69百万豪ドルと大幅に低下する見込みとなったからと発表しています。日本郵政の長門社長は「当時(買収時)の査定が甘く買収額が高かったのではないか」と述べて言う一方「現地に任せすぎていた」とも述べています。買収時のEBITDA倍率(買収価格を税引前利益に償却費用を加えたもの≒キャッシュフローで割ったもの)は9.2で、やや高めではありますが許容の範囲内ではあると思います。東芝の買収のように一種の潜在負債のようなものがあったわけではなく、プレスリリースで伝えるように豪経済の不振であれば少なくとも「査定が甘く買収額が高かったこと」が今回の減損の根本原因ではありません。

むしろ日本企業の海外企業の買収でよく聞く「現地に任せすぎていた」が根本原因だと思います。25日に発表されたプレスリリースを読むとトール社の弱みということできちんと分析されています。まとめるとトール社はM&Aで成長してきた会社ですが統合が不完全でバックオフィスやITなども統合されておらず高い固定費率だったということです。もしかすると外部のコンサルティング会社などを使ったのかもしれませんが明確に不振の分析されており、さすが優秀な方々がいらっしゃるのだなと思われました。一方で、これは別に今起こったことではなく買収時には存在していたことです。このような分析をしていなかったか活かされていなかったわけです。つまり買収しっぱなしで日本郵政としてPMI(買収後統合)を全くやっていなかったことになります。日本の一流企業でもデューデリジェンス(買収監査)でいわゆる資産負債の査定と法務(リーガルチェック)だけ行い、このような企業の経営上の問題点など将来事業成績に影響を与えるような事項分析であるビジネスデューデリをほとんどやっていないことが多いことに驚きます。ビジネスデューデリをやっていないわけですから統合の絵も描けずPMIはやらない、「現地に任せっぱなし」になるわけです。

本来はビジネスデューデリを買収前に行っており、そこである程度事業戦略を固めて買収後は一気に(ある程度再調査などは必要なケースはありますが)統合手続きに入るべきでしょう。買収された側というのは不安なものですが、どちらかというと「何かおこるのではないか?」という将来の不安の方が大きいものです。最初に一気に「やることはXXです」とアナウンスして一気呵成にやる方が、たとえ従業員にとって苦い現実であっても先の見えない不安よりはましです。まとめると、今回の減損は経営陣のリーダーシップの欠如とM&A戦略の未熟さが原因の人災と言えると思います。

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補助金と助成金

2017.04.14

注記朝

新しい年度が始まるとぼちぼち問い合わせが来るのが補助金と助成金についてです。基本的に私はお役所相手の書類仕事は苦手意識があるので提携している他士業の方にお願いしています。補助金と助成金ですが違いは助成金は資格要件を満たせば受けられますが、補助金は決められた予算の中で競争があり必ずしも受けられるとは限りません。。

補助金は予算ありきなので、突然中小企業庁のHPに公募がのり2か月くらいで募集が締め切られるケースが多いです。ただし、たいてい例年時期は決まっているのでそれに備えて準備していなければまず無理です。採択率も10%~50%とまちまちです。中小企業にとっては膨大な書類を用意することになるので補助金書類作成が得意な士業に頼むこととなります。採択率が低いため成功報酬の形が多いので、採択率が低くかつ補助金の額も低いもの(たとえば以前あった第2創業補助金は採択率が10%くらいで金額も100~200万程度でした)は普通誰もやってくれません。したがって、「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」(以下「モノづくり補助金」)のような1000万レベルの補助金が事業者、士業ともに人気となります。しかし、例えばこのモノづくり補助金を取ると真に革新的モノ作りやサービスをやろうとする方が年2回程度の公募と審査を悠長に待って投資するとは思えず、スピード感的にお役所感覚とは随分違う気がします。要するに補助金はお役所の「供給サイドの発想」で行われており、使い勝手は全体に悪く意味があるのだろうかと首をかしげます

一方助成金ですが資格要件を満たせばもらえますし、年中募集しているので使い勝手はよい感は強いです。一方巷では「助成金とらせ業」がはびこっています。自社製品・サービスを買ってもらうために助成金をセットで売り込む業者です。人間不思議なものでタダで手に入るものだとたいして吟味せず、安易にその業者の製品・サービスを購入してしまいます。要するに潤うのはその業者だけということです

多少意地悪な見方をしましたが補助金や助成金は中には非常に役立っているケースもあるかもしれませんがきわめて効率の悪いやり方に感じます。同じ税金を使うのでしたら違うやり方があるのではないかと思った次第です。

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社外取締役の報酬は低すぎるか?

2017.04.10

社外役員

日本経済新聞で社外取締役の報酬が低すぎるという記事が載っていました。参画の度合いや責任に対して十分な報酬を受け取っていないのではないかとし、日本企業の社外取締役の報酬年額は平均は669万円で米国企業に比べ4分の1だと述べています。その原因としては年報酬100~499万が全体の38%と中堅以下の企業の報酬が安く設定されいるのが大きな要因とされています。年100万以下の企業も5%程度あったというのはさすが驚きましたが。

以前、弁護士の社外役員(監査役含む)をされている方対象に不正会計の講師をやらせていただいたことがありました。中堅レベルの会社の社外役員の方が多かったのですが、その際悩みとして挙げられていたのが事前資料の問題でした。取締役会の事前にきちんと討議内容についての資料が送られていればいい方で、当日になって初めて渡されて説明を受けるといった企業もありました。事前に送られてきて前日など直前の場合も多くあまり目を通す時間がないとのことでした。

このような状況であれば使う時間も限られており社外取締役本人も真面目な方は悩まれると思いますが、少なくとも報酬が安いとは感じないと思われます。「報酬を上げる→社外取締役を含めてのきちんとした討議ができる」というベクトルよりも「社外取締役を含めてのきちんと討議する体制を構築する→社外取締役にきちんと時間とってもらう→労力、時間に合わせた適切な報酬を設定する」というベクトルの方が健全かと思います。社外取締役の報酬が低いと取締役会が形骸化するではなく、取締役会が形骸化しているから社外取締役の報酬が低いという因果関係かと思います。

そろそろ社外取締役の数などよりも例えば討議事前資料の準備度など実質的な取り組み、体制についての議論を深める時期になってきているのではないかと思われます。

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残業100時間くらいじゃ人は過労死しない!

2017.04.04

zanngyou

月曜日の日本経済新聞で残業規制を100時間以下にするか未満にするかで連合と経団連側でもめたと掲載されており非常に空しい思いをしていました。暴論に感じるかもしれませんが月100時間を超える残業ペースで働いたとしても簡単に過労死はしないと思います。そして、過労死には精神的な要素が多くあると思います。精神的な要素と言っても過労死する人間は精神的にひ弱だったとか言う話ではありません。簡単にいうと「働いても」過労死はしないですが「働かされる」と過労死は増えると思います。全くクローズアップされない労働時間的にブラックな世界として開業2~3年くらいのフリーランスを考えてみてください。ようやく仕事をとれ始めてとにかく仕事をするのがうれしくて労働時間無限大くらい遮二無二仕事をされた方は多いのではないでしょうか?こういったケースで過労死することはあまりないと思います。一方サラリーマンは無駄な残業で「働かされる」ために精神的に参ってしまうケースが多い気がします。私は無駄な残業を「制度的残業」「大企業型残業」「中小企業型残業」の3つに分けてみました。

「制度的な残業」はその会社(または部署)で残業が制度化されてしまっているケースです。例えば私の友人が働いていたある大企業の財務部の話です。この会社の財務部では6時の終業の30分前くらいに必ず夜食表が回ってきます。そして夜食を食べると少なくとも9時までは会社にいることが不文律となっていて、かつ夜食を注文しないと必ず誰かから「今日は早く帰るの?」と声がかかるそうです。要するに実質的な定時が夜9時になっているわけです。ここまで極端な例ではないですがなんとなく忙しくてもそうでなくても帰社が早くとも夜8時~9時の不文律がある会社はあります。上層部による夜XX時以降の残業は禁止という強制は無駄だという声はありますがこの「制度的」無駄な残業を防ぐ役割は果たすと思います。

「大企業型残業」は大企業に多いタイプの残業です。大企業では「XX企画本部」とか「XX戦略室」などの企画・管理の部署が増殖しがちです。このような部署が真に会社の戦略・方向性を定めて引っ張っていくケースもあるのですが結構無駄に残業を増やす元凶になることも多いです。このような部署は出世コースの仕事熱心な方が多く配属されます。しかし、悲しいかなこの部署だけでは通常何も付加価値を生み出しません。したがってやたらと現業部門に資料の作成を求め様々な管理手法を編み出してどんどん現場の仕事を増やしてしまいます。大企業にありがちな顧客ではなく内部資料を作成する時間が増えてしまうわけです。これを防ぐためには上層部がきちんと企画・管理系の部署が増殖しすぎないよう目を光らせているのと同時に、「クレクレタコラ」になってやたらと資料の厚さを競うことのないよう留意する必要があります。

「中小企業型残業」は立場の弱い中小企業に多いタイプの残業です。利益率が低く理不尽な顧客が多いケースです。利益率が低いととにかく量でカバーしなくてはなりません。そして不思議に利益をくれない顧客に限ってクレームも多く、非常に厳しい期限や価格に合わないサービスを求めたりします。このような理不尽な顧客のために仕事をしていると当然従業員の心も疲弊しますし荒廃します。対処法としては下請けなどの場合は非常に苦しい選択となりますが長い目で見るとこのような顧客は切るという思い切りが大切だと思います。

別に長時間労働を推奨するつもりはないですが、本当に必要ならばある程度長い時間働いても何とかなるものです。創生期のベンチャーなどは労働時間的にブラックですが、みな「働いてる」のであって「働かされる」ではないためつらいこともあるのですが基本的には皆ハッピーなのだと思います。

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森永製菓と乳業の統合破綻

2017.03.31

morinaga

森永乳業と森永製菓が経営統合を白紙に戻したという記事が今朝の日経に載っていました。記事の論評は大型再編が続く世界の状況で出遅れた、好業績で危機感が薄く合理化を拒んだと非常にネガティブな論調です。世界の食品の統合として米クラフトとハインツの経営統合、日本では明治製菓と乳業の統合で明治ホールディングスが生まれています。

私の持論ですが、基本的に対等な合併や統合は成功しません。この森永製菓の幹部の発言にあるように「エネルギーを合理化などの内部に使うのは時期として良いものなのか」というのは確かに危機感の薄さは感じますが納得できるところはあります。世界のグローバル企業では合理化を進めながら成長するなどというのは当たり前のことで合理化しているから成長に力が注げないというのは一般的には理解できません。しかし、対等に統合すると、必ず元自社のやり方に固執する有力者が出てきて必ずもめます。そして内部のパワーゲームなどでかなりエネルギーを消費してしまいます。したがってこの幹部の言うことは理解できるわけです。

統合や合併などでは必ずどちらかが主導権を握らないとうまくいきません。企業の理念などは主導権を握った方に合わせてもらい合わない人材は去ってもらうくらいで良いと思います。しかし、それ以外は別に主導権を握った方に合わせる必要はありません。主導権を握った方のリーダー(一般的には社長)がお互いの意見を聞いて合理的な判断で素早く決めていけばいいわけです。このあたり一流米国企業のリーダーは凄くて平気で被合併会社の仕組みに大部分が乗ってしまったりこのあたりは柔軟です。このあたりのスピード感と切れ味がある日本人の経営者というのは少なくて、日本企業が合併・統合しても民主党のようなまとまらない弱者連合になってしまう例が多い理由の一つだと思われます。

そういった意味で主導権を握れるほどパワーのある経営者がいない中での統合を選ばなかった森永製菓と乳業の選択は残念ながら正解と言わざるを得ないかと思います。

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公認会計士からみた社会福祉法人

2017.03.27

kaigo

社会福祉法人(収益30億または負債60億以上)の公認会計士監査が義務化されたこともあり、最近社会福祉法人関連の仕事をする機会が増えてきました。社会福祉法人には障害者や高齢者、保育園、病院などがあり、私は個人的に少子高齢化に伴う両面である保育園と介護施設に興味があり、現状割と積極的にお受けしています。

新聞紙上で取り上げられるのはたいてい公益を隠れ蓑に一部の理事長や理事などが高給をむさぼり利用者や職員は劣悪な環境で搾取されているような例ですが、きちんと網羅的に調査しているわけではないですがきわめて少数だと思われます。私の見ている少数例ではありますが、現場、経営陣ともに日夜真摯に取り組まれている感は強く頭が下がる思いです。

綿密な調査に基づく結論ではありませんが、私なりの感想を述べさせていただきたいと思います。「いかに悪い結果につながったとされる事例でも、それが始められた当時までさかのぼれば、善き意志から発していた」というのが全体的な所感です。一つとしていろいろな意味で行政の関与は必要なことは否定しないのですがどことなく、行政の感覚は現場感というよりも机上な気がします。例えば、特養(特別養護老人ホーム)についてのユニット型ケアの問題があります。従来の特養ですといわゆる4人部屋など大部屋でしたが、ユニット型では1ユニットごとに専用の居住空間と専任の職員を配置することにより、大規模(多数床)施設でありながら、小規模生活単位の家庭的な雰囲気のなかできめ細やかな介護ケアを行なうことができます。現場の方にお聞きすると確かにユニット型の方がきめ細かくて良いことは確かなようですが当然人手がかかるそうです。新しい特養は基本的にユニット型しか許されないのですがこの介護人材不足の中で人が取れなくて現場は大変なようです。特養入居待ちが続く中で人手不足でフロアーが空いている例もあるようです。行政としては一人一人の入居者の厚生を高めようというよき意志から考えたのだと思いますが悪い結果につながっているかもしれません。

また、ここでは詳細は述べませんがとにかく介護保険関連は必要書類が膨大です。これも不正受給を防ぐために行政が様々に考えた結果だと思うのですが、現場はそのチェックなどでやたらと時間を取られています。介護人材で「利用者」ではなく「書類」の仕事をする時間が増えるという悪い結果につながっています。財務資料なども拠点ごとサービスごとに作成しなくてはならず膨大で上場企業の有価証券報告書並みの厚さがあります。全く不要とまでは申し上げませんが、ここまでの細かい資料の必要性については疑問を持っています。どんぶりではなく部門ごとにきちんと計数管理をするという考え方は正しいのですが、画一的に作成方法を定めて強制するという手法には疑問を抱きます。

最後にこれは違った観点ですが行政は新しい建設には前向きなのですが、従来の設備の大規模改修には後ろ向きな印象が強いです。とにかく社会福祉法人は内部留保を増やすなと縛り、補助、助成に関してもあまり積極的でない感があります。しかし、実は改修によって利用者の厚生も向上しますし、職員の導線が効率的になり少ない人材で対処できるようになります。人材不足に対する一つの解法にはなります。地方議員も行政も新規建設はアピールしますが、改修はあまりアピールにならないからではないかと考えるのは下種の勘繰りでしょうか?

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大企業のベンチャー買収の盲点?

2017.03.24

注かい

今朝の日本経済新聞で大企業が人材や技術の取り込みを狙いベンチャー企業(VB)に対する買収や出資を急速に増やしているという記事が載っていました。記事によると2016年の出資を含めたM&Aは347件1025億円になり調査を始めた2012年の件数で6倍、金額で約3.6倍に増えました。日本経済新聞では大企業が自前主義を捨てて外部の技術などを自社に取り込み新製品を生み出す「オープンイノベーション」に舵を切っているからだと解説しています。

確かに最近いくつかの大企業で「社長の肝いり」で買収案件をさがしているという話を私も耳に挟みます。ただ、この手の話ではたいてい問題点があります。本来の目的は自社に必要な技術等を取り込み最終的には自社の発展につなげることなはずです。日本企業で往々にしてあるのは「買収すること」は手段にすぎないのにもかかわらず「社長の肝いり」ということもあって担当者が買収を焦ることです。よく買収案件で他社に案件がいってしまったり、条件が合わず断念したりすると「負けた」と言われ社長から叱責されたという話を聞きますが、無理な高値や不利な条件でも買ってしまうのは「勝ち」ではないはずです。VBの例ではないですがアサヒビールの東欧のABインベブ事業の買収などはとりあえず公表されている情報から判断すると典型的な例と思われました。

2つ目は買収の専門家の不足でしょう。以前ある大企業の買収に係った責任者の方から「この案件は一流投資銀行が仲介して一流会計事務所と弁護士事務所にデューデリ(買収監査)してもらったから大丈夫」と話されて耳を疑いました。本来被買収企業の将来性やリスク、買収企業との戦略適合性、文化の融合などいわゆるビジネスデューデリが一番重視すべきなのですがそれをした気配がないことです。法務や会計の専門家などはある程度そろっていますが基本的には現状のリスクを教えてくれるにすぎません。大切なのは将来であり、将来リスクを見込んで買収条件に取り込み、かつPMI(買収後の統合)プランの絵を社内でまとめてきちんと描ける専門家は重視されていないこともありほとんど存在しておりません。これもある大企業の役員の方から聞いた話ですが買収したのだが買収反対派の役員が邪魔をして全然活かせていないとこぼしていました。買収前にきちんと絵が描けていないとこのような話になります。非常に残念なことです。

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市光工業にみるグローカル経営

2017.03.22

ari

日本経済新聞で「帰ってきたぶり企業」という連載がされています。いわゆる久しぶりに最高益を更新して復活した企業を取り上げており興味深く読ませていただいています。今日は自動車部品の市光工業が取り上げられ仏親会社のヴァレオ出身のアリ社長が日本流カスタマーインティマシー(顧客と強固な関係を築いて顧客を囲い込む手法)を導入して一気に復活に導いた話が載っていました。

私もグローバル企業の子会社で何社か残念な会社を見てきました。たいていの残念な会社の特徴は子会社の社長に顧客ではなく本社の方を向いて仕事をするように強いることです。グローバル企業としての経営理念、ブランドイメージに係る部分や全体としての効率性についてはかなり本社の意思は尊重する必要がありますが、それ以外の部分は現場の意見というのは非常に大切です。しかし、酷い本社の例だと「顧客をもう少し教育しろ!」などと現場感のない本社の官僚的な上司から指令が下りてきます。アリ社長が来るまでは研究、開発、製造の各部門がそれぞれ権限を持つのはよかったのですが対応がバラバラで顧客の評判が悪く業績が悪化、名古屋の出張に新幹線が使えないなど縮小均衡的なコスト削減で目先の業績改善を目指す典型的本社を向いての経営が行われていたようです。

日本の製造業の特徴として「すり合せ」があります。特に車や機械など組み立て型産業に多いのですが部品メーカーと組み立てメーカーが一緒になって最終製品を作っていく仕組みです。これが研究、開発、製造の各部門がバラバラでそれぞれ言うことが違うと最終製品を作る組み立てメーカーとしては大変迷惑なわけです。アリ社長はこの3部門を統括する担当者を案件ごとに設置して、部門の独立性をある程度維持しながらカスタマーインティマシーを達成しました。

これは一見簡単なようです。しかし、欧米系の部品メーカーですと各部門は本当に別会社のようで日本法人の部門長は日本法人の社長ではなく本社の部門長の指揮下で動いています。これを日本法人として取りまとめていくのは社内政治力を含めた相当なリーダーとしての力量が必要だったはずです。

日本企業が海外に進出する際も現地法人のトップには本社の理念やブランドは守りながら必要な現地化は取り入れていく、こういった本社と政治折衝ができる柔軟で力量のあるリーダーが必要になってきます。こういった力は単なる英語力などよりも大切だと思うわけです。

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あいつぐ企業における不正防止における根本的問題

2017.03.15

fusei

東芝で決算発表が遅延し、DeNAで一連の不適切なキューレーションの扱いについての第三者報告書が出されました。両方とも不祥事ではあるのですが非常に対照的なことに、東芝が大企業的な硬直的で風邪通しの悪い文化が指摘されたのに対し、逆にDeNAでは「永久ベンチャー」を標榜した自由闊達すぎる文化がこの一因となったということです。第3者的に見ると非常に混乱することです。

ただ、両方ともに共通しているのはウェスチングハウスとiemoといった会社を買収した後の統合プロセスに問題があったと言えることです。東芝の場合もDeNAの場合も買収した会社に対しコントロールが働かない状況になっており子会社の暴走が根本的な原因となっています。一つとして特に日本企業の内部監査の弱さにあります。一時期J-SOX(内部統制報告制度)が導入され、この内部監査が注目された時期がありました。しかし、日本企業の内部監査室はJ-SOXで監査法人の監査が問題なく終わるように資料を準備するきわめて形骸的な仕事を行うセクションになりつつあります。如何に期待されていないかはDeNAの第三者報告書(概要)を読むとこれだけの問題なのに31ページの報告書で内部監査室についての記述はたった10行程度しかありません。

通常欧米グローバル企業では買収された会社には統合の過程で内部監査チームが入り、内部のプロセスの問題点について内部統制の観点から徹底的に洗い出されます。一般の方々の印象でいうと内部監査とは書類がそろっていない、印鑑がないといった重箱の隅をつつくようなことをする仕事だと思っていますが、もう少しマクロ的な視点から効率性とリスク軽減の両方の視点を視点をバランスよく持って行うのが本来の姿です。J-SOXの導入によってむしろそういったマクロ的な視点よりもひたすら証跡書面に不備がないかといったミクロ的な視点しか強調されないのは残念です。

この原因としては監査法人側の極端なマニュアル監査の体制にも問題があるような気がしてなりません。私のお客様が愚痴を言っていたのですが監査法人から問題があると指摘された事項で前月をコピペして使っているスプレッド-シートで月の記載が1か所前月のままだったということがあったそうです。確かにあまりほめられたことではないですが内容はきちんと当月のもので特に誤りがあるわけではないです。こういった重箱の隅をつつくようなことを指摘しても意味がないと思います。東芝の例がわかりやすいのですが内部統制において私は一番統制環境が重要だと思い、東芝の場合いわゆる経営陣の倫理性や姿勢に問題がありそのためにすべてのコントロールが形骸化していたところにあります。こういった本質的な部分を軽視して形式的な書類の不備をやたらと指摘する姿勢が最近のマニュアル監査では横行しているような気がしてなりません。

当事務所では本来あるべき内部監査チームのコンサルティングや、内部監査のアウトソース、サポートを承っています。お問い合わせは↓まで

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