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中小企業感覚でみた森友学園問題

2017.03.01

abe

森友学園問題国会やマスコミで盛り上がっています。約9億円の時価の土地を約1億円で森友学園というやや国粋教育の傾向が感じられる私立の学校法人に払い下げた問題です。民進党などは安倍首相の関与があるのではないかと予算委員会で追及しています。この予算委員会は基本的には予算を決める場ですが、一応国政の重要事項については話し合うことが通例になっているので森友学園問題が取り上げられているのかもしれません。中小企業で考えると経営会議で事業計画の詰めをやっているところで社長の不正疑惑が反対派閥の役員から出てきたようなものでしょうか。

さて、我が国の借金は約1000兆円です。あまりにも金額が大きくて感覚がつかめないので中小企業感覚で巨額の借金ということで10億円といったところでしょうか。1000兆円の借金のある国が約8億円の不正の問題を話し合っているということはほぼ10億円の借金のある中小企業が800円の社長の不正で侃々諤々の議論をしていることになります。単に金額的にとらえると近くの中華料理屋の800円のランチを社長が会社の経費に付けたみたいな問題です。あまり政治のことはわかりませんが、一国の首相が本格的に関与していた案件としては2ケタ以上小さい感があります。

要するに中小企業感覚では800円の支出で経営陣が侃々諤々の議論をしてはいけないですし、むしろ10億円の借金をどう返済するか真剣に話し合ってほしいと思うわけです。もちろん森友学園問題は憎むべき不正ではありますが、もっと差し迫った問題があると思うわけです。民進党も真面目な方々が多く不正を憎むのだとは思うのですがなんとなくバランス感覚が企業経営に携わっている人間からすると悪い気がします。

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プレミアムフライデイー企業側のメリットとその条件

2017.02.27

premium friday

プレミアムフライディが先週ありました。実は夕方6時の打ち合わせのために都心を歩いていましたが、あまり変わりはなかった気がします。郊外などでは小売業がイベントをやって確かに売上は伸びましたが、ほとんど増えた部分はイベントを聞きつけてやってきた主婦だっという話が新聞に取り上げられていました。

プレミアムフライディ欧米帰りの経産省のお役人あたりがもともとは考えたのではないと想像します。私がアメリカで働いていた際、毎週金曜日たいてい午後は自由で仕事が早く終わった人は家族と金曜日の午後のランチを楽しんでいました。私も忙しい時以外は毎週金曜日は昼ごはん食べた後は、今週やり残しをチェックして必要な部分終わり次第帰宅していました。

一方私も日本で働いていた頃は週末出勤しなくても済むように金曜日は夜中まで仕事をしてタクシー帰りなどということも結構ありました。すると土曜日はぐったりして遅くまで寝ていてどこにも行かず日曜日に少し活動したら週末終わり・・・という感じになります。なんとなく月曜日会社に行くのは憂鬱でした。

一方金曜日早く帰ると土曜日は元気に早く目が覚めます。週末レジャーは計画的に無理なくできますし、自己啓発的に本を読んだり勉強をしたりすることもたっぷりできます。そして、月曜日は元気に出社します。とはいってもまだエンジンがかかりきらないので月曜日はソコソコ仕事をして火~木は本当に集中してバリバリ仕事します。そして金曜日は少しクールダウンします。要するにウォーミングアップ→バリバリやる→クールダウンとリズムが非常によくなります。意外にプレミアムフライディはヒトのリズムに従っていて、理にかなっているわけです。私はこの制度、生産性の観点からは企業にメリットがあると思います。

ただし、前提条件があります。一つ目として部門長的な人のきちんとしたマネージメント能力が必要です。部署の目標そしてそれを達成するために手段が見える化されて、部門のメンバーが理解し、ある程度計画的に運用されていることです。ここら辺がしっかりせず、不必要に後出しじゃんけん的にどんどん仕事がやってくるようではまず不可能です。私が会社員時代、そしてお客様として外から見ていてもこのあたりきちんとしたマネージメント能力のある部門長は日本企業では少なくこのあたり無駄な残業が多くプレミアムフライディなどは全然無理といった状況があります。

2つめとしてプロ意識を持った社員の存在があります。別に与えられたから仕事をするのではなく部署の目標そしてそれを達成するために手段を理解して必要な仕事をやっているのであれば自信を持って早帰りができます。こういった自律的な社員に「労働時間」の概念は全く不必要で「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入が本当のプレミアムフライディの導入には必要だと思います。

上記の部門長的な人のマネージメント能力をまとめた本「部長の仕事術(仮題)」を3月中旬アスカ出版より発刊します。お楽しみに。

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ママ起業ブームと期待外れの起業スクール

2017.02.22

 

mama

YAHOOニュースでママ起業ブームとそれに伴う起業スクールの問題点が記事として載っていました。趣味や資格を活かして子育て中の女性の起業がブームになっているようですが、一方で「ママ起業セミナー」にいい加減なものが多く問題になっているとのことです。ママ起業とママ起業家セミナーというものを考えてみました。

「趣味や資格を生かして、教室や店を開く。ネット上で、ビジネスを立ち上げる。子育て中の女性による起業。「ママ起業」がブームだ。育児と仕事を両立させて働くママ起業家の日常はSNSで拡散され、ファンが広がる。この起業ブームの中で、「ママ起業セミナー」をめぐるトラブルも目立ちつつある。数万〜数十万円という費用を支払いながら、セミナーで得られたのはSNSの使い方など、お金を払って学ぶほどでもないことだったとの不満の声が上がっている。起業を目指すママの間で何が起きているのか。(ライター・鈴木麻由美/Yahoo!ニュース編集部)」

http://news.yahoo.co.jp/feature/517

私の妻の友人でも同じくママを相手にしたおけいこ事(パン教室やハンドメイド系)をやっている方が何人かいて、私の妻も通っていたりしますがざっくり見て商業ベースには乗っているとは思えません。ただ、別に商業ベースではなく本当に趣味の延長でやられているならばそれは人の生き方で批判するつもりもないですが、起業と呼べるものではないでしょう。したがって、起業セミナーに行ってお金をかけて学ぶほどのものではないと思いわれます。

私や周りでも「起業家」を相手にしている人は多いので聞いてみると子育て中のママ風の方というのはあまり縁がないようです。そもそも「ママ起業」という特殊な分野はないはずです。自分の友人などの狭いコミュニティの中でやっていくならばともかくある程度広い範囲でお客様をつかもうと思えば、商品・サービスに妥協はないはずです。「子育て中で大変」というのはある程度の共感ポイントになるとは思いますが、だからと言ってお客様は別に商品・サービスの質、値段について大目に見てくれるわけではありません。したがって、基本の「起業の方程式」的なものはきっちり身に着けたうえで、子育てママ的な視点などを活かしていけばよいと思われます。所詮「ママ起業セミナー」であれば同じようなレベルの方が多いので楽しいかもしれませんが本当の刺激はないと思われます。やはり、普通の「起業セミナー」で50代になり自分の将来も見えてきて必死に第2の人生を模索しているシニア予備軍や情熱あふれた若手起業家などにまじってこそ刺激になると思われます。

起業セミナーの選び方ですがきちんと何が身につくのか明示しているセミナーがお勧めです。小資本で起業するとなると私が必要だと思うのは1)自分の専門性、ノウハウ 2)マーケティンング(集客)3)ビジネスモデルだと思います。選ぶ際にはこの3つの柱をバランスよくきちんとカバーしているところがお勧めです。たいていのスクールはこれ以外の起業の手続き(開業届や法人の設立方法)や2)のマーケティングで単にSNSの推奨と交流会のアレンジにとどまっているものが多くこういったものに(数千円の安いものであれば別ですが)多額のお金と時間を使うのは無駄でしょう。

私も以下の通り起業セミナーをやっています。層としては起業したが少し行き詰っている方や会社員で第二の人生を必死に模索している方や起業志向の若手などがほとんどです。なぜか女性は全く来ないのですが(笑)、子育てママさんも真剣に起業しようと考えている方は歓迎です。

http://www.reservestock.jp/event/add_collaboration/171952

http://www.entrelect.co.jp/other/b_model.html

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ベンチャーCFOがいないとお悩みの経営者の方へ

2017.02.15

CFO

ベンチャー支援をしている同業の仲間や公認会計士などからCFOいませんかという問い合わせがよく入ります。転職エージェントからは私にやらないかという話さえ来ます。なぜこんなに足りないのでしょうか?

大きな理由は上場をさせた経験者を求める方が多いからです。しかし、上場をさせたら辞めて他の会社に行くといった上場請負人的な方がいないわけではないですが、通常はそのまま残ってCFOとして活躍していますから経験者の数はいないというのは当たり前だと思います。

もう一つの理由としてはベンチャーCFOは一人で割と総合的な能力が求められるからだと思います。私が思うには1)経営者の頭の中にある事業をきちんと事業計画の形で紙に落としていき実行に移す経営企画的な側面 2)事業計画と並行して資本政策を考え資金調達を行っていく証券会社引受的な側面 3)きちんとした財務報告体制を構築する公認会計士的側面 の3つが必要です。大企業だとそれぞれ長けた人を育成するか雇えばよいのですがベンチャーではそうはいかず一人にすべてを求めがちです。したがって足りないことになります。

私の私見ですがCFOとしては1)~3)までのいずれか満たした方でよく、足りない部分はコンサル会社などで対応してよいのではないでしょうか?実は見落としがちですが上記のテクニカルな面より大切なことがあります。ベンチャーですから様々な大波に翻弄されることになります。その中で辛抱強く冷静に会社を支えていく度量と人間性が必要です。経営危機になって真っ先にCFOが辞めてしまったいう話をしばしば聞きます。実はピンチの際にCFOは能力が一番必要なのであって順調にいっていれば極端な話誰でもできます。テクニカルな面よりも本人の評判やじっくり話しながら人間性をみて行く方が重要だと思います。(別に宣伝ではないですが)テクニカルな面はベンチャー支援のコンサル会社で何とかなりますから。

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中小企業の後継者問題3つの視点

2017.02.08

koukeisha

2月6日月曜日箱崎のロイヤルパークホテルにて公認会計士協会東京会主催で中小企業コンベンションが開催され、中小企業関連団体との交流が図られました。私は企画チームで主にコンテンツ企画を中心に行い、パネルディスカッション中小企業の後継者問題を取り上げました。その過程で3つの点で考えさせられるものがありました。

1つ目はどうしても後継者問題というと事業承継でかつ事業を親から子供への視点が強すぎる面があります。昨年6月に日本経済新聞で中小企業の社長の平均年齢は66歳と出ていて、なんとなく意識にはあったもののいざ聞くと結構衝撃的な数字です。後継者がいない企業をどうするか、主に従業員が継ぐ、M&Aのような形で売却、廃業するの3つの選択肢がありますが、この分野について積極的に関与している専門家というのは非常に少なく公的機関がかろうじて少しずつ動き始めた面があります。このあたり会計士(税理士)、弁護士直の専門家、そして公的機関(なぜならば採算にはのりにくいので)の3者の連携が大切かと思われました。

2つめとして事業承継に目を向けた際に、株価対策などの相続税対策で安心してしまうケースが多いということです。これは企業の顧問である我々税理士も反省しなければならないことですが、節税だけ提案すれば会社のためになるわけではありません。例えば、株式が相続により全然事業にタッチしていない親族などに分割されて増配要求など無駄な労力を費やす羽目になったケースや後継者教育をしていなかったために従業員が離反してしまうなどのケースがあるようです。統合した事業承継アプローチは必要だと思います。

3つ目は廃業の問題で借金+経営者保証があるため変に廃業すると経営者は家屋敷を取られて6畳一間のアパートで夫婦で寂しく老後を暮らすといったことになう可能性があることです。このあたり、まだ経営体力が残っているうちに私的整理などである程度最低限の生活を守りながら円満廃業する方式がもう少しあっても良いかと思います。このあたり弁護士の敷居の高さが少しあり頼みにくいという面はあるでしょう。そういった意味で東京弁護士会のコンシェルジェが得意分野の弁護士を紹介する中小企業法律支援センターなどは素晴らしい取り組みだと思いました。中小企業庁などでは経営者保証ガイドラインを出して、廃業の際に身ぐるみはがれないような仕組みの構築を開始しています。しかし、ほとんど家計と経営が一緒になっているような状況では簡単に金融機関も債務(一部)免除などもしにくいとは思います。その意味では顧問税理士も一定規模以上の金融債務があり家族以外の従業員がいるような企業に関しては明らかな公私混同の経費の使い方には苦言を呈してよいのではないかと思われます。

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外国人社員を雇うために考えておかなければならない2つのこと

2017.02.06

gaikokujinn

トランプ大統領の移民排斥の姿勢に世界各国の首脳から非難の声があがっています。しかし、日本の安倍首相はこの件に関してだんまりを決め込んでいます。一部の野党議員や新聞は安倍首相のこの姿勢を批判していました。私も個人的にはこのトランプ大統領の姿勢には怒りを覚えますが、日本が国として非難するようなことを言えば大ブーメランにしかなりません。例えば難民にしても日本は2015年に昨年の2倍以上の認定数でしたがなんと27人です。7500人程度申請してですから、とてもトランプ大統領を非難できません。

日本企業で足りない人員は何かと考えてみるとまず思い浮かぶのは製造業、運輸・建設、飲食・小売の分野です。比較的低賃金で人手不足に苦しんでいます。この分野の特徴は高度な日本語能力は必要なく、外国人側が日本語を覚えることです。多少一緒に働く日本人は相手のたどたどしさにイライラ感を持つことはあるかもしれませんが、自国語の優位性があって変な劣等感を日本側が持つことはありません。経営側としては比較的この層の外国人は使いやすいと言えます。ただ、景気の波に左右されやすい業種が多いので失業者が大量に出て社会不安になる可能性は多いです。

一方高度人材の移民はどうなのでしょうか?もし、日本にある程度の数の高度人材を雇うとなれば、おそらく日本側が世界のビジネス共通語になりつつある英語を学ぶこととなるでしょう。私の個人的体験ですがほぼ社内語が100%英語の世界でいろいろな世界の人々と働くことが快適かというとそうではありません。自分の英語能力の問題は当然あるのですが、やはり聞き落しがあったり、話したいことが伝わらずかなりイライラ感はあります。長くいるとなんとなくその環境にも慣れてくるのですが前者とは逆に軽い劣等感は覚えます。今の日本の英語教育のレベルで高度人材を入れても活躍できる分野は極めて限られてしまうでしょう。

息子の学校では英語イマージョンのクラス(例えば英語で化学などを教える)がありますが、あまり人気がないそうです。やはり単位を取るのが難しくて推薦入試などに不利になるからだそうです。彼はその科目にチャレンジするようですが親としても少し迷いました。比較的進んだ学校(中学でほぼ全員英検2級レベル以上)でもそうですからまだまだ日本の英語教育の道は遠そうな気はします。

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中小企業のための残業時間を減らす3つの方法

2017.02.03

karoushi

 

 

新聞紙上で残業時間を上限時間80時間とか月平均60時間に規制すると言われています。どれだけ効果があるかとこれを機にビジネスや社内体制の仕組みの改善に乗り出す企業が増えれば効果的ですが機械的に「早帰り」や「残業の禁止」などを企業でやっても、近所のカフェが夜に妙にサラリーマンでいっぱいに・・・といった事態になりそうです。

さて残業を減らすにはどうすればよいのでしょうか?残業もベンチャーなどで急成長を続けているステージでは減らすのは難しいです。しかし、業績も安定して飛行機でいえば少し安定航行に入った際には、理念に共鳴した創業メンバーだけでなく普通の人も多く加わっていきます。そして不思議なことに安定航行に入ったところでどんどん無駄なものが増えてきて人が増えても不思議と残業は減りません。そのあたりの話をしたいと思います。

1つとしては顧客の見直しです。成長段階はとにかく仕事が欲しいので、とにかく顧客を取っているケースが多いです。残念ですがその中にはやたらとクレームが多い割には値段を叩くなどする顧客が少なからず交っています。こういった方はあなたの会社の商品・サービスに価値を見出していないか単に強欲なだけかどちらかです。どちらにせよこのような顧客と付き合うと単に利益が出なくて手間がかかるだけでなく、担当者の精神を蝕んで生産性を確実に下げます。また、このような顧客の要求にこたえるためにどんどんプロセスが複雑化して労働時間を増やす原因になります。こういった顧客は思い切って整理することが大切です。私も一度経営危機に落ちいった企業で社長にこのプロジェクトを提案し行いましたが、これを行い1年くらいで業績はV字回復、残業も減るといったいいことづくめでした。

2つ目は社内資料のスリム化です。これは量だけでなく無駄な品質もそぎ落とすことにあります。会議資料は極めて簡潔にまとめることを徹底させます。残業が増えることの要因に社内資料にやたらと凝る管理職の存在があります。細かく資料つくりを要請し、フォントをそろえろとか色味を代えろなどは(教育目的なケースは別ですが)一般的には残業を増やすだけです。

3つ目は無駄な会議の撲滅です。これは現在でもよく言われていることですがもう少し言うと「アジェンダとゴールのない会議はさせない」です。ゴールとはこの会議が終わって参加メンバーが達成すべきことです。そしてアジェンダはゴール達成のためのプロセスと整合性がないといけません。例えば営業会議でゴールが2月の販売戦略の決定でもそれを1からつくるのか現状の延長で例えば「チャネル別にどのようにしていくか」などによってアジェンダは全く異なるはずです。このあたりが事前にある程度決まっていないとどんどん会議は迷走してしまいます。また、ゴールは必ずどこかに書いておいてずれたら必ずそこに戻ってくるように気を付けておくことです。要するに少し準備に時間をかける(と言っても無駄に分厚い資料を用意するのではなく)ことで随分会議は効率的になります。

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中小零細企業と金銭払い解雇

2017.02.01

JAL

厚生労働省の有識者検討会は30日、裁判で不当とされた解雇を職場復帰ではなくお金で救済する「金銭解決制度」の導入に向けた本格的な議論を始めたと日本経済新聞に載っていました。確かに裁判で不当解雇とされても職場に戻れるかというと、戻れても非常に居心地は悪く、それならば金銭で解決して次の仕事を見つけようというのがこの趣旨だと思います。また、中小零細企業の従業員だと社長の「お前は首だ。明日から来なくていい」と言われて下手をすると30日分もらえる解雇予告手当さえもらえない泣き寝入りも多くあると思われるのでその解決になるかと思われます。

大きな論点は金銭払い解雇の是非もあるのですが、この制度を企業側からの申し立てで適用できるか、解決金の相場(上限下限を設けるか)、国籍・信条による解雇を認めるかです。大企業と中小零細企業では状況が違うので今回は中小零細企業の見地から見ていきます。中小零細企業の現場では企業によって大きく差がありますが、基本的には裁判所的な見地での「不当解雇」は普通に行われている感があります。ブラック企業は大企業だと電通のように叩かれますが、実は電通の下にもっと労働条件の悪い中小企業である広告制作会社が多くあります。一方裁判所感覚の「不当解雇」の範囲は非常に広いという感はあります。例えば一度大阪地裁で会社更生法を申請した日本航空で解雇された従業員について人選が適当でないということで解雇無効判決を一度出したように(高裁で逆転判決)「裁判官の社会通念」はかなり一般と異なる感は強いです。非常に中小零細企業と裁判所との通念の差は大きいというのが実感です。

中小企業は社員一人の力は大きいので逆に言えば問題社員は辞めてほしいでしょう。また、裁判官の感覚で整理解雇を待っていたらまず倒産です。一方でブラック企業のように従業員を低賃金で酷使し体調を崩したら即解雇といった企業は中小零細にも多く存在します。労働法規に対する遵法性は一般論としては大企業より低い会社が多いというのがおそらく実情でしょう。そういった中でのギャップをどう埋めていくかというのはこの金銭払い解雇の導入の問題点でしょう。私としては中小零細企業側も社会保険労務士や労働法に強い弁護士のアドバイスなどを受けてきちんと労働法規を理解するとともに、裁判所ももう少し中小零細企業の実情を理解して今後の法の運用を考えてほしいものです。おそらくこれは判例の積み重ねといったある程度の時間が必要かと思われます。

根本は中小零細企業で解雇しなくても良いように問題社員を生み出さない、業績は悪化する前に早く手を打つ経営だと思いますが。経営相談、お問い合わせ等は↓まで

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好調な大東建託とアパート建設ブームの不都合な真実

2017.01.25

daitou

今日の日本経済新聞でアパート建設・不動産管理の大東建託の業績好調が伝えられています。4~12月の経常利益が1000億を超えた模様です。この要因の一つとしてはフローとストックをうまく組み合わせた巧みなビジネスモデルにあると思います。フローの部分はアパート建設で正式に発表されている第2四半期累積でこの部分で2951億の売上に454億の営業利益、ストックの部分は一括借り上げによる賃貸運営でその部分で3826億の売上に138億の営業利益と両方のビジネスがあります。賃貸運営についても借り上げに伴う家賃収入もありますが、営繕や家賃保証など幅広くキャッシュポイントを設けているところが巧みです。

業績の好調については新聞紙上などでも言われているように相続税対策によるアパート建設は大きな要因であると思われます。特に遊休土地を持っている地主さんの場合アパートを建てると土地の評価額は50%以下には普通下がり、建物部分は借入金と相殺されますので実質的に評価はゼロになります。アパートは大東建託などの業者が一括借り上げしてくれます。アパートオーナーは収益物件ができて相続税が安くなる、建設業者は建築とサブリース業で儲かる、銀行は貸付利息が入るで三方両得に見えます。しかし、リスクの配分を見ると明らかにオーナー>銀行>アパート建設・運営業者です。アパート建設業者はほぼ確実に銀行借り入れで入金してもらいますし、サブリースで賃貸収入のさやは抜けます。銀行は担保があるのでほぼ回収は確実です。しかし、一括借り上げといってもアパートは古くなってくると当然賃料は下げなくてはならないですし、改修費など支出が増えます。将来キャッシュフローに一番安定性がないのは実はアパートオーナーです

アパート建築の主な担い手はいわゆる経営者ではなく一般の地主さんです。どこまでこの不都合な真実を知ってアパートを建設しているのでしょうか?別にアパート建設が間違っているとは申し上げませんが目先の相続税の節税におどらされると痛い目に合うと思います。私の税理士の立場としては少なくとも目先だけの安易な節税を勧めることは慎まないといけないと思います。

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東芝問題の根源は何か?

2017.01.23

WH

東芝の原子力子会社であるウェスチングハウス(WH)が2015年末に買収したシカゴブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から買収した原子力サービス子会社(S&W)の買収価額でのれんの評価が最終的に確定したところで数千億円の損失を計上する恐れが出てきたと昨年末発表がありました。新聞紙上などでは5000億円を超える、または7000億円にのぼるという話が出ています。

この問題で不思議なのはこの損失をすべて東芝が負担する点です。巨大企業であると買収までにデューデリジェンス(買収価額の査定)をするものの、本格的な査定には時間がかかることはあります。しかし、大きな買収でよくあるパターンは買収時にある程度金額は決めていても最終的な査定までかなりの金額は保留して査定の結果価額が大幅に下がる際はその支払いを保留または減額するです。ニュースをたどるとS&Wに対してその損失を補てんするような契約が存在しているというものもありますがはっきりはしませんし、少なくとも東芝のプレスリリースではそのようなものはありません。

もう一つとして、確かに正式な発表まで時間がかかるのは確かですが、数字の大まかなものについては数か月で判明するはずです。いまだ1年たっても数千億円などという大まかな発表しかできないのは非常に不思議で隠蔽しているのではないかという疑問は強いです。

どんな企業でも「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」というシーザーの言葉にあるように嫌な現実から目をそらせる力が常に発生します。私の経験でも日本企業でも欧米企業でも悪い情報を握りつぶそうという経営幹部は必ず存在していました。ただ、本当に一流企業と言われる企業はその人間の性質に正面から目を向けて防ぐような仕組みが必ず存在していました。代表的なものとしては内部監査があります。一般的な日本企業だと(失礼と聞こえるかもしれませんが)J-SOX(内部統制報告制度)にしたがって非常に形式的な監査を行う部門か、左遷された元管理職が重箱の隅をつつくような指摘を行う部門が多い気がします。本当の一流企業だと内部監査は経営陣の耳目となる部門で将来の経営幹部候補が必ず通るような部署です。CEOやCFOなどの経営幹部も内部監査部門からあえて耳の痛い提言を求めています。内容もJ-SOXのような形式なものだけではなく広く業務の効率性、リスクマネージメントを含めて統括しています。おそらく東芝の場合このような耳の痛い話を経営陣に行う仕組みが存在していないのではないかと思われるわけです。(誤解のないように説明するとJ-SOX自体が形式的なのではなくその仕組みを形式的に運用しようとする企業や公認会計士を含む監査人が多いことは確かです)

どんな企業でもついつい都合の悪い情報は隠すという力が働きがちです。それを防ぐような仕組みは常に考えておく必要があるわけです。急成長企業などでもこのあたり目配りができない企業が多いのは残念です。私もこのような内部監査部門の構築支援などもしていますが、外資系企業はともかく日本企業からは声はかかりませんね。

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