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社外取締役の報酬は低すぎるか?

2017.04.10

社外役員

日本経済新聞で社外取締役の報酬が低すぎるという記事が載っていました。参画の度合いや責任に対して十分な報酬を受け取っていないのではないかとし、日本企業の社外取締役の報酬年額は平均は669万円で米国企業に比べ4分の1だと述べています。その原因としては年報酬100~499万が全体の38%と中堅以下の企業の報酬が安く設定されいるのが大きな要因とされています。年100万以下の企業も5%程度あったというのはさすが驚きましたが。

以前、弁護士の社外役員(監査役含む)をされている方対象に不正会計の講師をやらせていただいたことがありました。中堅レベルの会社の社外役員の方が多かったのですが、その際悩みとして挙げられていたのが事前資料の問題でした。取締役会の事前にきちんと討議内容についての資料が送られていればいい方で、当日になって初めて渡されて説明を受けるといった企業もありました。事前に送られてきて前日など直前の場合も多くあまり目を通す時間がないとのことでした。

このような状況であれば使う時間も限られており社外取締役本人も真面目な方は悩まれると思いますが、少なくとも報酬が安いとは感じないと思われます。「報酬を上げる→社外取締役を含めてのきちんとした討議ができる」というベクトルよりも「社外取締役を含めてのきちんと討議する体制を構築する→社外取締役にきちんと時間とってもらう→労力、時間に合わせた適切な報酬を設定する」というベクトルの方が健全かと思います。社外取締役の報酬が低いと取締役会が形骸化するではなく、取締役会が形骸化しているから社外取締役の報酬が低いという因果関係かと思います。

そろそろ社外取締役の数などよりも例えば討議事前資料の準備度など実質的な取り組み、体制についての議論を深める時期になってきているのではないかと思われます。

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残業100時間くらいじゃ人は過労死しない!

2017.04.04

zanngyou

月曜日の日本経済新聞で残業規制を100時間以下にするか未満にするかで連合と経団連側でもめたと掲載されており非常に空しい思いをしていました。暴論に感じるかもしれませんが月100時間を超える残業ペースで働いたとしても簡単に過労死はしないと思います。そして、過労死には精神的な要素が多くあると思います。精神的な要素と言っても過労死する人間は精神的にひ弱だったとか言う話ではありません。簡単にいうと「働いても」過労死はしないですが「働かされる」と過労死は増えると思います。全くクローズアップされない労働時間的にブラックな世界として開業2~3年くらいのフリーランスを考えてみてください。ようやく仕事をとれ始めてとにかく仕事をするのがうれしくて労働時間無限大くらい遮二無二仕事をされた方は多いのではないでしょうか?こういったケースで過労死することはあまりないと思います。一方サラリーマンは無駄な残業で「働かされる」ために精神的に参ってしまうケースが多い気がします。私は無駄な残業を「制度的残業」「大企業型残業」「中小企業型残業」の3つに分けてみました。

「制度的な残業」はその会社(または部署)で残業が制度化されてしまっているケースです。例えば私の友人が働いていたある大企業の財務部の話です。この会社の財務部では6時の終業の30分前くらいに必ず夜食表が回ってきます。そして夜食を食べると少なくとも9時までは会社にいることが不文律となっていて、かつ夜食を注文しないと必ず誰かから「今日は早く帰るの?」と声がかかるそうです。要するに実質的な定時が夜9時になっているわけです。ここまで極端な例ではないですがなんとなく忙しくてもそうでなくても帰社が早くとも夜8時~9時の不文律がある会社はあります。上層部による夜XX時以降の残業は禁止という強制は無駄だという声はありますがこの「制度的」無駄な残業を防ぐ役割は果たすと思います。

「大企業型残業」は大企業に多いタイプの残業です。大企業では「XX企画本部」とか「XX戦略室」などの企画・管理の部署が増殖しがちです。このような部署が真に会社の戦略・方向性を定めて引っ張っていくケースもあるのですが結構無駄に残業を増やす元凶になることも多いです。このような部署は出世コースの仕事熱心な方が多く配属されます。しかし、悲しいかなこの部署だけでは通常何も付加価値を生み出しません。したがってやたらと現業部門に資料の作成を求め様々な管理手法を編み出してどんどん現場の仕事を増やしてしまいます。大企業にありがちな顧客ではなく内部資料を作成する時間が増えてしまうわけです。これを防ぐためには上層部がきちんと企画・管理系の部署が増殖しすぎないよう目を光らせているのと同時に、「クレクレタコラ」になってやたらと資料の厚さを競うことのないよう留意する必要があります。

「中小企業型残業」は立場の弱い中小企業に多いタイプの残業です。利益率が低く理不尽な顧客が多いケースです。利益率が低いととにかく量でカバーしなくてはなりません。そして不思議に利益をくれない顧客に限ってクレームも多く、非常に厳しい期限や価格に合わないサービスを求めたりします。このような理不尽な顧客のために仕事をしていると当然従業員の心も疲弊しますし荒廃します。対処法としては下請けなどの場合は非常に苦しい選択となりますが長い目で見るとこのような顧客は切るという思い切りが大切だと思います。

別に長時間労働を推奨するつもりはないですが、本当に必要ならばある程度長い時間働いても何とかなるものです。創生期のベンチャーなどは労働時間的にブラックですが、みな「働いてる」のであって「働かされる」ではないためつらいこともあるのですが基本的には皆ハッピーなのだと思います。

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森永製菓と乳業の統合破綻

2017.03.31

morinaga

森永乳業と森永製菓が経営統合を白紙に戻したという記事が今朝の日経に載っていました。記事の論評は大型再編が続く世界の状況で出遅れた、好業績で危機感が薄く合理化を拒んだと非常にネガティブな論調です。世界の食品の統合として米クラフトとハインツの経営統合、日本では明治製菓と乳業の統合で明治ホールディングスが生まれています。

私の持論ですが、基本的に対等な合併や統合は成功しません。この森永製菓の幹部の発言にあるように「エネルギーを合理化などの内部に使うのは時期として良いものなのか」というのは確かに危機感の薄さは感じますが納得できるところはあります。世界のグローバル企業では合理化を進めながら成長するなどというのは当たり前のことで合理化しているから成長に力が注げないというのは一般的には理解できません。しかし、対等に統合すると、必ず元自社のやり方に固執する有力者が出てきて必ずもめます。そして内部のパワーゲームなどでかなりエネルギーを消費してしまいます。したがってこの幹部の言うことは理解できるわけです。

統合や合併などでは必ずどちらかが主導権を握らないとうまくいきません。企業の理念などは主導権を握った方に合わせてもらい合わない人材は去ってもらうくらいで良いと思います。しかし、それ以外は別に主導権を握った方に合わせる必要はありません。主導権を握った方のリーダー(一般的には社長)がお互いの意見を聞いて合理的な判断で素早く決めていけばいいわけです。このあたり一流米国企業のリーダーは凄くて平気で被合併会社の仕組みに大部分が乗ってしまったりこのあたりは柔軟です。このあたりのスピード感と切れ味がある日本人の経営者というのは少なくて、日本企業が合併・統合しても民主党のようなまとまらない弱者連合になってしまう例が多い理由の一つだと思われます。

そういった意味で主導権を握れるほどパワーのある経営者がいない中での統合を選ばなかった森永製菓と乳業の選択は残念ながら正解と言わざるを得ないかと思います。

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公認会計士からみた社会福祉法人

2017.03.27

kaigo

社会福祉法人(収益30億または負債60億以上)の公認会計士監査が義務化されたこともあり、最近社会福祉法人関連の仕事をする機会が増えてきました。社会福祉法人には障害者や高齢者、保育園、病院などがあり、私は個人的に少子高齢化に伴う両面である保育園と介護施設に興味があり、現状割と積極的にお受けしています。

新聞紙上で取り上げられるのはたいてい公益を隠れ蓑に一部の理事長や理事などが高給をむさぼり利用者や職員は劣悪な環境で搾取されているような例ですが、きちんと網羅的に調査しているわけではないですがきわめて少数だと思われます。私の見ている少数例ではありますが、現場、経営陣ともに日夜真摯に取り組まれている感は強く頭が下がる思いです。

綿密な調査に基づく結論ではありませんが、私なりの感想を述べさせていただきたいと思います。「いかに悪い結果につながったとされる事例でも、それが始められた当時までさかのぼれば、善き意志から発していた」というのが全体的な所感です。一つとしていろいろな意味で行政の関与は必要なことは否定しないのですがどことなく、行政の感覚は現場感というよりも机上な気がします。例えば、特養(特別養護老人ホーム)についてのユニット型ケアの問題があります。従来の特養ですといわゆる4人部屋など大部屋でしたが、ユニット型では1ユニットごとに専用の居住空間と専任の職員を配置することにより、大規模(多数床)施設でありながら、小規模生活単位の家庭的な雰囲気のなかできめ細やかな介護ケアを行なうことができます。現場の方にお聞きすると確かにユニット型の方がきめ細かくて良いことは確かなようですが当然人手がかかるそうです。新しい特養は基本的にユニット型しか許されないのですがこの介護人材不足の中で人が取れなくて現場は大変なようです。特養入居待ちが続く中で人手不足でフロアーが空いている例もあるようです。行政としては一人一人の入居者の厚生を高めようというよき意志から考えたのだと思いますが悪い結果につながっているかもしれません。

また、ここでは詳細は述べませんがとにかく介護保険関連は必要書類が膨大です。これも不正受給を防ぐために行政が様々に考えた結果だと思うのですが、現場はそのチェックなどでやたらと時間を取られています。介護人材で「利用者」ではなく「書類」の仕事をする時間が増えるという悪い結果につながっています。財務資料なども拠点ごとサービスごとに作成しなくてはならず膨大で上場企業の有価証券報告書並みの厚さがあります。全く不要とまでは申し上げませんが、ここまでの細かい資料の必要性については疑問を持っています。どんぶりではなく部門ごとにきちんと計数管理をするという考え方は正しいのですが、画一的に作成方法を定めて強制するという手法には疑問を抱きます。

最後にこれは違った観点ですが行政は新しい建設には前向きなのですが、従来の設備の大規模改修には後ろ向きな印象が強いです。とにかく社会福祉法人は内部留保を増やすなと縛り、補助、助成に関してもあまり積極的でない感があります。しかし、実は改修によって利用者の厚生も向上しますし、職員の導線が効率的になり少ない人材で対処できるようになります。人材不足に対する一つの解法にはなります。地方議員も行政も新規建設はアピールしますが、改修はあまりアピールにならないからではないかと考えるのは下種の勘繰りでしょうか?

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大企業のベンチャー買収の盲点?

2017.03.24

注かい

今朝の日本経済新聞で大企業が人材や技術の取り込みを狙いベンチャー企業(VB)に対する買収や出資を急速に増やしているという記事が載っていました。記事によると2016年の出資を含めたM&Aは347件1025億円になり調査を始めた2012年の件数で6倍、金額で約3.6倍に増えました。日本経済新聞では大企業が自前主義を捨てて外部の技術などを自社に取り込み新製品を生み出す「オープンイノベーション」に舵を切っているからだと解説しています。

確かに最近いくつかの大企業で「社長の肝いり」で買収案件をさがしているという話を私も耳に挟みます。ただ、この手の話ではたいてい問題点があります。本来の目的は自社に必要な技術等を取り込み最終的には自社の発展につなげることなはずです。日本企業で往々にしてあるのは「買収すること」は手段にすぎないのにもかかわらず「社長の肝いり」ということもあって担当者が買収を焦ることです。よく買収案件で他社に案件がいってしまったり、条件が合わず断念したりすると「負けた」と言われ社長から叱責されたという話を聞きますが、無理な高値や不利な条件でも買ってしまうのは「勝ち」ではないはずです。VBの例ではないですがアサヒビールの東欧のABインベブ事業の買収などはとりあえず公表されている情報から判断すると典型的な例と思われました。

2つ目は買収の専門家の不足でしょう。以前ある大企業の買収に係った責任者の方から「この案件は一流投資銀行が仲介して一流会計事務所と弁護士事務所にデューデリ(買収監査)してもらったから大丈夫」と話されて耳を疑いました。本来被買収企業の将来性やリスク、買収企業との戦略適合性、文化の融合などいわゆるビジネスデューデリが一番重視すべきなのですがそれをした気配がないことです。法務や会計の専門家などはある程度そろっていますが基本的には現状のリスクを教えてくれるにすぎません。大切なのは将来であり、将来リスクを見込んで買収条件に取り込み、かつPMI(買収後の統合)プランの絵を社内でまとめてきちんと描ける専門家は重視されていないこともありほとんど存在しておりません。これもある大企業の役員の方から聞いた話ですが買収したのだが買収反対派の役員が邪魔をして全然活かせていないとこぼしていました。買収前にきちんと絵が描けていないとこのような話になります。非常に残念なことです。

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市光工業にみるグローカル経営

2017.03.22

ari

日本経済新聞で「帰ってきたぶり企業」という連載がされています。いわゆる久しぶりに最高益を更新して復活した企業を取り上げており興味深く読ませていただいています。今日は自動車部品の市光工業が取り上げられ仏親会社のヴァレオ出身のアリ社長が日本流カスタマーインティマシー(顧客と強固な関係を築いて顧客を囲い込む手法)を導入して一気に復活に導いた話が載っていました。

私もグローバル企業の子会社で何社か残念な会社を見てきました。たいていの残念な会社の特徴は子会社の社長に顧客ではなく本社の方を向いて仕事をするように強いることです。グローバル企業としての経営理念、ブランドイメージに係る部分や全体としての効率性についてはかなり本社の意思は尊重する必要がありますが、それ以外の部分は現場の意見というのは非常に大切です。しかし、酷い本社の例だと「顧客をもう少し教育しろ!」などと現場感のない本社の官僚的な上司から指令が下りてきます。アリ社長が来るまでは研究、開発、製造の各部門がそれぞれ権限を持つのはよかったのですが対応がバラバラで顧客の評判が悪く業績が悪化、名古屋の出張に新幹線が使えないなど縮小均衡的なコスト削減で目先の業績改善を目指す典型的本社を向いての経営が行われていたようです。

日本の製造業の特徴として「すり合せ」があります。特に車や機械など組み立て型産業に多いのですが部品メーカーと組み立てメーカーが一緒になって最終製品を作っていく仕組みです。これが研究、開発、製造の各部門がバラバラでそれぞれ言うことが違うと最終製品を作る組み立てメーカーとしては大変迷惑なわけです。アリ社長はこの3部門を統括する担当者を案件ごとに設置して、部門の独立性をある程度維持しながらカスタマーインティマシーを達成しました。

これは一見簡単なようです。しかし、欧米系の部品メーカーですと各部門は本当に別会社のようで日本法人の部門長は日本法人の社長ではなく本社の部門長の指揮下で動いています。これを日本法人として取りまとめていくのは社内政治力を含めた相当なリーダーとしての力量が必要だったはずです。

日本企業が海外に進出する際も現地法人のトップには本社の理念やブランドは守りながら必要な現地化は取り入れていく、こういった本社と政治折衝ができる柔軟で力量のあるリーダーが必要になってきます。こういった力は単なる英語力などよりも大切だと思うわけです。

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あいつぐ企業における不正防止における根本的問題

2017.03.15

fusei

東芝で決算発表が遅延し、DeNAで一連の不適切なキューレーションの扱いについての第三者報告書が出されました。両方とも不祥事ではあるのですが非常に対照的なことに、東芝が大企業的な硬直的で風邪通しの悪い文化が指摘されたのに対し、逆にDeNAでは「永久ベンチャー」を標榜した自由闊達すぎる文化がこの一因となったということです。第3者的に見ると非常に混乱することです。

ただ、両方ともに共通しているのはウェスチングハウスとiemoといった会社を買収した後の統合プロセスに問題があったと言えることです。東芝の場合もDeNAの場合も買収した会社に対しコントロールが働かない状況になっており子会社の暴走が根本的な原因となっています。一つとして特に日本企業の内部監査の弱さにあります。一時期J-SOX(内部統制報告制度)が導入され、この内部監査が注目された時期がありました。しかし、日本企業の内部監査室はJ-SOXで監査法人の監査が問題なく終わるように資料を準備するきわめて形骸的な仕事を行うセクションになりつつあります。如何に期待されていないかはDeNAの第三者報告書(概要)を読むとこれだけの問題なのに31ページの報告書で内部監査室についての記述はたった10行程度しかありません。

通常欧米グローバル企業では買収された会社には統合の過程で内部監査チームが入り、内部のプロセスの問題点について内部統制の観点から徹底的に洗い出されます。一般の方々の印象でいうと内部監査とは書類がそろっていない、印鑑がないといった重箱の隅をつつくようなことをする仕事だと思っていますが、もう少しマクロ的な視点から効率性とリスク軽減の両方の視点を視点をバランスよく持って行うのが本来の姿です。J-SOXの導入によってむしろそういったマクロ的な視点よりもひたすら証跡書面に不備がないかといったミクロ的な視点しか強調されないのは残念です。

この原因としては監査法人側の極端なマニュアル監査の体制にも問題があるような気がしてなりません。私のお客様が愚痴を言っていたのですが監査法人から問題があると指摘された事項で前月をコピペして使っているスプレッド-シートで月の記載が1か所前月のままだったということがあったそうです。確かにあまりほめられたことではないですが内容はきちんと当月のもので特に誤りがあるわけではないです。こういった重箱の隅をつつくようなことを指摘しても意味がないと思います。東芝の例がわかりやすいのですが内部統制において私は一番統制環境が重要だと思い、東芝の場合いわゆる経営陣の倫理性や姿勢に問題がありそのためにすべてのコントロールが形骸化していたところにあります。こういった本質的な部分を軽視して形式的な書類の不備をやたらと指摘する姿勢が最近のマニュアル監査では横行しているような気がしてなりません。

当事務所では本来あるべき内部監査チームのコンサルティングや、内部監査のアウトソース、サポートを承っています。お問い合わせは↓まで

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欧米化していく日本企業の中で生き抜くコツ

2017.03.13

gaishi

良い悪いはともかく日本企業の社内文化は欧米化しつつあります。私見ですが戦後の日本企業の文化というのは高成長の際に生まれてきた気がします。すなわちどんどん会社も成長して大きくなっていき社内ポストも増えていきますから年功序列と終身雇用でも比較的皆幸せな会社員人生を過ごせたわけです。欧米化せざるを得ないというのは基本的に低成長を念頭に置いていますから、在籍年数で自動的に給与やポジションを上げて行く事は出来なくなり、成果主義などの方法で社内で大きく差がつくこととなります。今の新入社員が最初の管理職である課長には今10人に1人ぐらいしかなれないとまで言われているくらい厳しい時代になっています。

さて、一般的に欧米企業というとみな自分の成果を上げることに必死で同僚は基本的にライバル、会社を一歩出たら一言も口を利かないといった殺伐としたイメージがあるかもしれません。会社もとにかく成果主義で個人の業績を厳しく管理してダメな人間は即クビといった感じです。自分の経験や友人の経験を聞くと多少金融機関(銀行や証券会社)はそのような傾向がありますが、それ以外の企業は全く異なります。意外に思うかもしれませんが会社が重視するのはリテンション(会社への定着)、チームワークや部署を超えての協力です。私が想像するに基本的には欧米企業は個人主義的な考えの人が多いのでむしろ会社としてはリテンション、チームワークや協力の大切さを説くのだと思われます。

自分が米国企業に勤めていた際思ったのは、日本人だと気恥ずかしくてできないくらいの上司へのベタベタぶりでした。ある役員クラスでキャンプ好きな人がいたのですがその人が何気なく「キャンプに行くのだけど一緒に行きたい人はいるか」と発言すると、どう見ても全くアウトドアとは全く縁のなさそうな女性を含む部長たち何人かが自分も行きたいと言い出しました。そのころ若手だった私はいきませんでしたが同行したその役員の秘書によると部長たちの忠勤ぶりはびっくりだったそうです。到着するなり日頃腰の重い人たちが女性を含めていそいそとキャンプ道具などを運びきびきびと動く姿は想像もできない程だったそうです。当然テントなどは張れず役員の指導を受けながらぎこちない感じでやっている姿は可愛いくらいだったようです。

したがって、日常業務でもヒラメ系は多いのですが単なるヒラメは中長期的にはうまくいきません。実は横や下にもちゃんと目をつけて気配り心配りができないとうまくいきません。会社で成果を上げるためには自分だけががんばっても無理で部下など自分のチームや他のチームの協力がないと地位が上がれば上がるほど難しくなります。非常にシビアな世界なだけに「こいつは自分に対しては何もしてくれないのに要求だけする」と思われれば誰も協力してくれません。部下も短期的には成果を出すよう強くプレッシャーをかければ成果を出すかもしれませんが、その結果に報いないようであると離反してしまいます。優秀な人間であれば他社に転職してしまいます。

逆説的なのですが競争が厳しい世界だけに他者への貢献というのものがタテ、ヨコ、シタ、ナナメに求められていくと思われます。ただし、本当にその貢献は全社的に価値があるものなのか、相手側が露骨に他人を利用しようとしか思わない人間ではないかということは厳しく判断することが必要だと思われます。

余談ですが自営業の世界も似たような部分があり、成功している方というのは当然より上のレベルの方に対しても丁重に接しますが目下や同じレベルの人に対しても一定の丁重さを持って接します。そして相手の人間性を見つつ、困ったときは手を差し伸べてくれます。自分もそういった方には必ず微力ながら協力したいと思いますよね。そのような方というのは自然に周りが本人を盛り立てていってしまうわけです。

自著「部長の仕事術」では欧米系企業で学んだでも実はこれから日本企業で生かすべき考え方やノウハウなどを紹介しています。大手書店で発売中なので見かけましたら手に取っていただければ幸いです

https://www.amazon.co.jp/%E9%83%A8%E9%95%B7%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93-%E5%B7%9D%E4%BA%95-%E9%9A%86%E5%8F%B2/dp/4756918921

 

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残業規制で本当に働き方は変わるか?

2017.03.10

残業1

経団連と連合が残業時間の制限についての話がされています。そこでは残業時間の上限とインターバル制を法律に明記する方向で話がまとまりそうです。自分の会社員時代をまず振り返ると残業代を請求していたのは20代だけで外資系企業に入社後はホワイトカラーエグゼンプション(WH)が現実的には適用されていたのでいくら働いても残業代はゼロでした。したがって、月間の残業上限を月45時間にする、月100時間にするといわれてもあまりピンときません。ただ、振り返ってみると忙しい時は月100時間を超える残業程度働いていましたし、暇な際は多分せいぜい20~30時間程度だった思われます。

WH法案について「残業代ゼロ法案」「過労死推奨法案」などと言っていますが別にWHを導入したからと言って残業が際限なく増えて恒常化するとは思えません。ただし、ブラック企業を除けば企業の経営陣が冷徹な経済合理性を持っているかどうかにかかっています。私は欧米系企業で働いていましたがほぼ長時間労働を強いられたことはありませんでした。別に従業員に優しいわけでなくその一方でプロダクティビティ(生産性)重視で「短い時間で最大の成果をあげろ」と常にプレッシャーをかけられていました。生産性を重視すれば経営側は従業員の成果を享受できますし、従業員も余暇を満喫できるので両方ともに利益があるわけです。

ブラック企業の経済合理性は安い賃金で従業員を酷使して疲弊したら辞めてもらって、新たな従業員に取り換えるといった人手が余っている時代のビジネスモデルで、(倫理的に許されるかは別にして)ある一定の経済合理性はありました。しかし、一般的なホワイトカラー的な職場で例えば電通のように過労死自殺が出るような仕事の仕方はそもそも経済合理性に反しています。その裏に無理な受注や無理な顧客サービスなど経済合理性に反したビジネスの姿勢があったと思われます。実は欧米系企業でも自分の部下を酷使する酷い上司がいないわけではないのですが、そのような部署は部下がどんどん辞めていきますから人事上バッテンが付きます。

実はつまるところ経営者、経営陣がある程度の経済合理性をしっかり認識していればWHを導入で無駄な残業は劇的に減ると思われます。しかし、これはあくまで「経済合理性を判断できるまともな経営者、経営陣の存在」が前提であり、これがない単なる「昭和的拡大・根性主義の経営陣」であれば確かに「過労死推奨法案」になる可能性は高いかもしれません

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三越伊勢丹社長の辞任の理由

2017.03.06

mitsukoshi

三越伊勢丹HDの大西社長が後任の発表もないまま辞任に至りました。日本経済新聞によれば事業の多角を目指す構造改革で成果を上げられなかったということが挙げられています。24年2月の就任ですから約5年で社長の座を降りるわけです。ここ5年間の経営成績を見ると売り上げも横ばい、経常利益も横ばいで厳しくいうとたいした成果を上げることができなかったともいえますが、このデパート離れが厳しい時代によくしのいだという見方もできます。ただし、確かに今期の第3四半期の決算で見ると経常利益は前期比36%減と大きく減らしてはいますが。

よく多角化の失敗というと通常は新規事業で巨額の赤字を作ってしまったというケースですが、金融業と不動産業は事業規模は売上は27年度それぞれ187億と256億と規模は大きくはないですが経常利益は56億と63億と堅調な経営成績をたたきだしています。小売専門店業こそ10億円の赤字を出していますが別に業績を大きく左右するほどの赤字は見られません。とりあえず、表面的に財務データを見る限り「多角化の失敗」と言い切れるようなものはありません。

一方最近の動きで目立つのが突然の店舗の閉鎖で今月多摩センター店と千葉店を閉鎖することになりました。よく考えてみると三越伊勢丹グループで目立った閉店は24年の新宿アルコット店くらいで他の百貨店に比べ著しく少ない印象はありました。今でもグループ内で新潟で伊勢丹と三越、札幌で丸井今井と札幌三越が並列しておりおそらく非効率でしょう。三越伊勢丹HDの役員構成を見ても旧伊勢丹2人と旧三越3人とたすき掛け風ですし、まだまだ実際の統合は進んでいない感があります。本来経営統合というのは重複分野についてはいち早く削減して効率化させないとほとんど意味がありません。新聞記事などでは周回遅れのリストラ実行と書かれていますが、リストラは統合を冷徹な目で見て判断することで「リストラ」自体が唯一絶対的に行わないといけないわけではありません。ただし、三越伊勢丹の場合ざっくり見てもきちんと統合後に全体感のある冷徹な判断をした形跡がみられず、このケースはおそらく「リストラ」は不可避です。まずまずの業績にあぐらをかいていて遅れをとったということなのでしょう。そういった意味で時期の社長の最大の役目は本当の統合の推進ができる冷徹なリーダーが求められると思われます。

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