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経営

都内の農地の2022年問題をどうするか?

2017.09.08

都市農園

都市農地の2022年問題がやってきます。私の自宅は練馬区にありますのでちょくちょくとまわりに「生産緑地」を見かけます。これは1992年に地主に30年にわたる固定資産税優遇を認める代わりに営農を義務づける「生産緑地」という制度を設けたものです。自分の仕事で考えた場合ほとんどのお客様は都心で練馬区などに住んでいるとあまり便利ではないのですがここに住んでいるのは農地が多く緑が多いというのが一つの大きな理由です。2022年になると10年の延長か市町村への買取を求められますので場合によっては一気に宅地化が進みアパート建設などのミニ開発であまり美しくない街並みになるのは悲しいことです。広大な土地を23区内に持っていながら、農業をしているだけで固定資産税の優遇措置をうけたり、相続税の優遇を受けたりするのは不公平だという意見はあるかと思いますが。

ただし、やはり地価の高い部分で細々と野菜を作るだけというのも土地の有効活用ということでは問題があるかとは思います。そういった意味で農業に引き続き使う限り以前より柔軟に賃貸できるようになるのは素晴らしいことだと思います。自治体の観点からは賃貸料からも課税ができますし、またその土地を有効活用する個人や企業からも課税ができ税収的にも改善すると思われます。まとまった土地ではないので大企業向きではなく、むしろ小資本の起業家向きでユニークなアイディアが出てきそうです。ただし、たいてい農地の賃貸には農業委員会などの許可が必要でかつ法定更新の制度(契約期限がきても両者が合意しない限り解約できない)があるなど規制に縛られておりなかなか使い勝手は悪いと言えます。都市部における農地においてもともと集約して地域独占的なことは不可能なわけですからこのあたり緩和しても大きな副作用はないように思えます。

私が推奨している7種22分類の小資本のビジネスモデルでは価値転換モデルの用途変更型など面白いと思います。あまり大きくない生産性を高めるのは難しい土地、しかし消費者が身近にいるという利点はあります。これは今まであまり価値がないと思っていたものを用途をがらりと変えることによって価値を生み出すビジネスモデルです。例えば古いオフィスビルをリニューアルして細分化してレンタル会議室にするなどは一つの例です。土地の農地何かできないか考えてみると起業家の方は面白いかもしれません。

この7種22分類の発案者であり、ベストセラー「起業のバイブル」の著者でもある中山氏の発売一周年記念講演もある起業ビジネスモデル発想法講座9月30日行います。ご興味のある方は↓までどうぞ

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都議会議員報酬削減と本当の経費削減

2017.08.30

都議会

ふと道を歩いているときある看板が目に入りました。(ちなみにここでの目的は特定の政党の政策批判が目的ではありません)「身を切る改革」で都議会議員報酬20%削減というポスターです。中身をみると都議会議員の報酬、年間1708万円から約2割減の1366万円です。ただし、これは1年間だけです。いわばたまに上場企業で不祥事などがあると「役員報酬XX%減額半年・・・」というのと同等だと思われます。特にこれ自体悪いとは思いませんがこれをもって「改革」などと言ったら民間の感覚だと笑止千万です。その他、政務活動費の月額10万円削減や本会議や委員会などに出席するたびに定額支給されている費用弁償の廃止、都議会議員表彰内規の改正(職25年および30年の議員への記念章や記念品の授与を廃止し、在職30年に達した議員の肖像画を議事堂内に掲示する制度をなくす)などがありますが、民間人の感覚からすると政務活動費を除くと、あるのがおかしいといった感じです。詳しくは以下まで。

https://www.komei.or.jp/news/detail/20170223_23112

 

さて報酬と政務活動費の削減額をざっくり計算すると以下です。

{(1708-1366) +10 x 12} x 127人(都議会議員の数)=約6億円です。

都の歳出は7兆円ですから割合的には0.00838%の削減です。年商1億円くらいの中小企業に例えてみると年8380円の削減です。月にすると約700円でではっきり言うと金額的コスト削減効果はほとんどありません。ただし、このようなちまちましたコスト削減が意図として「隗より始めよ」という故事にあるような意図ならば話は別です。この故事の意味としては大事業を始めるにはまず身近なことから始めよということです。これは古代中国で燕の昭王という王様が賢人を集めようとした際、郭隗という臣が「賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いよ、そうすれば自分よりすぐれた人物が自然に集まってくる」と献策したことが始まりです。

つまり本来の目的はちまちまとしたコスト削減ではなく、将来の大きな計画の中で最初は小さなことから始めようということです。それならばそれ自体は小さくたいしたことではなくても将来的には意味があることです。よくコスト削減で「電気をこまめに消すとかボールペンの替え芯を使うなどといったちまちました削減はやるな!」などと言われます。それ自体が目的ならば確かにその通りです。しかし、遠大な計画の第一歩ならば、必ずしもくだらないと切って捨てるべきではないと思います。

さて、「議員報酬20%削減ポスター」はどちらなのでしょうか?

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Jフロントが総資産利益率を重視した理由

2017.08.28

daimaru

先日の日本経済新聞でJ・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店で店長の評価指標に総資産利益率(ROA)を導入するということがニュースとしてあがっていました。ROAは利益を総資産で割って求めますが、この指標では営業利益を用いています。企業レベルでは経常利益を使うので少し他社と比べてみます。

JフロントのROAは4.3% ROEは6.8%、三越伊勢丹はROAは.21% ROEは2.6%高島屋はROAは3.8% ROEは5.1%で財務内容的にはJフロントが一番優れています。ROAは売上高経常利益率(経常利益÷売上高)x総資産回転率(売上高÷総資産)に分解されます。ちなみにROEは売上高純利益率(純利益÷売上)x総資産回転率(売上高÷総資産)x財務レバレッジ(総資産÷純資産)です。ざっくり説明するとROAは売上高利益率を使うので利益率が高く、総資産回転率を使うので資産を効率的に使って売上を生み出せば数字が良くなります。ROEの場合はそれに加えて財務レバレッジが高くなる、つまり資本を効率的に使う、または資金調達を株式ではなく借入金を使う、自社株買いをして純資産を減らすことで数字が良くなります。

この店長の評価指標でROAを使うことの意味は単に利益率だけではなく資産を有効活用してまたは不要資産を減らすことが狙いと思われます。Jフロントの過去の数字を見ていくと総資産経常利益率を分解した数値で売上高経常利益率は3.5%,3.5%,4.1%,4.0%と上昇傾向ですが、総資産回転率はずっと1.14と安定していたのが今期1.06と低下しました。主として総資産が310億昨年より増加したのが原因ですがこれも約600億の土地購入と60億の渋谷パルコ立替の再開発事業に伴う販売用不動産の増加を建物・構築物の減少480億があったものであまり店舗の営業活動の問題ではなさそうです。土地購入の600億については有価証券報告書からはその内訳は読み解くことができずやや不明です。ただし、有価証券報告書を読むと渋谷の再開発や銀座SIXなどどちらかというと不動産開発事業に少し力を入れていく傾向が読み取れます。そういった意味でROAを重視していく方向性に入っていくのかと想像します。

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介護は書類仕事か?

2017.08.23

roujinn

社会福祉法人改革が始まりその中の重要な一方として一定規模以上の社会福祉法人に外部の会計監査人による会計監査が義務付けられました。私も社会福祉法人の監事や会計監査人を頼まれることが多くなりました。ざっくりいうとこの改革により社会福祉法人のガバナンスを強化し、事業運営の透明化、財政規律の強化を図っていこうということです。新聞で社会福祉法人が取り上げられる際はたいてい悪い例で介護担当者は低賃金・重労働で搾取され、介護を受ける老人は低コストの劣悪なサービスで虐待され、一方法人側はたっぷり利益を上げて理事長一族は親族で役員を固め、高給を得て豪奢な生活をしているといったイメージです。世の中にこのような例は存在しないことはないとは思いますが私の印象だと非常に少ないと思われます。

当然私の関与先の詳細は述べることはできないのですが実際関与して感じたことは以下です。まず、社会福祉法人会計の考え方ですが基本的に部門別計算の考え方が徹底されているということです。拠点区分(ざっくりいうと独立した施設ごと)に資金収支計算書(キャッシュフロー)、事業区分計算書(損益計算書)、貸借対照表が求められます。良い点は施設長などは収支に関する感覚が鋭くなってどうすれば採算が良くなるだろうかということをよく考えるようになった点でしょう。私見でありますが、介護関係の方々は真面目で献身的な方が多い一方、利益をあげるといった方向にはうとい感じがします。そういった意味では一定の意義は認められます。その一方で普通の企業は部門別計算といったものは社内向けの意思決定資料で様式も厳密には決まっておらず、規模の大きな企業以外はエクセルで作成するレベルです。これを公表財務諸表で行うときちんと仕訳をして記録を残しておかなければなりませんから作業はかなり負担がかかります。画一的になる面もあり監査対象となるような特定社会福祉法人ですと財務諸表だけで100ページを超えることもありあまりに負担が多すぎる感はあります。部門別計算を行うことの意義は否定しませんが、これを公表財務諸表とすべきかは疑問を持ちます

それ以外も介護関係の書類は膨大です。介護を受けるご本人の様態などの記録は大切なものでそれは仕方ないと思いますが、国の所管である介護保険や様々な地方公共団体の介護関連サービスに関する報酬の算定資料はそれぞれ異なり複雑で細かく作成資料は膨大です。介護施設の管理職の方は書類仕事に追われているのではないかというのが正直な感想です。確かに介護に関する国や地方公共団体の負担は増大する一方で厳密な計算が求められるという面は理解できます。しかし、公認会計士も理解が難しいような計算や頭が痛くなるような書類の山たちは本当に必要なのでしょうか?一方、役所の方はちょっとした報酬の計算には関係ない軽微な記載ミスも指摘し修正を求めるといったこともよくあると聞きました。実はこのあたりが無駄にコストがかかる一面ではないかと思います。

役所の考えた仕組みはよく考えられているとは思うのですがやはり現場感のない机上の案といった感は強いです。真面目に真摯に毎日業務に従事して今後高齢者大国を支えていく介護の方々から少なくとも書類・事務仕事の時間は何とか大幅削減できないのか、内部統制を業務負担を増大させることなく強化する方法がないのか、そのあたり今後考えていきたいと思っています。

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パート賃上げが生み出すもの

2017.08.21

keibi

人手不足を背景にパートの待遇改善が進んでいるようです。日本経済新聞の記事では小売りや外食の労働組合で構成するUAゼンセンで今年春のパート一人あたりの平均賃上げ率が2.28%と過去最高になったようです。マクロ経済的に見れば個人消費の拡大→好景気という面もあるかと思いますがミクロ的に見れば人手不足やパートの賃上げで特に苦しむのは下請け系の中小企業でしょう。

以前お聞きしたのは土木工事の警備会社の話です。土木工事自体は大手建設会社が受注するのですが警備会社はその3次~4次下請けになります。すると当然間に入った企業がマージンを抜いていくのでおおよそ受注金額は半分になるようです。また、土木工事の主体である国や地方公共団体もコストは下げようと努力はしていますので受注金額は下がる方向にあります。一方で警備員の時給は賃上げをしないと人は集まらない状況で非常に厳しくなっています。その結果非常に利益はほとんどない自転車操業的で苦しんでいるようです。これは全ての下請け、特に品質や性能で差部化できない場合は共通して厳しい競争にさらされます。

よくゼネコンなどは仕事は受注するがほとんど仕事は下請けにやらせて儲けていると批判を受けています。しかし、発注側としては建設土木工事で個々に注文すると確かにその個々は安くなるとは思いますが全体的な工事という複数の手続の納期・品質・価格を管理していくプロジェクトマネージメント能力はあまりないため、やはりありがたいものだと言えます。ビジネスモデル的に言えばパッケージングモデル複数手続き代行型で様々な複数の手続きをパッケージの形にしていくことで付加価値を生み出していくわけです。発注側にとってはありがたい存在です。問題を挙げるとすると建設業などは多段階の重層的な下請け体制でしょう。自分ですべてマネージできず、丸投げして重層化していけばいくほど高コスト体質になってしまいます。

下請け企業としてはこの重層構造の下部からの脱出を図りたいと思うでしょう。前述の警備会社は直接役所の方に運動しているようですが、あまりよい回答はないようです。役所としてはゼネコンに一括して発注したほうが手間がかからず安全というのは理解はできます。私の経験ではありますが、下請けから脱出するためにはある程度差別化ができるような特殊な技術や手法を生み出す、または自分自身パッケージング化ができるように人間関係法人関係を構築していくことになるでしょう。当然前者ができれば素晴らしいのですが難易度は高く、後者も検討していくことが大切だと思います。

しかし、実は下請け関係というのは決まった発注先がありそこからある程度安定的に仕事は入ってくるので、意外にそこに安住してしまう中小企業は多いというのが私の印象です。そして大口発注先の経営が悪くなると連鎖倒産というのが典型的な最期です。これに今回の人手不足による賃上げで価格交渉力のないところは長い目でみると淘汰されていくでしょう。気が付いている方は多いと思いますので早く手は打ってほしいものです

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インキュベーションオフィスとコワーキングスペースどこが違う?

2017.08.18

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森トラストがインキュベーションオフィス事業に乗り出すようです。インキュベーションオフィスは起業家のの方にとってはなじみがあるともいますがそれ以外の方にはあまりなじみがないかもしれません。似た言葉にバーチャルオフィスやコワーキングスペースがあります。特に厳密な定義はないと思うのですがバーチャルオフィスは作業スペース+事業インフラ(ネット環境+コピー+打ち合わせ&会議スペース)であり、コワーキングスペースだとそこに+入居者の交流、インキュベ―ションオフィスだとそこに法律会計サービスや起業ノウハウ支援、セミナーなどそこに支援的なものが加わる感じです。したがって付加価値的にはインキュベ―ションオフィス>コワーキングスペース>バーチャルオフィスの順でしょう。

似ていますがビジネスモデル的には異なる部分があると思います。コワーキングスペースやバーチャルオフィスは適度な快適さ+安さでコストパーフォーマンスが最優先かと思いますが、インキュベーションオフィスの場合もコストパーフォーマンスも大事ではあるのですが、個人事業というよりもベンチャー企業というステージで始めたい人向けだと思います。したがって、コワーキングスペースやバーチャルオフィスの経営の場合、わりと小資本で古めのビルのフロアをきれいに改装した形のいわゆる価値転換タイプの用途変更型のビジネスモデルといえます。古いビルですから多少立地は良くてもオフィスとしては人気がなく賃料は安めです。そこにオフィスを改装してシェアオフィスにします。価値がないものを用途をシェアオフィスにすることで価値を飛躍的に高められます。古いビルのままだと家賃は低くせざるをえませんが、改装でかつシェアにすることで坪単価は飛躍的にあがるわけです。

一方インキュベーションオフィスはそもそもビル自体はある程度グレードの高いビルで、古いビルとかは使われないケースが多いです。シェアである程度坪単価は上がりますが付加サービスを入れても飛躍的に坪単価が上がるわけではありません。したがって、日本では民間企業よりも公的機関が運営しているケースが多いです(公的機関の運営では古いビルで非常に安い家賃というケースもあります)。森トラストが行うケースだとおそらくここで利益を上げるというよりも先行投資的で収支トントンで構わないという戦略ではないかと思います。そういった意味でインキュベーションオフィスは大企業、公的機関向きだと言えると思います

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開業率10%が達成できないわけ

2017.08.08

起業

昨日の日本経済新聞の記事で安倍政権が当初から課題としてきたベンチャー育成が思うように進まないということが載っていました。開業率10%台を目指すとしてきたのですが、15年度で5.2%と公約とは程遠い状況です。これに対し記事では銀行の融資姿勢で信用保証協会の保証を求めることが起業家の重荷になっているとしています。本来政府が13年末に「経営者保証ガイドライ」を設け「法人・個人の区分経理」「財務基盤の強化」「適時適切な情報開示」の3原則を受け入れれば銀行は信用保証の解除を検討するとしています。

確かに銀行はあまりこの「経営者保証ガイドライン」の適用にさほど前向きでないことは確かです。私も地方銀行や信用金庫の方々から関東財務局に何個か実例を出したいということを相談を受けたことがあります。要するに自分ではあまり積極的にやりたくない一方、財務局などには報告しないと叱責を受けるのできちんと顧客の財務を管理している士業にネタを提供してほしいということです。信頼置ける財務の専門家や優秀な経理マンを雇って3原則をやろうとする企業はたまに見かけますがそれは大体中堅企業です。割と急成長企業で資金需要が旺盛な企業にベンチャーキャピタル(VC)も含めた金融機関がきちんとそれにこたえられるかというとやや疑問です。

しかし、私の実感としては起業家や起業したての事業者、法人に対して日本政策金融公庫など政府系の融資姿勢は昔に比べかなり借手に優しく、きちんとした会計税務顧問がついていれば、さほど融資を受けるのは難しいとは思えません。正直確かに急成長企業などに応える金融機関は少ないかもしれませんが、多少それは開業率に間接的に響いているかもしれませんが直接的な影響ではないと思います。特に若者においては私は起業のイメージというものが一つの大きな原因ではないかと思います。

起業のイメージが「秒速でX億儲ける・・・」や「寝ていても月収XX百万・・・」のような胡散臭いものか、「365日一日も休まず3年間働いた」といった超体育会系のようなものが多い気がします。ただし、多分普通はこのような極端なモノではないはずです。例えば、自分なども朝は5時から起きて夜は10時くらいまで働き土日も働いていたりしますが、一方で平日昼間にゆったりとランチやジム、観劇、美術館などを楽しんでいる時もあります。実はワーカホリックなGE時代よりも働いている時間は長いかもしれませんが自分でコントロールしているのでほとんど苦になりません。もう少し極端ではない普通の起業家の世界というものも若い人たちや起業志望者に知ってもらうということも大切ではなのではないでしょうか?

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産業革新機構のリスクマネー試練

2017.08.07

venture

日曜日の日本経済新聞で産業革新機構のベンチャー育成に批判的な記事が載っていました。記事の論調としてはVC投資で今までエグジット(投資終了)の際23件のうち4社しか回収がされず勝率は17%、政府のお金である財政投融資が資金の95%を占めるので野放図な投資が行われているのではないかという話でした。また、個別案件の損益についてリスクマネーの委縮が生じるので開示をしていませんが、国の案件を開示している以上堂々と個別損益開示すべきと批判的です。

私の今までの記事から見た産業革新機構の印象としては事業再編統合ではジャパンディスプレイや今回の東芝メモリーの件で存在感はありますが、ベンチャー投資のイメージは薄いです。ただし、違和感を感じるのは、この勝率の低さを大手ベンチャーキャピタル(VC)と比較していることです。大手VCはある程度事業基盤もしっかりして上場が見え始めたころ(いわゆるレイトステージ)に現れるので勝率が高いのはある意味当たり前です。多少上場の環境にもよりますが、一般的にこのステージになればどのVCを選ぼうか悩むほど殺到してくるので別に国が関与する必要はありません。足りないのはもう少し前の段階で良い技術は持っているが、まだビジネスにうまく結びついていない段階ではないかと思います。そういった意味で勝率は17%でも全然低くないと思います。どちらかというと勝率ではなく勝った内容でせいぜい投資と同額で買い戻してもらった程度で一般的にはこれは「勝った」とはいいません。本当にリスクマネーの投下ならば勝率ははるかに低くて構わないのですが、投じた資金の10倍以上の回収があった「大勝利」が1件もない方が問題だと思います。

産業革新機構の主なメンバーを拝見する志賀会長のように大企業出身、大手銀行出身者、官僚、再生ファンド出身者などが主でベンチャー投資畑の方は少ない印象があります。これは偏見かもしれませんが、大企業や官僚、大手銀行の経歴が長い方とベンチャーの相性は一般的によくないと思います。物事の進め方のペースがベンチャーは乱暴なくらい早いですが、このような方々はきっちりと時間をかけてやっていく、悪くいうと官僚的なので水と油です。記事を見ると機構出身の社外取締役の議事録に記載された意思決定の改ざんを投資先が後日求められたり姑息な官僚的な側面が見えます。ベンチャー出身の方などで社内の雰囲気があまりに官僚的で嫌になって辞めたという話も聞いたことがあります。ちなみに私は政府がベンチャー投資に関与すべきかどうかについても多少懐疑的ですがその議論はここではしません。

結論として、産業革新機構はベンチャーに投資をするような社内の文化、体制を構築しないとベンチャー投資では成功しないのではないかなと感じます。

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三菱重工と日立の合弁会社の争いの根本原因

2017.08.02

LAsusuit

三菱重工は31日に「南アフリカの火力発電所事業における損失負担に関する日立製作所への請求を巡り、同日付で日立を被申立人として約7743億円(約908億・南アフリカランド)の支払い義務の履行を求める仲裁申し立てを行った」(以上ロイター記事)と発表しました。両社で昨年3月末くらいから協議を重ねてきましたが解決に至らず、日本商事仲裁協会に仲裁を申し立てたものです。

様々な記事によれば、日立と三菱重工の火力発電の統合ですが形としては日立の事業を三菱重工が査定して買収した形での統合でした。そして、南アフリカ事業について統合前の損失は日立、統合後は合弁会社が責任を持つことを前提に暫定価格で譲渡したものです。最初は3790億の請求でしたが、今年の2月に三菱重工が再査定をして、7634億円の請求になりました。

よく日本企業であるのがM&Aを行おうとして交渉に入ったものの撤退すると「失敗」とみなされることです。しかし、本来は「買うか」「買わないか」の判断で「買わない」の判断だけをしただけですから経済性に合わなければ撤退するのは当然で、経営判断で失敗などではありません。経済誌などによるとこのプロジェクトは宮永三菱重工社長が担当役員として主導した案件だったようです。そういった意味でも統合ありきで急ぎすぎたという面があるかもしれません

私のGE時代の経験ですが、GEの買収の責任者は悪鬼のように少しでもリスクがあるとみると私でも無理難題と思われるような要求をどんどん相手方に投げて、リスクを押し付けていきます。相手も最初は怒り、担当者がなだめ役をつとめることとなります。しかし、ぎりぎりの緊迫した交渉の中で相手も疲れと慣れでだんだんと妥協してきます。私もなだめ役をやっていたほうなので当時は爆弾ばかり投げて迷惑な上役だと思っていたのですが、のちのち振り返ると彼のおかげでほとんど失敗のディールがないことに気づきました。日本企業は特に買収交渉においては紳士だけでなくこのような「悪鬼」が必要だと痛感しています。

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中小企業で健康優良法人をめざそう!

2017.07.31

kennkou

今朝の日本経済新聞で「健康経営」中小企業が宣言という記事が11面に載っていました。それによると経済産業省は経団連などが主導する「日本健康会議」と共同で経営者が率先して健康増進に取り組む中小企業を「健康経営優良法人」として認定する制度を設けたようです。主な内容は経営者の健康経営の宣言の下、健康づくり担当者の設置、検診の受診率(ほぼ100%)、ストレスチェック、ワークライフバランスの推進などいくつかの項目です。内容自体は私自身健康の専門家でもないですが、妥当なものであると感じました。

会社員であったころ「健康管理も仕事の一部」とよく上司に言われ、「健康管理は自分の責任」という意識は強かった気がします。当時は風邪をひいたりすると「弛んでいる、健康管理がなっていない」と上司から叱責の対象になっており、そういったときに「健康管理は自分の責任」という言葉がよくつかわれたと思います。今はさすがないと思いますが、インフルエンザで39度を超える熱があっても上司に「這ってでも出てこい」と言われて出社したこともありました。しかし、熱があっても会社に来るのが普通で、かつ密接にそういった人と一緒に働いて風邪を移されたら「弛んでいる、健康管理がなっていない」ではやっていられません。基本的には私は「健康管理は自分の責任」自体は正しいと思いますが、少なくとも会社はそれを援助する主体で足を引っ張るような体制であってはならないと思います。要するに健康に悪い働き方を強制しておいて「健康管理は自分の責任」では従業員はやっていられません。

そういった意味で大企業だけでなく中小企業においても「健康優良法人」認定をめざし、「健康経営」を宣言するのは良い方向だと思います。実は中小企業の方が代わりのきかない人が多いです。総務部長さんとか営業部長さんなどが突然の病気で倒れて大混乱になってしまった例などを少なからず見かけますのでリスク管理として「健康経営」は「健康優良法人」の認定いかんにかかわらず大事なものと思います。

一つ注文を付けると主体が経産省というのはどうなのでしょうか?厚生労働省でもこの手の取り組みに対し様々な助成金を用意しています。その助成金を得るために中小企業などで社会保険労務士や助成金コンサルタントなどを雇うといった一つのビジネスになるほどの規模になっています。厚労省の助成金などの取り組みと重複した部分というのは少なからずあります。中小企業にとって役所から求められる大量の書類というのは頭痛の種です。同じような制度は統合するか、一つの制度で使った書類はそのまま転用できるかそのあたりの統廃合、合理化はこの手の制度でいつも考慮してほしいと思うことです。お役所の省の垣根は違う会社以上にあったりするので難しいのでしょうが・・

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