ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。一応4日までお休みをいただいておりますが、ぼちぼち今日から仕事モードに入っていくつもりです。

さて、年末年始、経営者などはたくさん本を読む方が多いようですが凡人の私は年末は家の大掃除(玄関の敷石を磨いていて腱鞘炎で右手が痛く字を書くのが大変です)、3が日は親戚の家などでお酒をいただきあまり本は読んでいません。ただ、普段よりは多少空いた時間は多いので数冊は読みました。その中で面白かったのは早稲田のビジネススクールの準教授の入山章栄さんの「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」でした。

ビジネススクールの教科書がまだポーターの競争戦略論などが中心であまり20年前と変わらないというのは少し驚きでした。ただ、確かに「経営学」だと「科学」ですからきちんと統計データなどで実証されていないといけないわけで、例えば「GoogleがXXで成功した!」ような話では単に個別企業で成功しただけで学問としては全く話にならないわけです。そこでメタアナリシスを含む様々な実証研究がなされているわけです。このような研究成果について最新の情報がコンパクトにまとめられており非常に興味深く読めました。学問ですから「直観的に当然だよな」の検証にすぎない話もありますが、一方で多少疑問に思っていたことが明確に検証されているような話もありました。

特に印象深いのは「ダイバーシティ(多様性)」は必ずしも組織の活性化につながらないという話です。多少細かくいうと、機能別ダイバーシティ(たとえば営業、研究開発、製造)などはプラスの相関があるようですが、人種や性別、年齢などのダイバーシティはマイナスの相関があるようです。確かに機能別ダイバーシティはゴーン改革のクロスファンクショナルチームなど様々な企業の変革に効果があるイメージがあります。しかし一方で特に人種的なダイバーシティは米国企業などの強みだと思っていたので意外です。ただ、自分がグローバル企業に働いているころ白人よりもどちらかというと日本人やアジア人に親和性を感じてしまったように人種、性別、年齢などで小さなセクターを作って固まってしまう可能性はあります。小さなかかたまりが組織の中にできて交流が妨げられてしまうと組織はよどんできてしまいます。たとえば日本企業でダイバーシティとして外国人を組織に入れる動き自体はいいのですが、その人たちが孤立したり固まってしないように工夫が必要なわけです。

「経営書」は役に立つけど「経営学」は役に立たないと思っている方(自分もそうでした)は一読されるとよいのではないでしょうか?どのように思われるかは人それぞれとは思いますが。