社会福祉法人を使った5億円の脱税事件

脱税

 

以下新聞にあるように、遺言を偽造して社会福祉法人などに寄付を装ったということで7人が逮捕されました。租税特別措置法70条で社会福祉法人に対して財産を贈与した場合相続税はかかりません。したがってこれ自体は違法行為ではありません。ここでは遺言書の偽造という偽造有印私文書行使と、実際には贈与せず私的に使ったという相続税法違反のようです。

この項目でよく国税当局とで問題になるのは「特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合」です。ようするに寄付された社会福祉法人が実質的には相続人または被相続人が私物化しているようなところだとあとあとこの条項を盾に国税当局から追徴を受けることになります。

これは新聞記事を読むところそれ以前の問題で寄付自体がされていなかったようで、明白な脱税という感が強いです。不思議なのはこの手の案件でせいぜいふつう逮捕されるのは税理士と本人の2人くらいなのですが7人も逮捕されているということです。おそらく想像するに社会福祉法人のハコをつくるのに名義貸しした人たちかなと思われます。多少お金は受け取っていたとと思いますが非常に割に合わないことです。税理士も絡んでいるのでこの新聞記事からはうかがえない何か露見しない仕組みを組み立てていたのではないかと思われます。そのあたりは個人的興味として知っとおきたいです。(当然使おうとはおもいませんが)

 

目次

<相続税>5億円脱税容疑、7人逮捕…福祉法人への寄付装い

毎日新聞 11月22日(日)22時5分配信

相続税が免除される社会福祉法人への寄付を装うなどして約4億9500万円を脱税したとして、大阪地検特捜部は22日、東大阪市の不動産管理業、高木孝治容疑者(73)や落語家、税理士ら7人を相続税法違反と偽造有印私文書行使の疑いで逮捕した。
特捜部は7人の認否を明らかにしていない。
高木容疑者以外に逮捕されたのは▽落語家の桂小軽(おかる)(64)=東大阪市、本名・西裏文雄▽税理士の岩上順(63)=大阪市北区▽社会福祉法人元理事、榎森(えもり)広高(48)=堺市南区--の各容疑者ら。
逮捕容疑は共謀し、2013年11月に高木容疑者が死亡した兄から相続した預金や有価証券など約10億5000万円のうち、約8億5000万円を和歌山県内の社会福祉法人へ寄付したように偽装。相続税約4億9500万円を脱税したとされる。大部分の財産を同法人に遺贈するという、兄名義の偽造された遺言書などを税務署に提出していたという。
高木容疑者と40年来の友人という桂容疑者は逮捕前、「相続税が高いことに(高木容疑者が)ごねたことから始まった。兄さんみたいな人に意見はできんかった。相続してから高木さんらと北新地などで遊んだ」と語っていた。【藤顕一郎、岡村崇】