シャープの液晶売却は良案か?

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シャープの液晶事業の売却がニュース等で話題になっていますがいよいよ交渉が本格化しそうです。液晶部門の推移をみると売上、営業利益がそれぞれ以下の通りです。(億円)

2011年 売上 720 営業利益 -42

2012年 売上 846 営業利益  -139

2013年 売上 991  営業利益 42

2014 年 売上 907 営業利益  0

2015 Q1  売上 187  営業利益 -14

ここ4年間でまともに利益を上げられない上に、競争のために多大の投資が必要なわけですからこの事業の売却は数字的な面からは極めて妥当な判断に思えます。ただ、戦略面のテコ入れをきちんとすれば技術力があるので復活するのかという面は不明でそのあたりがズルズルと先延ばしにされてきた一つの原因かと思われます。

これはいわゆる事業再構築で不採算部門を切り捨てるということだと思いますが、実は事業再構築で「不採算部門を切り捨てる」以上にもっと大切なことがあります。それは今後その部門に資源(ヒト、モノ、カネ)を集中させるかです。これがない単なるビジネスの切り売りは縮小均衡になる恐れがあります。シャープの対外的なメッセージを見る限り、消費者向け家電なのか、様々な電子デバイス、センサーなのか、それともエネルギー関連なのかどの分野が今後のシャープの柱になるのか見えてきません。別にこのような事業分野で絞る必要はないのですが何かしら柱というものが見えてきません。GEが金融事業を売却しましたが、狙いとしては製造業におけるIoT(インターネットオブシングス:ITと融合化した製造業)の分野にすべての資源を重点的に透過するという目的がクリアーにかたられています。

特にシャープのような困難期にはまずはクリアーでわかりやすい方向性が必要だと思われます。当然その中身詳細は様々な複雑な実情などを包含すると思われますがその詳細は経営幹部が徐々に考えればいいことです。方向性の見えない事業再構築は目先は大丈夫でも長期的には危険な気がします。