重要業績評価指標を変えるということ -携帯大手の戦略転換

KDDI

 

KDDIが通信事業の収益性を表す指標として従来ARPU(1契約あたり月額平均収入)からARPA(1契約者あたり月額平均収入)に変えると発表しました。このような指標をKPI(重要業績評価指標)と呼びます。この意味づけとしては、たとえば財務的目標が営業利益だとして、経営者がいくら「営業利益をXX億円ににするぞ!」と号令をかけたとしても現場の人は何をやっていいかイメージがつかないでしょう。そこでたとえば1契約あたり月額平均収入をKPIとすれば(単純にそれだけがKPIだとすれば)契約にいろいろなオプションを付けて単価を高くするなどの方策をとるでしょう。よいKPI、個人的にキラーKPIなどと称していますが①最終的な目標と正の相関関係がある②現場サイドの具体的な行動につながるがポイントと思います。たとえば、非常に単純にKPIが契約者数を伸ばすことだけだったとすると、②の契約者数を伸ばすための具体的な行動にはつながりますが、利益を無視した値引き競争で最終的な目標である営業利益的にはマイナスになってしまい、①の最終的な目標に対して負の相関になるかもしれません。

このようにKPIはその企業の最終目標に至るための戦略を反映しているものであり、KDDIも単に携帯の1契約で収益を獲得するのではなくタブレットなど他の携帯ではないサービスで総合的に顧客を囲い込もうという戦略の変化が見て取れるわけです。