武田CFO電撃退任 -引き抜きリスクは当たり前か?

takedaCFO

武田製薬の取締役CFOのフランソワ・ロジェ氏が株主総会前にネスレに引き抜かれました。新聞ではグローバル経営のリスクのようにとらえていますが本当でしょうか?確かに日本人の感覚であれば株主総会直前に役員を辞任するというのは自分の不祥事でもない限りはあり得ません。ただ、これほど唐突でなければ優秀な経営幹部というのは本来引き抜きのリスクがあるものです。

大抵少しでも優秀な経営幹部ともなればコーンフェリーやエゴンゼンダーといったグローバル人材紹介会社(ヘッドハンター)のリストに載ります。リストはやはりいろいろな人の評判を情報収集するので単に大会社の役員というだけでは対象になりません。このようなグローバル人材会社だとコンサルタントも日本の紹介会社のような単なる営業マンや英会話の先生などではなく、元経営幹部の方なので本当にキャリアコンサルタントという面が強いです。したがって、別に今転職する気がなくとも話くらいは聞こうと思うものです。手前味噌ですが自分も勤め人であったころはたいていのヘッドハンターとは1年に1度くらいは話をしていた記憶があります。

そして、ヘッドハンターは顧客からスカウトの依頼があると手持ちのリストから適切な人物を匿名で紹介し顧客とスペックが一致したショートリストをもとにその人にピンポイントでアプローチするわけです。したがって、別に外人に限らずグローバル企業で活躍できる人間というのは常に引き抜きのリスクにさらされるわけです。たとえば私が働いていたGEなどは引き抜かれることは当たり前で企業として引き抜かれるような人材を育てることを目指していました。当然引き抜かれるような人材は厚遇で応じ、日本企業のような横並びの待遇ではありません。しかし、相手側もさらなる魅力的な条件で引き抜いていくわけです。

自分は逆に日本企業も横並びの待遇は幹部候補には一切やめて、どんどん生え抜きでも引き抜かれるような人材を育てていってほしいものだと思っています。

 

 

 

 

 

 

ロジェCFO電撃辞任 武田、グローバル経営に試練

2015/6/25 0:04 日本経済新聞 電子版

 

 武田薬品工業は24日、取締役のフランソワ・ロジェ最高財務責任者(CFO)が26日付で退任すると発表した。食品世界最大手ネスレのCFOに転身する。クリストフ・ウェバー社長への報告は2日前。引き抜いた人材を逆に引き抜かれた形だが、欧米では日常茶飯事。「電撃退任」はグローバル経営の陣容作りの難しさを浮き彫りにした。