日経「税金考」を読んで -税が惑わす?

Tax

 

今朝(6月1日)の日経の一面に大きく「税金考」という記事が掲載されていました。(下部参照)記事を読んでいわゆる年収103万円の壁の問題が挙げられていました。いわゆる年収103万円を超えると配偶者控除がなくなるので、パートの時給をあげると労働時間が減るという話が載っていました。これについては納税者側の誤解で配偶者特別控除が受けられる(合計所得1000万以下)ので別に損をするわけでありません。これについては社会保険の130万円の壁の方がインパクトが大きい気がしますし、大企業の配偶者手当の基準など複雑に絡み合った問題かと思われます。したがって、税の制度が問題の所在のようにされるのはやや厳しすぎると思われます。ただ「税制が惑わしている」ことは確かだと思います。

例えば、法人化するにあたって、将来会社を大きくしていき家事と事業をきっちり峻別した合理的経営を考えていこうという意思でされるのはこの国の発展のためには望ましいです。しかし、法人化したほうが個人事業よりも税率が安いためという理由が一方で非常に多い気がします。したがって実情は家事・事業が分離していないほぼ個人事業と変わらない法人が乱立しています。そして、プラスして記事でもあるような中小企業への優遇措置が助長しています。

昔と比べ人々や企業ののライフスタイルや取り組みは多様化して、いくら優秀な官僚の方でもとらえられなくなってきています。税制を様々な政策的・経済的誘導・優遇措置として用いるより中立性・簡素性を重視して、できるだけ広く薄く徴収する方向性に舵をきっていくほうが良いのではないでしょうか?税理士などにとっては飯のタネが減るかもしれませんが、国が衰退すればもっと飯のタネが減るはずなのでそのあたりは税理士業界も協力していくべきと思います。

 

税が惑わす日本のかたち
「賃上げ辞退します」/2030年、大企業ゼロ

2015/6/1付情報元

日本経済新聞 朝刊

税金が静かに日本をゆがめている。時代にあわない税が暮らしや企業を惑わし課税の公平も揺らぐ。目先の消費増税に気を取られ税財政のひずみを直す「棚卸し」がおろそかになっていないだろうか。税金という鏡にニッポンを映すと、この国の未来へのヒントが見えてくる。

 「賃上げ? せっかくのお話ですが辞退します」。東京都内の金属加工会社で契約社員として働く河本信子さん(51)が上司にこう伝えたのは4月上旬だった