CFOと内部統制 その1

 みなさんは内部統制という言葉を知っていますでしょうか?アカデミックな定義は別にして、私は「会社が自律的に公正かつ効率的に運用していくための仕組み」と考えています。CFOは内部統制の推進者と思っています。しかし、SOXなどで内部統制の報告書を作成し、公認会計士の監査などを受けていると、ひたすら手続きを文書化して書類をいっぱい作ってサインや判を押すイメージがあると思います。

 実は内部統制の目的の中に「効率的」という言葉が入っているのですが、「公正」の部分のみ強調され、やたらとチェックを厳しくすればいいと思っている人が多いようです。 

 例えば身近な例でいうと、請求書のチェックなど担当者は11枚やりますが、私自身やマネジャーにはそこまで求めていませんでした。ただ、支払一覧を見て変だなと思ったものは請求書やその他添付資料まで見ていました。請求書のチェックはミスで払うべきでないものを払ってしまったり、不正請求を防いだりする目的があります。最初の1か月くらいは全部細かく見たりしますが、数か月たつとほぼ経常的な出金はわかるので、イレギュラーで金額の高いものだけ見ていくわけです。請求書の担当者は印鑑を請求書に押したりしていますが私は11枚押さずに束のまとめの部分に1個押すだけです。監査法人の新人などは「上司の検印も必要」などと言ったりしますが、正直言って見ていないものに印鑑を押すのは非常に無駄です。なぜならば本来はミスや不正を防ぐという目的を達成するのが重要で印鑑を押すことでその達成は促進されません。見たという証跡は別にまとめの束に押すだけでも達成されています。

 このように身近な例でとりあえず、公正と効率性のバランスの話をしましたが、CFOにとってバランス感覚というのは非常に重要だと思います。もう少し内部統制の話は続けたいと思います。