起業時の人脈のワナについて


 

    目次

    1.私の独立の話

 

 私事ですが8年前の3月に会社を辞め独立しました。理由はいろいろありますが、せっかくの一度きりの人生なので独立してみたいという想いがあったのが一番でしょう。ほかにも毎朝起きて電車に乗るのが嫌だというのもあったかと思います。準備はやっていたのかというと、多少SNSで活動をやったり、知人に声をかけて案件を紹介してもらったりしていました。独立時にはクライアント候補もあり、何とかなるだろうと思っていたのですが・・・。

 そこで起こったのが3月11日の東日本大震災です。この影響でクライアント候補からはしばらくペンディングということで仕事が無くなってしまいました。あまり楽しくはなかったのですが悩んでも仕方ないので本を読んだり家事をしたりしてしばらく時間を過ごしていた気がします。わりと料理、掃除、洗濯などの家事は嫌いではないので、何か少しでも生産的なことをするというのは気がまぎれたかと思います。

 しばらく震災の影響ですべてが止まっていた気はするのですが、夏ぐらいから仕事が舞い込み始めて現在に至るという感じです。ただ、仕事がないときは、やはり勤めた会社関係の人脈ですぐ仕事ができる人や親から会計事務所を継いだ人などをうらやましく思っていたことを思い出します。でもこれは必ずしもそうでないことは後で知りました。

 

 

    2.2代目のワナ

 

 私はコンサル会社と会計事務所を経営していますが、会計事務所についてはわりと2代目経営者は多い業種だと思います。先代からのクライアントや職員をもってスタートだから左うちわでいいなぁと思っていたのですが、世の中そんなに甘くないことを後に知りました。

 ある地元では大手の会計事務所の3代目の方からご本人の苦労談をお聞きしたことがあります。お父様の引退で事務所を継いだのは良かったのですが、古手の職員は旧態依然の仕事の進め方に固執し、そのためかやたらと残業も多く人件費もかさむ職場、しかし一方古いクライアントは廃業等でどんどん減って行くのに誰も職員は気にしないという状況だったそうです。そのため彼は思い切って事務所のIT化に取り組み効率化を進めようとしましたが、古手の社員の反発もあり随分苦しい眠れない日々を過ごしたようです。1年ぐらい苦しみましたがIT化についていけない古手は辞め、事務所は逆に蘇り現在は地域では有数の事務所に復活しています。

 2代目は確かに顧客、地盤、ブランドなどの「資産」もたくさん引き継ぐのですが一方で過去のしがらみや非効率といった「負債」もたくさん引き継いでいて「気楽な2代目」というのは幻想にすぎないことはよくわかりました。

 

    3.人脈のワナ

 

 特にクリエイター系の方に多いのですが、独立後、元の勤め先から同じ仕事を業務委託の形で仕事をもらうパターンがあります。一方、監査法人を辞めた公認会計士などに多かったのですが、監査法人で受けられないコンサルティングや監査の仕事をやるパターンです。私などは、監査法人を辞めてから事業会社で勤務していた期間が長いのでそのような伝手はありませんでした。

 人脈が「過去」のつながりだけに頼っていると当たり前ですがどんどん細っていきます。かつ基本的に「下請け体質」が身についてしまい自分のブランドを確立しないまま仕事を受けることになります。特にこの形態は不況に弱いところがあります。不況になるとどこも外に業務委託する余裕がなくなり自分の社内の人間でカバーしようとします。真っ先にこのような業務委託系の方々が切られることになります。もともと、自社の雇用の調整弁として使っていますから。下請けの問題点は相手のブランドに頼って仕事をしてしまうことだと思います。

 

 

    4.人脈のワナを乗り切るには

 

 この人脈のワナを乗り切るためには2代目の話が意外に参考になるかもしれません。彼の場合、古い資産(古手の社員)などを処分し、IT化による新しいビジネスモデルを取り入れて事務所を一新しました。せっかくのもともとの人脈ですので大切にはしたほうが良いかと思いますが新たに起業家としての人脈は築いていった方が良いと思います。また、以前からの経験で培った前からの資産も捨てるべきは捨て、単なる下請け的な以前やっていた仕事の単なる延長ではない起業家としての新しいビジネスモデルを構築していくことが大切かと思われます。

 私の場合は「成功者」などと胸を張って言えるレベルではないですが、過去の人脈にあまり頼れないだけ結構面白くいろいろな分野に携わることができているような気がします。

 

 

 

 

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