葛西JR東海名誉会長の私の履歴書

kasai

 

以前、日本経済新聞の「私の履歴書」で似鳥会長の話が抜群に面白いという話をした一方で非常に生意気ではありますが大企業のサラリーマン社長の話はあまり面白くないというコメントをしました。そういった意味では葛西名誉会長の話は大企業のサラリーマン経営者なのに画期的に面白く読ませていただきました。特に国鉄民営化前夜の民営化に消極的な国鉄経営陣とのやりとりは緊迫感があり、最後、民営化反対の最先鋒の縄田副総裁とエレベーターで出会うあたりは生々しく現場感にあふれていたように思います。

多分面白いと思ったのは、本流を歩いていたわけではなく国労などの労働組合に毅然とした態度で対応する一方、民営化に反対の上層部とも戦うというおよそサラリーマンらしからぬところだと思います。普通の大企業であれば比較的「長いものには巻かれろ」タイプの方が出世する傾向が強いと思います。ふつうは国鉄などは役所的な風土と思われますからなおさらです。しかし、このようなタイプの方が大きく左遷されることもなく力をふるうことができたのはやはり応援する勢力があったからと思います。確かに国鉄時代組織で腐っていた部分も多々あったとは思いますが、志を持った優れた人々が少なからずいて、その方々の努力の下現在のJRがあると感じました。

一方JRに対し、道路公団の改革は遅々として進まないし、葛西氏のような侍が現れないのはなぜなのでしょうか?