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会計

監査法人交代制は必要か?

2016.03.09

EY

 

金融庁は監査法人の交代制を検討しているようです。たとえばEU諸国ではPIE(社会的に影響の高い事業体)については10年ごとの交代制、ただし、10年ごとに競争入札をする場合は20年で交代する制度を導入しています。現在、日本ではすでに監査責任者の7年ごとの交代制が導入されています。ここには東芝の問題で監査法人と会社のなれあいがあったのではないかと推測しているからだと思われます。

監査実務の立場、企業でCFOをしていた両方の立場から交代制は望ましくないと思われます。まず監査の立場でいうと、社会的影響のある大企業の実態を理解するのは簡単ではありません。パソコンのない時代はざっくり売上1兆円くらいの会社で1年間の監査調書は積み上げると人間の背の高さよりはるかに高くなりました。何年か監査を続けることによって監査チームに蓄積されたその企業に対する理解というのは非常に貴重なものです。したがって、監査人としても交代してすぐに担当企業のリスクを的確に把握でき、質の高い監査計画を策定できるかというと難しいと思います。

一方企業側としても新しい監査法人の対応がかなり時間を取られます。会社の重要な手続きや業務フローについて監査人に1から全部説明しなければなりません。この労力とコストは企業に取って膨大なものになります。

以上の理由から単に企業と監査法人のなれあい防止という面から監査法人交代制を導入するのは望ましくないと思われます。一方、馴れ合いと疑わしい場合があった場合は公認会計士協会の監査審査会が監査法人に対し調査を行い徹底的に調査していただきたいと思います。このあたりの法的立てつけは詳しくないのですが、本当は強制権や告発(刑事、行政罰)ができると望ましいと思います。そういった意味で東芝問題については新日本監査法人の東芝チームの監査意見の形成過程については徹底的に調査してなれあいがなかったか、監査手続きのどこに問題があったかは公開してほしいと思います。

 

 

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