伊藤忠は不正会計か?

伊藤忠

米国のグラウカスリサーチグループが伊藤忠の会計処理を批判して不正会計の可能性があるとそのレポートで指摘しています。私も一応原文を読んでみました。内容は主に3つで①コロンビアの炭鉱JV(ジョイントベンチャー)で意図的に会計処理を代えて減損処理を免れた②CITICは中国政府の支配力が強いので持分法として正しい処理ではなくこの利益は本来認識すべきでない③Ting Hsinの投資で決算期4週間前にに600億円(税引き後)利益を突然認識したのは怪しいの3点です。

①ですが状況証拠的にはかなり黒いです。かなり石炭の相場が下がっておりこの炭鉱の権益の価値が下がっているのは彼らが言うとおりでしょう。IFRS11号(ジョイントアレンジメント)が適用され、計上の方法が変わるのはある程度理解できますが、関連会社投資でなくその他の投資に振り替えたのは、現状ある情報からは疑義は残ります。伊藤忠側は契約が変更になって影響力が行使できなくなったと反論しているようですがやや弱いというのが実感です。

一方②についても伊藤忠はCP(チャロンポカパン)とともに20%を保有してある程度の支配権は持っていると主張していますがグラウカスは持ち分は10%である否定し、支配権もほとんどないと否定しています。10%の部分はもう少しじっくり考えないと判断できませんが、支配権の部分は確かにそうかもしれません。

③については説明としては状況証拠の域を出ない気がしますが、①と②はかなり詳細な分析に従いきちんと立証されたレポートと思います。彼らの伊藤忠の会計処理はいいとこ取りをした一貫性のないものだという主張は彼らのリポートを読む限りうなずけます、ただ、この案件が東芝と異なるのは「明らかな正しくない会計処理」ではなく、「恣意的に会計処理を行っている疑い」があるということです。「恣意的」を完全に立証するのは難しいので私の個人的な意見ですが「黒に近い灰色だが黒ではない」です。

経済実態的には彼らの意見の方が伊藤忠の実態を表していると思いますが、これが大きな東芝のような大きな問題になるかは現状判明している範囲ではあまり高くないと思います。お問い合わせは↓まで

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