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家なき子はどうなる?

2018.01.24 カテゴリ: 資産をめぐる税金, 会計・税務

ここで言っている「家なき子」は相続の際、小規模宅地の特例の適用の際でてくる言葉です。1人暮らしの方が亡くなった(被相続人)際、自分の持ち家がない子等(相続人)が相続すれば80%評価額を減額できる制度です。自分の持ち家がないので「家なき子」なわけです。目的はこれも一種の空き家対策と言えるかもしれません。

昨年末自民党より税制改正大綱が出され大きな改正としては所得税の所得控除の部分と、相続税の小規模宅地の特例と社団法人を使った節税スキームについての制限が今後ありそうです。この中で「家なき子」の部分も大きく見直しが入りそうです。現在「家なき子」として認められるためには相続が起こる3年前に持ち家がなければこの適用が受けることができます。例えば1人暮らしのお母さんが亡くなられて娘さんがその土地を相続した場合を考えてみましょう。娘さん自体は持ち家は保有していませんが夫の所有する土地建物に住んでいます。このケースは本人が所有するものと同様にみなされますので「家なき子」にはなれません。自分の持ち家を所有している又はそれに近い状態の人間まで優遇することはないだろうという考え方です。おそらく、相続税対策が大好きな税理士は場合によってそのようなケースは子供等に贈与したり、自分の会社の名義にしたりして「家なき子」状態を作りだす提案をしていたかと思います。脱税ではないですが租税回避的(不自然な取引で税負担を免れようとする)行為であり、私は普通の状況では積極的には勧めていません。

 今回の改正でこれは塞がれ、今いる家が過去にそこに居住していた、または親族等が保有する家屋に3年以内に住んでいる場合は「家なき子」には該当しないことになりました。上記の例だと、子供に名義移転しても今いる家は過去に所有していますし、親族(子)の所有でしたり親族の経営する法人の家であれば該当にはなりません。ただ、抜け道は塞ぐ一方副作用も多い気がします。例えば自分の持ち家がなくてもだれか親戚の家に住んでいるだけで対象から外れてしまいます。単に文言のみから判断すると地方の一人暮らしの父親が亡くなった際、大学生の息子が東京の親戚の家から学校に通っていた場合、「家なき子」の対象から外れます。

 そもそも「小規模」宅地ですから租税回避とはいってもさほど巨額なものではありません。むしろそれよりも、ちょっとしたことで上記の例のように普通の善良な人々が大きな不利益を受けたりするのは大きな問題だと思います。例えば「生計を一にする」者などは対象に加えるなど細かい気配りが必要でしょう。ただ、このような租税回避と税務当局のいたちごっこでどんどん税制が複雑になってくるのは望ましくないことだといつも思います。

 

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