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空き家の譲渡所得の特別控除について

2018.01.18 カテゴリ: 会計・税務

都内に空き家が増え続けています。総務省の平成25年度住宅・土地統計調査によれば空き家は約800万戸でそのうち長期不在・取り壊し予定の住宅は約300万戸でその数は増え続けています。防災・防犯・ごみ投棄・景観上など様々な問題があります。私の理解だとこのような問題を解決する政策の一環として相続した空き家を売却した際の3000万円の譲渡所得控除が設けられているものだと思っています。簡単に言うと空き家を譲渡した場合、譲渡の際の利益に対して譲渡所得税がかかりますが、その際利益から3000万円を控除することができます。これによって空き家を売却して特に長期不在・取り壊し予定の住宅を減らそうという政策意図があるのだと思います。しかし、いつも思うのですがこの手の政策はやたらと手続きは面倒、落とし穴のような条件がいくつかあって税理士であっても大変で正直申し上げてあまり受託したくないような案件です。

この特例を受けるためには昭和56年5月31日以前に建築されたものであり、上物がある場合は耐震適合証明書が必要、取り壊す場合は事前に取り壊して更地にしてから譲渡する必要があります。建物の耐震適合証明書をとるか耐震リフォームをする条件がありますが、そもそも昭和56年以前建築の建物の場合、耐震適合する建物の可能性は必ずしも高くないですし、売れるかどうかわからない空き家を耐震リフォームする人間はふつういないと思います。

また、建物を取り壊して売る場合も、譲渡が建物を取り壊した後でないとこの特例は適用されません。普通の感覚として売れるかわからない物件で建物を先に取り壊して売るよりも上物付きで売って業者が取り壊すケースの方が多いと思われます。

要するに条件自体が一般市民の感覚からはかけ離れており、いかにもお役人が机上で考えた案というのが明らかです。条件が政策的効果を大幅に削減するような内容であり本当に真面目に空き家を減らすつもりがあるのか非常に疑問です。

入手書類も都税事務所で課税明細書、水道局などで閉栓証明書など何か所も役所周りをしていろいろな書類を用意した上、地元の市(区)役所から被相続人居住用家屋証明書を入手しなくてはなりません。しかも、都税事務所や水道局などはほとんどこの制度を知らないため特に税理士など代理人が委任状をもって来所しても依頼者本人の直接の連絡が取れない限り証明書を出し渋ったりするなど難行苦行です。

いつも思うのですがこのような羊頭狗肉的な政策、社会的に無駄です。やたらと落とし穴と面倒な手続きがあり、そのための税理士かもしれませんが、あえて面倒にして税理士の仕事を増やしていただくような必要はないと思います。