アマゾン課税の強烈な副作用

AMAZON

日本をはじめ44カ国が合意した国際課税新ルールの中にいわゆる「アマゾン課税」があります。たとえばアマゾンは日本で事業をしていますが注文を受けているのは実は国外であり(サーバーは米国内にある)、したがって原則取引の利益に対する税金は日本で納めていません。理由は恒久的施設(PE)としてアマゾンが持っている倉庫は当たらないので課税されないというのがざっくりとした理由です。一回国税庁はアマゾンの倉庫はPEに当たるということで140億円の追徴課税をしましたが日米相互協議で敗れて取り消しにしています。

今回、国際課税新ルールでは倉庫もPEに当たるというルールを適用しようとしており、アマゾンなどのインターネット業者をターゲットにしているといわれています。ところが今朝の日経でも伝えられているように単なる部品倉庫も単純に解釈すると課税対象になります。やはり怖いのは新興国でその中でも中国はリスクが高いです。中国の税制ですが自分の感覚だと地方政府により運用が異なり、極論を言えばかなり恣意的な運用が目立ちます。

自分の経験だと以前PEの認定で中国は建設PEで突然元請だけでなく、下請けにもPEを適用し始めました。加えて自分のケースだと下請けがPEに対する法人税を納めない場合、元請に課税するなど、ととても法治国家とは思えないことをある地方政府がやりだして困ったことがありました。

国際課税ルールで課税逃れをしている企業に対する徴税を強化するというのは理解できますが、一方で恣意的な課税で苦しむ企業を助ける視点というのはないでしょうか?日本企業は良くいえばあまり課税逃れをしていない、悪くいうと国際課税戦略がない企業が多いので、このあたりの対策が脆弱と思われます。なんとか日本政府にそのあたりがんばって欲しいものです。