トランプ政権に関する私見

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今ニュースを見ているとトランプ大統領の一挙手一投足に注目が集まっている感があります。トランプ氏は実はどのような人物なのだろうということも百家争鳴状態です。そしてアメリカという国はどのような国だったのだろうということもそれとともに話題になっています。別に私はこの論点の専門家ではないですし、長くアメリカに住んでいたわけではありませんが、米国では日本人コミュニティーの外で暮らし、今でも何社かの米国企業とお仕事をさせていただいている素人観点から述べさせていただきます。

「群盲象をなでる」ということわざがありますがアメリカという国は触ったところでかなり異なります。ニューヨーク(マンハッタン)やシリンコンバレー(サンノゼなど)はかなり特殊な街で私のような下手な英語を話す非白人でもほとんど違和感なく溶け込める感じの街です。非白人の数が多くて国際都市感は満載でいわゆる一般的な日本人のイメージするアメリカです。一方で中西部、私はオハイオやインディアナ州といったあたり出張で行きましたが、白人率は高いですし、またかなりアメリカ人のタイプが違います。アメリカから外に出たことがなく、日本人を見るのが初めてで、興味深いのかいろいろ話しかけてくるタイプの人が何人かいました。人の良い白人のアメリカ人のおじさんというイメージの人たちはこのタイプでしょう。一方でこのような人懐っこいタイプの他に近づかないタイプの人たちも少なからずいました。イメージするようなバリバリの人種差別主義者ではないのですがなんとなく外国人対し鬱陶しいものを感じているのかなという人たちだと思われました。新聞などではこのような層がトランプの支持者だと伝えていました。多分そうではないかと思います。また、リーマンショック以降のグローバル化の進展でリストラが進み、前者の人の良いアメリカ人を含めドメスティックなアメリカ人は失業などで生活が苦しくなったようです。そこでグローバル化や外国人に悪い感情を持つ層は確実に増え、トランプ層の拡大につながったと思います。

一方で一流企業本社などで働いているエリート層にも実はこの近づかないタイプの人はいます。当然高い教育を受けているので人種差別は悪いということは頭の中ではきちんと理解しており、間違っても失礼な行動・言動はしません。ビジネスの中では近づかないわけではないのですが、ビジネスを離れるとぱったりという感じです。アメリカ人は会社の付き合いと個人の付き合いをきっぱり分けているとよく言われますが、「きっぱり」ではないと思います。会社の同僚と金曜日の午後軽く飲みに行ったりしますし、私の家族も上司の家に招待されたりしました。ただし、このタイプはなんとなく白人同士で固まっている感が強いです。意外に「非白人や外国人を生理的にあまり好まない」白人の人たちというのは決して少なくないというのが実感です。このあたりが「隠れトランプ」といった層ではないかと思われます。

こういった教養が高いが「非白人や外国人を生理的に好まない」層が政権の中枢だと思われますから利害がある程度一致する内容(日米安保など)ではある程度まともな議論になりますが、貿易のようにぎりぎりの利害がぶつかり合う場面では生理的な感覚がむき出しになる可能性が高いです。農業分野では米、牛肉、豚肉、そして車分野はかなり厳しい要求をしてくるでしょう。最初はある程度バランスを考えてという理性が働くかもしれませんが最後はこの生理的な感覚がむき出しになって強硬な押し付けとなるでしょう。

私を含め中小企業の経営者などは対岸の火事のように見えますが大きな影響はどこかに必ず出てきます。車産業すそ野は極めて広いで変な規制は大きなピンチです。一方農業分野の譲歩はピンチのようでも米や牛肉・豚肉などが安くなるのですから実はチャンスの部分も多くあります。中小企業経営者はもう変化は所与のものと考えて動いておくのは大切かもしれません。

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