真田丸を深読みするー古い体質の企業 

又兵衛

真田丸もいよいよ大坂冬の陣が始まり佳境に入ってきました。昨日は真田幸村の完勝で終わる痛快な回でしたが、徳川家康がにんまりと次の手とほくそ笑むあたりが何とも言えない感じででした。

さて、ネットなどでは『滅び行く豊臣家の体質が「うちの会社みたいだ」のような声が上がっている』記事をみました。豊臣秀頼はやる気のある2代目ですが、先代の配偶者で母でもある淀殿や大蔵卿などの古い番頭に逆らえません。人材はいないわけではないですが大野治長は多少優秀めだが線が細く、若手のホープ木村重成はまだ発言が重んじられる状況にはありません。織田有楽斎のような内通者はさすが企業にはなかなかいませんが、会社の衰退で火事場泥棒のように使い込みや業者との癒着など裏切り者の古参社員は結構出てくるものです。

こういった滅びゆく組織に共通しているのは排他性です。私の昔からの友人と少し前、飲みに行った際彼がこぼしていました。彼はあるメガバンクで長年働いていましたがある業績がぱっとしない上場企業の役員に出向になり転籍しました。小さいころからの付き合いなのでわかりますが誠実な人間で、このせっかくの縁ということで上場企業に骨をうずめるつもりで働いています。銀行からの出向者の中には「銀行の方を見て仕事をしている」池井戸潤さんの小説に出てくるようなタイプも本当にいるようですが彼は全然違います。会社行事なども必ず参加して溶け込もうとしているのですがいまだに「銀行さん」というレッテルで冷ややかに見る方が多いそうです。いわゆる真田幸村や後藤又兵衛のように牢人者と冷ややかに見られているのと一緒です。

古い体質の企業が滅ぶのは一つとしてこのような異質を受け付けない体質があります。この体質があるとだんだん退嬰的で金太郎あめ的な発想しか浮かばず、徐々に衰退していきます。ダイバーシティ(多様性)という言葉がありますが、それは本来は女性や外国人の登用すればいいわけでなく、こういった異質を排除する文化を取り除き、多様性を尊重する文化を築くことを指します。私が以前勤務していたGEはトーマスエジソンが創始者の100年以上続くきわめて古い会社ですがダイバーシティは徹底していました。買収も頻繁にしますが、日本企業でいう「対等の精神」は全くなく、基本的にはGEのやり方に従ってもらいます。しかし一方で従業員については「旧XX出身」のようなレッテルはなく、まったく対等で、買収された会社の従業員でGE本社の重役になる人も普通にいます。日本の合併会社にありがちな「対等の精神」はうたって妙に仕事のやり方などは両社のやり方がつぎはぎされて非効率的、しかし主導権争いは激しく負けた「旧XX出身」は一生冷や飯を食って全然うだつがあがらないなどということはないわけです。

こういった古い体質の会社で残念ながら自らの意志で変わろうとはしないものです。しいて言えば日本航空のように再生ステージで危機感が社内に充満している際くらいかもしれません。企業再生の際当然資金ぐりなども当然大切なのですが新しいダイバーシティ文化の構築も意外に大切なのです。

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