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会計・税務

空き家の譲渡所得の特別控除について

2018.01.18

都内に空き家が増え続けています。総務省の平成25年度住宅・土地統計調査によれば空き家は約800万戸でそのうち長期不在・取り壊し予定の住宅は約300万戸でその数は増え続けています。防災・防犯・ごみ投棄・景観上など様々な問題があります。私の理解だとこのような問題を解決する政策の一環として相続した空き家を売却した際の3000万円の譲渡所得控除が設けられているものだと思っています。簡単に言うと空き家を譲渡した場合、譲渡の際の利益に対して譲渡所得税がかかりますが、その際利益から3000万円を控除することができます。これによって空き家を売却して特に長期不在・取り壊し予定の住宅を減らそうという政策意図があるのだと思います。しかし、いつも思うのですがこの手の政策はやたらと手続きは面倒、落とし穴のような条件がいくつかあって税理士であっても大変で正直申し上げてあまり受託したくないような案件です。

この特例を受けるためには昭和56年5月31日以前に建築されたものであり、上物がある場合は耐震適合証明書が必要、取り壊す場合は事前に取り壊して更地にしてから譲渡する必要があります。建物の耐震適合証明書をとるか耐震リフォームをする条件がありますが、そもそも昭和56年以前建築の建物の場合、耐震適合する建物の可能性は必ずしも高くないですし、売れるかどうかわからない空き家を耐震リフォームする人間はふつういないと思います。

また、建物を取り壊して売る場合も、譲渡が建物を取り壊した後でないとこの特例は適用されません。普通の感覚として売れるかわからない物件で建物を先に取り壊して売るよりも上物付きで売って業者が取り壊すケースの方が多いと思われます。

要するに条件自体が一般市民の感覚からはかけ離れており、いかにもお役人が机上で考えた案というのが明らかです。条件が政策的効果を大幅に削減するような内容であり本当に真面目に空き家を減らすつもりがあるのか非常に疑問です。

入手書類も都税事務所で課税明細書、水道局などで閉栓証明書など何か所も役所周りをしていろいろな書類を用意した上、地元の市(区)役所から被相続人居住用家屋証明書を入手しなくてはなりません。しかも、都税事務所や水道局などはほとんどこの制度を知らないため特に税理士など代理人が委任状をもって来所しても依頼者本人の直接の連絡が取れない限り証明書を出し渋ったりするなど難行苦行です。

いつも思うのですがこのような羊頭狗肉的な政策、社会的に無駄です。やたらと落とし穴と面倒な手続きがあり、そのための税理士かもしれませんが、あえて面倒にして税理士の仕事を増やしていただくような必要はないと思います。

ダメな節税ってなんだろう

2017.12.27

 

 年末がいよいよ近づいてきました。この季節になると経済誌などで特集されるのは来年度の予測と節税です。節税を考えること自体は良いことだと思うのですがたまに節税の目的をはき違えている方がいらっしゃり、中には税理士の先生の中にもいらっしゃることがあり残念です。「節税」というと目的は支払う税金を最小にすることと思っている方が多いですが、私は特に経営者であれば手元に残る現金(またはその等価物)を最大にするのが節税の本来の目的だと思います。それを忘れるとダメな節税になります。

 少し極端な例でみてみます。ある中小企業の社長は今年利益が100万円がでそうだと予測しています。税金を払いたくないので12月は豪遊して交際費などで100万円使い切り利益とんとんで税金を払わなくてすみました。これは本当に得をしているのでしょうか?この交際費がお客様との良い関係を築くことに役立ち将来の成長につながるならば別ですが、こういったケースは往々にしてとりまき的な方々とただ単に楽しく飲んで終わりなケースが多いです。もし、この100万円を普通に申告して税率30%で税金を30万支払ったとしても手元には70万残ります。節税と言う意味では豪遊して30万円支払う税金は減りましたが、手元に残るお金は70万少なくなりました。このように「無駄に経費を使う」節税は一般的にダメな節税だと思います。一般的にここまで極端なことはしないと思いますが、年末「今年は利益が出ているから税金でとられるならば・・・・」と変に財布のひもが緩み無駄な買い物をしてしまう経営者の方は少なからずいると思います。節税する際に、「手元に残る現金は本当にそれで増えるのかしら・・」ということを節税をする際には一度振り返って考えてみましょう。

 逆に良い節税とはなんでしょうか?手元に残る現金が増える節税です。例えば投資促進税制を使う方法があります。中小企業などは一定の機械などを購入した際にその購入価額の7%相当を税額控除する事ができます。控除の上限など様々な要件がありますので実際に適用する際は調べた方が良いのですが、ざっくりいうと1000万円の機械を購入すると70万円支払うはずだった法人税から差し引くことができます。純粋に手元に70万円多く残るわけです。こういった租税特別措置法などの特例を使う、他にも税金の支払いが少ない方を選べる有利選択の制度などを賢く使っていくなどは良い節税だと思います。繰り返しになりますが、「手元に残る現金を多くする」それが節税の目的ですのでそこに必ず立ち返ってみましょう。

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事業の代替わりはうまくいくか?

2017.11.22

 

町工場

事業承継、いわゆる会社の親から子供の代替わりが、なかなかうまくいかず廃業する会社が増えています。今開業率は3.5%程度なのに対し廃業率は6.3%と上回っており、どんどん企業の数が減少しています。健全な新陳代謝ならば良いのすが、素晴らしい技術を持った企業が後継者がいないため廃業する例も多いとききます。その中でやはり相続税等の問題も一部その原因と考えられているようです。簡単に言うと代替わりと言うことは親の所有する株式が子供に相続等で移転するわけですが、その株式自体はどこか外部に売却できるものでもないのに税務当局が決めた計算方式で価額をつけられて多額の相続税等を納めなければならないことがあります。

それを改善しようと事業承継税制というものが創設されたのですが、私は恐ろしくてよほどでないと顧客には勧められないものになっています。そもそもあくまでも「猶予」であって取消要件に引っかかれば猶予取消で納税しなくてはなりません。主な取消要件は5年間以内に従業員数8割未満、社長は5年間以内に辞職、5年以内対象株式の売却、5年間経産局・税務当局への毎年の報告を怠るなどがあります。この流れの速い時代相続後5年もたてば事業が傾くこともあり、従業員を減らしてリストラすると猶予された相続税を支払わねばならないという恐ろしいことになります。また、経産局・税務当局への毎年の報告を怠ると猶予取消になるというのも税理士としては(プロとして当然気を付けるべきと言われても)おっかなくて仕方がありません。しかもこれだけリスクを負っても実質的な負担は約半分に減るだけです。

さすが政府もまずいと思ったのか見直しを考えているようです。この中で従業員数の維持の要件ははずし、猶予額も8割程度まで引きあげるようです。ただ、これも「雇用計画など一定の条件をつけて・・・」などとあるのが曲者で、私はかなり面倒な書類や報告義務などが課せられるのではないかと憂慮しています。確かに制度が変わるとそれを利用して税逃れ的な仕組みを考える人間が出てきます。ある程度それを防止するため手立てをするのは必要だと思いますが、そのために本来の意図である円滑な事業承継が出来ないようでは本末転倒です。そのあたりは税務当局は抜け道を事前に塞ぐように複雑な仕組みにするのではなく、アンテナを張って税逃れ的な手段には素早く手当するような対応をしてほしいと思います。

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配偶者控除は本当に必要? -制度変更について

2017.11.08

 

working lady

来年から配偶者控除の制度が変わります。特に源泉徴収の事務をやられている方は様々な煩雑な事項がありますが、普通の給与を受け取っている方々はザックリと3つの点(+1の追加事項)を認識しておけば良いのではないかと思われます。

1)合計所得金額1000万超(年収 1220万円超)の方について、配偶者控除は受けられなくなります.

2)配偶者控除の対象者の合計所得金額は38万円以下(年収103万以下)から85万円以下(年収150万円以下)とかなり範囲が広くなりました

3)2)に応じて配偶者特別控除(控除額は所得が増えるに従って徐々に低減していく仕組み)は合計所得123万円以下(年収201万円以下)まで適用されることとなりました

プラス1の追加事項として、合計所得900万超~1000万以下は50万円刻みで2)3)の控除額が約3分の1ずつ減らされます。

この変更の意図としては、配偶者特に女性について配偶者控除がなくなることを恐れて働くことをやめてしまう103万円の壁をなくす、一方で高額所得者層には配偶者控除をなくし増税をするということでしょう。しかし、当然バリバリフルタイムで働く共働きの女性には全く恩恵はないです。通常フルタイムで働けば一般的には年収200万円は超えると思われるのでパート女性優遇でしかありません。また、年収1200万円あたりで「高所得者」とみなされ、いきなり増税というのはやや違和感があります。生活の面でいうと子供を2人私立の中高一貫などに入れ、住宅ローンなどがあるとこの層だとかなり生活は厳しくなります。確かに「庶民感覚」的には高所得者かもしれません。しかし、ちょうど私の同級生くらいの年齢(50代前半)で一流企業などにいる方はこのくらいの年収が多いと思われますが、今後は役職定年などで大幅カットが見えている方も多々いる中で富裕層的にみなされるのは厳しいのではと思います。

そういった意味でなんだか中途半端で誰の役に立っている制度変更なのかしら・・と個人的には疑問に思います。いっそ「配偶者控除なんてなくしてしまえ!」と思うのは私だけでしょうか?

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ビットコインの課税で思うこと

2017.10.09

bittokoinn

先日ビットコインに関する国税庁の見解が出ました。そのまま引用すると「ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。」です。7月よりビットコインに消費税がかからなくなり、今回雑所得になりある程度課税関係は明確になったと思います。

「雑所得」とは何かですが所得税法35条に記載がありますが要するにどの所得区分にも属さない「雑多なその他」です。ただ、ビットコインの損失は他の雑所得とは損益を通算できますが(要するにビットコインの利益をほかの雑所得の損失と相殺できる)、会社員の給与所得や自営業の事業所得などほかの所得と損失の通算はできません。しかも、ビットコインで利益が出た場合、例えば会社員は給与所得と合算されて累進課税(住民税を入れると最高55%の税率+復興所得税)が課されます。しかも損失は繰越ができないですからある年ビットコインで大きな損失をだし、翌年少しだけ利益が出たとしても翌年の利益にだけしっかり税金がかかります。

投資感覚でやっている方々に似ものとしてはFX(外国為替証拠金取引)があります。しかし、これも雑所得ですが「先物取引にかかる雑所得」として申告分離課(住民税込で20.42%)で3年間の損失繰越が認められます。「先物取引にかかる雑所得」なので他の雑所得とは損益通算ができないデメリットはありますが、損失繰越ができることは大きなメリットです。単純な例だと100万円前年に損失が出ていれば今年100万円利益が出ていても相殺されて税金を払う必要がありません。また、申告分離課税なのでどんなに利益が莫大でもこの利益に20.42%の税率で計算してそれで税金関係は終わりです。

私は別に投機を進めるわけではないですがビットコインの課税関係FXレベルにはしてほしいものだと思います。業界の方頑張ってください。

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起業家と目先のお金の話

2017.09.13

kigyou

コンサルティングは法人設立しましたので先日決算を終了し、申告書作成しました。幸い初年度から黒字でしたので後は納税だけの状態となりました。個人事業の所得税の場合士業ですと源泉徴収で10%(100万円を超えると20%)+復興所得税を徴収されているのであまり納税がないか、または還付となるのですが、法人税は赤字でもない限り納税となるので確かに痛税感は強いです。そういった意味では源泉徴収といった形でさりげなく税金が天引きされる仕組みはよくできたものだと思います。個人事業主で還付と言ってもただ単にもともと天引きされていた源泉徴収分が戻ってきたにすぎないのですが、何だか得した気分になるのは不思議です。

朝三暮四という言葉があります。「中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやると言うと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと、たいそう喜んだという」故事(デジタル大辞泉より引用)から来ています。人間は目先のことに気を取られやすいという意味ですが、まさに源泉徴収の還付などはそんな感じです。

その点消費税などは原則預かったものを払うだけなのですが非常に痛税感を感じる典型です。中小の事業者はたいてい税込処理なので感覚的には受け取った消費税分はもらった気分になってしまいます。しかし、期末に払った分との差額を払う(というよりも実際は戻す)だけなのに非常に損した気分満載です。私も会社員だったころ中小企業が消費税の納税の滞納をしてしまうと聞いて愚かなことだと思っていましたが、自分が同じ立場に立ってみるとよく気持ちがわかります。人間本当に目先のことに気を取られてしまうものです。

そういった意味で起業してしばらくたって納税が生じ始めた方に早めに法人税や消費税の納税の仕組みを肌感覚でわかってもらうように(頭ではある程度わかっていると思うので)お話しするのは大切なことだと思います。起業して売上が年1千万を超えたり法人で黒字決算は事業としてはめでたいことなのですがその一方で税金はかかってきます。早めに税額の予測などをお伝えして慣れていただくのは大切だと思っています。たまに節税と称して無駄に経費を使ってしまう方がいますが、例えば10万円経費使って税率30%と仮定して3万円税金得をしたと思っていてもお金は10万-3万=7万減っています。「無駄な経費」だった場合は7万損しただけです。これも節税という目先にとらわれていたということです。

起業されて業歴が浅い方は特に目先のことに気を取られやすいものです。税金なども気を取られやすい一つです。あまり無頓着なのも困りますがまともな税理士がついていればさほど税金の額はこのステージであれば変わりません。是非事業を中長期的に成長させることに気を配ってほしいものです。自分のビジネスモデルをきちんと考えていくのもその一つだと思いますのでもしご興味があれば以下起業ビジネスアイディア発想法講座のぞいてみてください。今回は「起業のバイブル」発刊1周年記念で、著者である中山匡氏とのジョイントでおこないます。中山氏からのプレゼントも多数ありますので是非ご参加ください。

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中小企業のオッチャン的に今の日本の政治を考える

2017.07.26

kokkau

今朝の新聞を見ると一番大きな扱いは加計問題で安倍首相がいつ学校法人「加計学園」の獣医学部創設でいつその情報を安倍首相が知ったかについてのことについてです。その一方で社会保障費は17年度「5000億円の増加に抑えた」、介護保険料はまた値上げされて年収841万円の大企業のサラリーマンであれば月5668円も支出が増えるということで実は消費税2%値上げよりもインパクト多そうなのですが全然騒ぎにならないのは不思議です。この中でプライマリーバランス(基礎収支)赤字を20年までになくすという案は消えつつあります。このような状況であまりにも国の財政は桁が大きくイメージがわかないので中小企業のオッチャン的に考えてみました。

ざっくりいうと今年は売上収入5000万円ですが営業支出は7000万円かかっていて2000万円の赤字です。これだけでも真っ青ですが借金は10億円あって毎年1300万の元本返済と1000万円の利払いがあります。ふつうこのような2000万+1300万+1000万=4300万分の不足はやりくりできないのですが日銀という優しいメインバンクを中心として支えてくれています。この仕組みが破綻すると負担するのは国民という株主たちなのですがあまり気にしません。このようなつぶれないのが不思議なくらいの中小企業がポーンと1万円社長の友人の得体のしれない団体に寄付しました。寄付に関与して社員は「社長の天の声」があったと言っていますが社長は「そんなこと言っていない」と言った言わないの議論が続いています。なんでつぶれそうな会社の社長が1万円も寄付するんだと怒るのは全く分からないわけではありませんが、毎年2000万の赤字と10億円の借金の方が株主としては気にかかります。1万円の寄付の話で数か月も議論するならば借金をどうやって返すんだという話の方が大事なような気がします。傲慢に聞こえるかもしれませんがオッチャンの立場的にいうと「そんな細かいこと覚えていねえよ」と言いたくはなります。結構業績が悪くつぶれそうな会社に限ってどうでもいいことでもめて時間がかかっていたりしますが、これも典型的な例だと思われます。

国民的には知り合いによくわからない寄付をして、かつ開き直られてムカツキはすると思うのですが、一方で「いつまでもそんなこと議論するなよ」というところもありそのあたり自民党と民主党が単に刺し違えているだけのように思われてなりません。結局究極的には「言った言わない」の話ですから解明は絶対されないことはわかっています。だれか力のある超党派の議員さんが「もう止めよう」と言ってくれないですかね。

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有休取得率を高めるには

2017.07.19

 

経団連で会員企業に対し働き方改革として様々な数値目標を各社に定めてもらうことにするようです。その中で4連休の休日取得率なども含まれています。経団連が決められることではないですが、有価証券報告書の従業員の状況に社員の有休休暇取得率を載せればもう少し真剣になると思いますが・・・。日本企業の有休取得率は国際的に低いと叫ばれ続けて結構久しいものがあります。その一つとして、有休休暇は経営陣が当然に想定しておかなければならないコストであると認識してもらう必要があります。

少し話題が変わりますが、私は国際的な企業から日本の会計基準で作成した財務諸表からIFRS(国際会計基準)対応になるために修正を入れるよう依頼されることがあります。代表的なものが有給休暇引当金です。かなり日本基準はIFRSに近づいているのですが、のれんの償却と並んで変更がされない項目の1つです。多少乱暴目に簡単にいうと未消化の有給休暇残高日数分の給与合計を負債として認識するものです。考え方としては給料を払っても休みを取って働かない日があるのですからその分他の人で埋めなければなりません。その部分は負債として見込んでおこうというものです。そもそも有給休暇部分を会社の負債と経営陣がきちんと見込まないのですから理論的に有給休暇取得は増えません。ただし、引当の計算で有休の取得率が実績として低いと負債の額は低くなります。これが導入されると財務諸表を見て有給休暇引当金が平均給与水準と社員数から見て低いと有給休暇取得率が低いことが財務諸表を見ただけでざっくりですがわかってしまうわけで、このあたりが日本企業が「日本の労働慣行になじまない」と反対している理由かもしれません。そもそも「その労働慣行」を変えようとしているのにここで反対するというということは本当は変える気がないと思われても仕方ありません

欧米企業で有給休暇取得率が高い理由の一つに社長や役員クラスがきちんと休みを取ることがあります。私が以前いたGEはワーカホリック(仕事中毒)のスパルタ企業として米国でも有名でしたが私のいた消費者向け金融部門の社長は1か月、上級副社長(事業部長クラス)は3週間、副社長(部長クラス)で2週間、マネジャー(課長)クラスで1週間と偉い順に休みを多くとっていました。(万年)平社員は2~3週間と長くとる人も多いですが、冗談ですが上から4週間→3週間→2週間→1週間ですから当時マネジャーだった私の部下にたいして「この算式だと君たちの有休はゼロだね」と言っていました。しかし実際、上を目指す平社員の若手はほとんど有休ゼロで必死に休みなく働き、マネージャークラスになると多少休めるようになります。このあたりは格差社会の米国らしいです。ただ、この仕組みだと偉い人がいないわけですから、それ以下の人は非常に休みやすいわけです。偉い人がきちんと休めば全体的な有休取得率は高くなると思います。有給取得を増やそうと言っている経営陣自体が休まずにいたら誰も信じません。本来偉い人は自分がいなくても日常的な業務は動くように設計するのが仕事なはずですから・・。

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電子申告・納税が本当にしやすくなる?

2017.07.17

申告

日曜日に電子申告・納税がしやすくなるという記事が日本経済新聞に載っていました。記事によると現在の電子申告の割合は所得税で52%、個人事業主の消費税で59%だそうです。ただし、諸外国に比べると普及が遅れており理由としてカードリーダーという器具の購入と住基カードなどのカードをそこに差し込んでやらなければいけないことが挙げられています。今回税務署に電子申告の届出書とともに本人が出頭して対面で本人確認を行えばその場でIDとパスワードを渡してそれで申告ができる制度が設けられるそうです。

過去のことを掘り起こせばそもそも、このような手続きができるならば、そもそもなぜ以前のような住基カードを入手した上、カードリーダーを購入しなければならないような面倒な仕組みを導入したのか非常に不思議です。あくまでも想像ですが全く普及しない住基カードの普及のためにこのような利用者の利便を考慮しないような仕組みができたのではないでしょうか。

もう一つの疑問はそもそもマイナンバーはそもそも「なりすまし」をなくすために作成されたのであって、マイナンバーがあるのにまた、税務署に出頭して「なりすまし」でないかの確認がなぜ必要なのかよくわかりません。いわゆる「屋上屋を重ねる」です。行政関係の手続きはマイナンバー一つですべて完了するといったうたい文句だったはずです。

そして、この措置は3年くらいで、また制度が変わるというのが最後の疑問です。わざわざ税務署に出頭して本人確認をしても3年後にはまた違った手続きで行うようです。どうせ変わるのでしたら私だったらまず面倒でそのようなことは行いません。残念ながらこの仕組みはあまり普及しなさそうです。

税務当局も電子申告・納税を普及させようと努力をしているようですが、すべてやることが中途半端でうまくいっていないような気がします。セキュリティ対策の意味もあるのだとは思いますがいまだにFAX、電話文化ですし何とかしてほしいお役所の一つと思います。

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監査厳格化で品質は向上したか?

2017.07.07

kannsa

「揺れる監査法人」という連載記事が今日本経済新聞で行われています。現在の「監査厳格化」での様々な問題点を取り上げている記事です。私はブログでは現在の「監査厳格化」という流れに対し批判的ですが、特に当初は一定の効果はあったと思っています。以前は大手監査法人といっても中小の監査事務所の集まりといった感じで、各部署にドンのような偉い先生がいてやり方、品質がバラバラだった気がします。

私は外資系の大手事務所だったのでかなり厳しく指導された記憶があります。新人のころは監査調書という監査記録も上司がしっかりチェックをして、きっちりと監査手続きをしたという心証ができるまで何度も書き直しをさせられました。そのためお客様に再度追加資料お願いして、深夜まで調書を事務所に戻って書き直して上司に再チェックをお願いしたことを覚えています。一方国内系の某監査法人と共同で監査を行った際などはほとんど調書などは作成しないことに驚きました。簡単にいうと結論は担当の大先生が会社の方と話をして重要な会計処理を相談して、そこでほとんど決まってしまいます。したがって、現場は大先生から指示された部分をチェックしてそれで終わりだったからです。この「部屋制度」というような大先生が自分の顧問先を独占して他部署は一切口を挟まないような仕組みはほぼ完全に姿を消しました。しかし、会社と大先生の結びつきは悪くいうと癒着だったかもしれませんが、よくいうとほぼ「会社側の一員」に近く密接なつながりがあったので、会社側も腹を割って話をしてくれ、意外に不正などは少なかった気がします。

その蜜月に終止符をうったのが、カネボウ事件で「会社の一員」として粉飾を止める立場にあった会計士が逆に隠蔽に協力するという事態が起きました。信頼関係による制御は時代に合わなくなってきたのは仕方のないことだと思います。監査調書などもきちんと記載し、他のチームや本部がチェックするような相互けん制の仕組みができたのは全体としては品質のばらつきをなくし、高めたという意味では監査厳格の流れは一定の効果があったことは確かです

しかし、今は厳格化が単なる本部の中央集権化とマイクロコントロールになって形式主義化が目立ってきた気がします。サンプルが多くないので確かな情報ではないのですが、監査の品質が上がった印象はあるかと企業側の人たちと話をしてみると肯定的な答えは多くありませんでした。監査スタッフはとにかくやたらと資料を多く要求して後は部屋にこもって何をしているかわからない、パートナー(代表社員)は顧客のビジネスについてほとんど理解していないし、社長や役員との会議でも質問はマニュアルに書いてあるような定型的な同じような質問を毎年繰り返すばかりで時間の無駄だと思う、パートナーに会計処理の質問をしても本部に聞くというばかりでまともに答えられない・・など少なくともここ10年くらいはむしろ低下といっても良いのではないかという意見が多かったです

要するに上から下までマニュアルをこなして本部の品質管理部門に出す資料の作成に汲々として自分の頭で考えることがない姿が浮かび上がります。そのためマニュアルでカバーできない、本部などで評価できない部分などはおろそかになってきます。特に思うのは全般的リスクの部分で東芝のような巨大企業の場合やたらとチェックの数を増やしても不正の防止は無理で、様々な会社の中の方々とじっくり話をして会社のビジネスを理解してどこにその企業固有のリスクがあるかまずじっくり考えることが必要です。マニュアルは一般的にリスクが高い部分は細かく言及していますがその企業固有のリスクについては言及できません。本部の品質管理やその先の金融庁への対応が真っ先に合って、顧客の目線が不足するとこのような企業固有のリスクはまず発見できないでしょう。私は中央集権的な本部によるマイクロコントロールよりも現場に判断をゆだねる分権化にすこし針を向ける方が監査の厳格化と、品質管理の向上には資すると思います。いかがでしょうか?

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